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第83話:テヘ♪ で許してもらえるかな?

 これまでの戦いで、東地区の城下町がほぼ瓦礫と化して山が1つ無くなっちゃったよ。


「これが魔族との戦い……被害は避けれないんだね」

「我はほとんど何もしてないわ! 1人でやったんだろが!」

「「「その通りだな」」」


 魔族の言い分に盗賊さん達も頷いちゃったよ。

 半分……それ以上かもしれないけど、私もそれは認めるしかないよね。

 でも、魔族が居る以上、もっと被害が大きくなっちゃうよね。


 スッと剣を正面に構える。

 剣と剣の戦いは得意じゃないけど、現状だと周りへの被害が1番少なくなるよね。

 

「ちょっと待て! 何をやる気満々で剣を構えてるんだ!」


 魔族が首をブンブンと横に振りながら両手を突き出して、待て待て! ってジャスチャーしてくる。


「魔法じゃ被害が大きいから、剣でって思ったんだけど……」

「魔法も剣も同じだろ! この斬撃の跡を見たら分かるであろう!?」


 魔族が懸命に指差したところを見てみると、振り抜いただけで地面に出来た、縦一直線に抉れた深さ4メートルの大穴があったよ。

 うん。斬り合っただけで、ていうか鍔迫り合い? ていうのだけでも王都が壊滅しちゃいそうだよ。


(クックック。サクヤ様は力の制御というものをまずは覚えましょうか)

「そうするよ……」


「ということで、我は退却させてもらおう!」


 そう言うと、魔族の周りに白い煙が巻き起こって、姿が見えなくなっちゃった。


「我が名は、あんまん! この名を覚えておけ!」


 本人は強いのに名前が微妙に強そうじゃないよ!? つぶあんかな? こしあんなのかな?

 とにかく、煙で見えないけど、逃げられちゃったみたい……。


「あ、言い忘れてたことが――ゲホ! ゴホ!」

「まだ居たよ!」

「そこに居るゴブッ――ゲホ! コホ! ゴブリンだが、ゴホ!」

「自分で出した煙で咽ないでよ!」


 しばらくすると、煙がス~と消えていった。

 我慢できずに、自分で消したみたいだよ。


「言い忘れてたが、そこに居るゴブリンだが、お前達の仲間になりたいそうだ」

「え?」


 魔族が指差した先、近くに居たゴブリンを見てみると、目を潤ませて私をじっと見詰めてた。


「「「て、ゴブリンが近くに居たのか! 全然気付かなかったぞ! 存在感の薄い奴だな!」」」


 そこに居た盗賊さん達が見事にハモって言った。


「そいつは臆病で役にたたぬだろうが、スパイとして仲間にしてやってくれ」


 ……。


「スパイって言っちゃったよこの人!?」

「「「思惑は口に出しちゃダメだろ……」」」

「がはは! では、さらばだ!」


 高笑いを残して、今度こそ魔族が姿を消して居なくなった。

 で、残されたゴブリンは……。


「グア……」


 ゴブリンが仲間になりたそうに見詰めている!

 Q:どうしますか?

 A:仲間にする。

 A:仕方ないから仲間にする。

 A:可哀相だから仲間にする。

 A:足を踏んじゃったから仲間にする。


 ……あれれ? 頭の中には仲間にすることしか浮かんでこないよ。


(クックック。おそらく、出会いで足を踏んでしまったとき、既にファミリーが発動していたのかと)

「あ~……そういうことなのね」


 ばら撒かれた荷物を拾い集めてくれたのは、つまりそういうことだった訳かな。


 そんなこんなで、どうするか迷っていると、お城の方角から凄い音が響いてきて地響きを感じた。

 そういえば、総攻撃を開始するって言ってたよ!


「盗賊さん達は途中に居るはずのラグルさんの部隊と合流して! 私は空を飛んで先に行くから!」

「わかった! 嬢ちゃんは魔王軍に特大の一発をかましてやれ!」

「うん!」


 ゴブリンの処遇は後で決めることにして、急いで城に向かった。




 お城の上空に到達したと同時に、どこからか飛んできた赤い魔力弾がバリアに命中して、バリアが粉々に砕け散った。

 それを合図にして、魔物の軍団が正門に向けて横一列で進軍を開始した。

 数はざっと見た感じ300くらいかな? 今まで見たこともない魔物までいるよ。

 人型だけど、岩で出来た体で大きさはオーガの2倍くらい。あれって、ゴーレムっていう魔物かな?

 そのゴーレムが3体は確認できた。

 無人の街の建物を破壊しながら真っ直ぐ進んで来てる。

 対してこっちの戦力は?

 真下を見てみると、正門のある城壁の上にイザベラちゃんが見えた。

 城壁の上に、魔導師さん達と弓士さん達が横一列で並んでる。

 私はイザベラちゃんの横に降り立った。


「イザベラちゃん!」

「まあ! まあ! まあ! お姉様! なんと神々しいお姿に!」


 イザベラちゃんは私の翼に興奮して鼻血を大量に噴き出した!


