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第85話:討ち取っちゃった!

 幻想的な雰囲気に包まれていた謁見の間が、クックさんとモフモフさんの最強コンビによってめちゃくちゃになっちゃった。

 皆で大笑いした後、数人の兵士さんが扉に挟まったモフモフさんを正面から押して、救出しようとしてる。

 モフモフさんの力だったら、壁ごと壊して簡単に抜け出せるんじゃないの? って思ったけど、城壁とお城の素材にはミスリルが混ざられてて、フェンリルの力を解放してないとムリみたい。

 ミスリルって凄く優秀なんだね。


 どうにかこうにかして、やっとモフモフさんの救出が成功した。

 壁じゃなくて、扉の枠ごと壊れちゃったけど。

 修理代を請求されたらどうしよう? と、ウエストポーチから財布を取り出して中身を確認する。

 鈍く茶色に光る銅貨が3枚。……うん。お菓子1つも買えないね。


「サクヤ様。爵位は断られて残念ではありますが、せめて我々の国全体の忠義を受けてくださいますかな?」

「あ、はい」


 忠義って何? 意味も分からないで返事しちゃったけど。


「では。皆に酒を」


 王様の指示で、この場にいた騎士や兵士さんに酒が入った器が配られた。

 お酒を皆で飲むことが忠義って意味なのかな? 

 

「それでは。この国を救いしサクヤ様に、この身、この命を捧げ、誠心誠意尽くすことをお許しください」

 

 そう言って、王様が私の前に跪き、皆も酒を口に入れて跪いた。

 えっと……私は何をしたらいいんだろう?


「サクヤ様は、ご自身の剣を私の肩に置き、そなたらの忠誠を認め、受け止めよう、と申してください。そのあとは」

「え? 剣なんて持ってきてないよ?」

「部屋に置いてきたのですかな?」

「ううん。兵士さんとか冒険者さん達が一箇所の壁に集めて武器を置いてたから、私もそこに置いてきた」


 ――ブッフゥ!


 私の言葉を聞いて、皆が一斉に口に含んでたお酒を吹き出した!

 霧状になったお酒が謁見の間の上空まで達して、ガラス窓からから注がれるお日様の光と合わさって虹を作りだした。

 汚いけど、綺麗……。いや、間違いなく汚いですけど。


「サクヤ様! 貴女様の剣は伝説の勇者の剣なのですよ! そこらの支給された剣と一緒の扱いをされては困りますぞ!」

「ごめんなさい! 今すぐ取ってきます!」


 ダッっと、壊れた出入り口に向かって駆け出そうとしたら、クックさんに肩を掴まれて止められちゃった。


「クックック。わざわざ行かなくても、サクヤ様が呼べば主の元に現れますよ」

「あ、そっか」


 私が折れた勇者の剣と短剣の柄を元に、クリエイトで作った物だもんね。

 ここはカッコよく呼び出して皆を驚かせちゃおう。

 あ、呼ぶからには剣にも名前がいるよね? サクヤソード……は、すでにクックさんの魔法剣に名前が付いちゃってるし、そもそも自分の名前を剣には付けたくないよ。恥ずかしいから!

 なるべく強そうでカッコいい名前を付けたいな。私自身が弱いから、せめて武器だけでもね。


 よし!


「我が元にその姿を現せ! シャイニングソード!」


 私が持つと光るからってことで付けたけど、私ってもしかして、ちょっとだけネーミングセンスない?

 ま、いいか。


 右手を目の前に突き出して、剣が現れるのを待った。


 ……。


 あれ? クックさんが大事な物を空間の狭間に入れてたみたいに、私の剣も空間の狭間から出てくると思ったんだけど、しばらく待っても出てこなかった。

 し~ん、と静寂に包まれようとしていたとき、私が剣を置いてきた大ホールの方角の謁見の間の壁が、破片を撒き散らしながら吹き飛んだ。

 円形状に吹き飛んだ穴の淵は、赤くなって溶けてるのが分かった。

 そして、柄の方を向けて勢いよく飛んでくる剣……シャイニングソードが見えた。

 普通の人なら、軽く受け止めるて柄を握ることが出来るんだろうけど、リンクしてないとステータスオール1の私だよ?

 当然、取った行動は。


「うわ! こわ!」


 咄嗟に屈んで避けちゃって、頭の上を剣が通り過ぎていって、背後から「ふぐぅ!」と、悲鳴になりきれてない王様の悲鳴が聞こえた。

 背後を振り返ってみると、股間を押さえて口から泡を吹いて倒れてる王様が居た。

 皆を見ると、少し腰を引いた姿勢になって視線を逸らしてた。


「えっと……当ったのが柄の部分でよかったね」

「「「いや……よくないですから……」」」


 うん。よくないよね。


「クックック。サクヤ様、空間の狭間から物を出せるのは、事前に狭間に入れた物だけですよ」


 と、言いながら、クックさんが床に落ちた剣を拾って手渡してくる。


 現れるって言ったじゃん! 飛んでくるなんて聞いてないよ! 現れるって聞いたら普通は目の前にスッと出てくると思うじゃない! この状況は私は悪く無いもん!


 と、叫びたかったけど、クックさん相手だと何か言い返されそうだから心の中だけで叫んでおいたよ。


 この居た堪れない状況を早く終わらせたかった私は、剣を受け取って、王様の言ってた手順を倒れたままの王様にすることにした。

 えっと……まずは剣を王様の肩に添えて、それから……なんて言うんだったかな?

 悩んでると、クックさんが耳打ちでそっと教えてくれた。

 私はクックさんの助言に喜んで勢いよく言った。


「うちとりました!」

「「「討ち取られた!?」」」


 ……あ、あれ?


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