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第93話:ケモミミ!

 翌朝、私とイザベラちゃんとジスケルさんは、指揮官さんの朝食へ招待された。

 朝食ということもあって、パンとスープだけっていう簡単な食事だったけど。


「さて、改めて自己紹介致します。私はこの砦を任されている、ラディフィアと申します」

「ラディフィア殿は男爵位を持つ貴族であったかな?」

「ええ。カスケール様の騎士団に所属してましたが、10年ほど前に功績をあげることができ、爵位と共にこの辺りの領地を賜りました」

「あら。お父様の騎士団に所属してましたの?」

「さようでございます。イザベラージュ様がお生まれになった時も、1度お顔を拝見させてもらっていますよ」


 イザベラージュって誰? ……ああ、イザベラちゃんの本名だったね。

 ていうかどうしよう……。皆が丁寧語で喋ってるから会話に入っていけない!

 貴族や王族同士の会話ってこういうものなの?


「サクヤ様は元初の魔王様と聞き及んでおりますが」

「あ……はい」


 こっちに会話が来たよぉぉぉ!


「おお! わたしも伝記を読んだ程度ですが、この世界を救った方が、この現世に再び舞い降りようとは、今、私は感動しております」

「はい、そうですね」


 必殺! はい、そうですね、で会話完結方法!


「しかし、女性とは聞いておりましたが、私の予想よりもお若くて驚きました。10歳くらいでしょうか?」

「はい、そうで……」


 あっぶない! 流れで肯定しちゃうとこだったよ!

 そして自分でも分かるくらいに、頬が引きつっちゃったよ。


「どこを見て10歳だと思ったんですか?」


 間違いは正さないとね……。


「あ……いえ……」

「お……お姉様、落ち着いて下さいまし……」

「はっはっは。そんなの胸と背の小いささに決まってるじゃないですか、師匠」


 ……。


「ふっふっふ……」

「はっは……は……。すみません! 師匠! 口が滑りました!」


 椅子から滑り降りるようにして平伏したジスケルさんに向かって、私も椅子から降りて、右手をジスケルさんに向けて。


「……クリエイってうわ!」


 攻撃魔法を使おうとしたら、私の真下の床からクックさんの頭がミュっと出てきた。

 空間の歪みからの私の股下から登場ってデリカシー無さすぎ!


「クックック。サクヤ様、大変ですよ。て、何してるんですか?」

「恥ずかしさで怒りが消えたところだよ……。で、何が大変なの?」

「あのですね、夜間にそこら辺の魔物を倒しながら遊んでたんですが」


 遊んでくるって言ってたけど! 変な遊びしないで! 


「そこでリリーが、ヘイトという魔法で魔物をこちら側に引き付けることが出来たら、避難民達もラグル殿達も楽になるんじゃないかと言い出しましてね」


 ヘイトって確か、ゲームとかだと、攻撃対象を自分に向けさせるとか、誘導するって意味だったかな?


「へ~。それだったらラグルさんも助かるね」

「はい。私もそれで賛成したんですがね、モフモフさんがフェンリル波動を使って実行したのですが、思いのほか範囲が広くなってしまって、300体ほど魔物の群れが向かって来てるんですよ」

「……どこに?」

「ここに」

「いつ?」

「すぐですね」


 ……。


「ちょっ! クックさん達のほうが何してんの!?」

「ここにはそんな数を迎え撃つ兵力なんてないですよ!?」


 ラディフィアさんが顔面蒼白になって椅子から勢い良く立ち上がった。

 そりゃそうだろうね。完全に想定外だし。

 部屋に控えていた側近さんが飛び出していって、直後に警報の鐘が打ち鳴らされた。

 うちの子達がご迷惑をおかけしてごめんなさい!




 急いで門のところまで行くと、この砦の兵士さんと輸送部隊の騎士さんと兵士さんが整列してた。

 ぱっと見た感じ、50人居るかどうかだね。

 そしてモフモフさんとリリーが、門の外側から隠れるようにして覗いていた。


 体が大きいモフモフさんは隠れられてないんだけどね。

 

「モフモフさん」

『すみません、ボス。思ったよりもレベルが上がっていて、やりすぎました』

「その話は後でしようね。集団はどこまで来てるの?」

『この周辺の魔物は片付けましたが、主力は包囲するように近づいてきて、今は500メートルといったところです』

「近いね……。魔法を使える人は何人いるの?」


 兵士さん達を見回しながら聞いたんだけど、誰も手を上げなかった。

 魔法を使えるのは、クックさんとイザベラちゃんとリリーだけ。

 ジスケルさんは魔導師タイプの騎士を召喚出来るけど、本人は動けなくなる。私もクックさんとリンクしたら使えるけど、篭城するよりは打って出たほうがいいよね?

 その為には、モフモフさんとリンクして、私とモフモフさんが出てスピードで攻撃と撹乱、クックさん達は防衛に回ってもらったほうがいいのかな?

 ダメだったら魔法の有効射程まで後退して、迎撃すればいいかな。


「モフモフさん、リンクするよ!」

『了解です! ボス!』


 お互いの身体が光輝か……ない。

 あれ? もしかして……。


「リンク・オーバードライブ!」


 モフモフさんが光となって、私の体に入ってきた。私の体も輝き、変化が始まる。

 その様子を皆が注目してみている。

 ふっふっふ。一気に強くなる私を見るがいい!


「お姉様……クックさんのときはその特徴が出て、可愛い白銀の鎧を装備してましたが、モフモフさんは裸ですわよね?」

「……わわ!」


 屈み込んで皆の視線から体を隠す。

 その瞬間に変化が終了した。

 手には獣の手のようなグローブ、足は獣の足のようなブーツ……服とホットパンツはそのまま残ってた。

 スッポンポンにならなかったのは良かったけど、あれ? これだけ?


「まぁぁぁ! お姉様! 頭から出てる耳と腰から出てる尻尾が可愛いですわ!」


 瞬間的に理解したよ。私、ケモミミ少女になったよ。尻尾も振れば、パサパサと可愛く揺れた。


(ボス。神格モード、獣神ケモミミ少女と登録してもいいですか?)


 そのネーミングはダメです。


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