「ちょ! イザベラちゃん興奮しすぎ! 落ち着いて!」

「失礼いたしましたわ。今すぐ抱き倒したいですが、それどころではないですものね!」


 抱き倒したいって……イザベラちゃんの近くに居ると私の身が危ない! て、今は本当にそれどころじゃないんだけど。


「何故か不思議な光が周囲を照らして、魔法が使えるようになったみたいですので、魔法の射程に入り次第、攻撃を開始いたしますが、皆の魔力量では焼け石に水……ですわね」


 威力の高い広範囲魔法は、消費魔力も高いし、連発も出来ないらしいよ。

 あのあんぱんっていう魔族が言ってたことだね……。

 その魔法を連発しちゃった私の力って……実はとんでもなく凄い?


(クックック。サクヤ様の魔法で援護してあげては?)


 地に足が着いた途端にクックさんが気絶から回復した。

 これって凄く面倒。クックさんには高所恐怖症克服の特訓をしてもらおうかな。


「どうやって援護するの?」

(サクヤ様の魔法は、射程距離など関係なく、イメージだけで発動することが出来ます)


 想像+創造=クリエイトってことかな?


(ですから、敵陣のど真ん中に魔法をイメージして発動してやればいいのですよ。クックック)

「分かった。やってみるよ!」


 敵の集団の真ん中に……爆発系だと、大穴が空いちゃうよね? インフェルノみたいな爆発と地面をマグマに変えちゃう地殻変動系も問題外だし……。

 そうだ! 逆に吸い上げちゃえばいいんじゃないかな! だとしたらテレビでみたあの広範囲に被害をもたらす自然現象しかないよね!


「いくよ~! トルネード・バースト!」


 唱えると、四方から風が吹き抜けて、敵陣の真ん中に集まって渦を巻き始め、やがて周りにあるもの全てを天高く吸い上げる大竜巻が出来上がった。

 竜巻の中で、風の刃が次々と魔物を倒していく。


(ほう……風魔法ですか)

「凄いですわお姉様! 最上級の風魔法ですわ!」


 と、周りに居た人達も驚嘆の声をあげた。


「残ったのは範囲の外に残った雑魚だけだ! 打って出るぞ! 魔法の範囲には入るなよ!」


 正門から騎士団が魔物目掛けて突っ込んでいく。


「お姉様の魔法の威力はどうなってますの?」

「えっと……ギルドカード、魔法説明」


 トルネード・バースト(クリエイト)


 範囲内の全てを巻き込み、空高く吸い上げていき、その中で風の刃が切り刻む。

 脱出不能。範囲に入ったものは助かる見込みほぼ0。

 風の刃から辛うじて生き残った者も、最後のバーストによる爆発によって助からない。


 注意。


 巻き上げられた瓦礫がバーストの爆発により弾丸の如く撃ち出され降り注ぐ。

 範囲予測不能全体攻撃。

 この魔法は被害の少なくなる草原などで使用しましょう。


「イザベラちゃん。ここって草原じゃないよね?」

「……王都、廃墟、瓦礫の山……ですわね」


 ……。


「皆様お逃げになってぇぇぇぇぇ! に~げ~てぇぇぇぇ!」


 イザベラちゃんが叫んだ直後、すぅ……と、竜巻が消えていって、宙に残った瓦礫が爆発によって威力を増して降り注いだ!

 しかも、その瓦礫自体に爆発の魔法が付与されてて、地面に落下した直後に爆発。

 正門前の西地区、ほぼ壊滅、被害甚大。逃げ惑う人と魔物で阿鼻叫喚の地獄絵図……。


「えっと……光の防壁」


 これでお城は安全……多分。


(クックック。トルネード・バースト……バーストですか)


 バーストってつけるとかっこよくて強そうかなって思っただけなんだけど……。


 やっちゃった! テヘ♪


 許してもらえないだろな~!



 ☆ ☆ ☆



 一人の男が玉座に座っている。

 光は無く、闇に閉ざされたその一室で、その男の高すぎる魔力が体から溢れ出し、周囲を赤く照らしている。

 その部屋のドアがガチャリと音をたてて開いた。


「戻ったか、あんまん」

「はい。魔王プレリア様」


 あんまんは、玉座の前まで進み、片膝を付いて頭を下げた。


「して、計画は上手くいったか?」

「はい。能力を覚醒させるのに成功しました」

「ふむ。情報は収集できたか?」

「もちろんですとも! この数値をご覧ください!」


 名:サクヤ 15歳。


 身長143センチ 体重34キロ

 バスト:アンダー55 トップ60

 

「15歳!? 10歳の間違いではないのか?」

「胸が僅かながらに膨らんでいることから、15歳で間違いないでしょう!」

「そこで判断するのか!? ……ま、まあいい。それよりも、肝心な強さは?」

「我よりも強いですな」

「……は?」

「詳しく言いますと、予測不能な行動で我の攻撃を軽々と避け、いつの間にか我が倒させている、といったところでしょう」

「ふ……ふむ。数値とかはないのか?」

「ないですな」


 身体特徴は詳しく調べて、どうして肝心なとこはないんじゃろなぁぁぁぁ!?


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