第81話:勇者の剣復活! そして大空へ?
クックさんと合体してヴァルキリーモードになって、力が湧いてくるのが分かった。
多分だけど、クックさんのステータスとプラスαされてるのかな?
問題は、鎧を身に纏うことが出来ても、戦闘に必要な武器がないんだよね。
その鎧に関しても、下半身はブーツのみだし。
「クックさん、脚はブーツだけなの?」
(クックック。ホットパンツから伸びる細くて綺麗な脚を防具で隠してしまうなんて、とんでもないことですよ)
聞いた私がバカだったよ。
そこに攻撃が当らなければいいんだろうけど……。
まぁ、それは今までの私と変わらないからいいのかな。逆に動きづらくなっちゃうと困るしね。
「がはは! 多少は強くなったようだが、それで我に勝てるかな? さぁ、戦闘開始といこ――」
「まだ武器のこと話し合うからちょっと待ってて!」
「あ、はい」
魔族は座り込んで、さっき私の落とした物を持ってきてくれたゴブリンと何か会話を始めた。
まさか本当に待ってくれるとは思わなかったよ。
「嬢ちゃん。俺達はどうしたらいい?」
周辺の魔物を倒した盗賊さん達が集まってきた。
怪我をした人もいるみたいだけど……。
「盗賊さん達の状況は?」
「負傷者は半数を超えてるな。戦闘不能者は4名。はっきり言って1体のオーガ相手でも厳しいぜ」
「う~ん……」
どうしよう? お城に戻るにしても遠いし、負傷者さんとかは移動も大変そうだよ。
(下手に動かないほうがいいでしょうね。敵に遭遇した場合、負傷者を守りながらだと全滅の恐れもありますよ)
「だよね」
ということで、盗賊さん達にはこの場で待機してもらうことにした。
で、武器のことだけど……。さすがに、クックさんに勝った相手に素手で戦うのは無謀だよね?
(クックック。サクヤ様。そのクリエイトで剣を作ってはどうですか?)
「え?」
(私のコアを作ったように、材料さえあれば作れるのでは?)
「あ! そうか! クックさんに預けた折れた剣の本体だね!」
(そうです! 私のコアと同じ素材ですから、きっと作れるでしょう! さあ、空間の狭間に保管していますから、私の大事な物と念じながら取り出してください)
「うん! クックさんの1番大事な物、出てきて!」
右手をかざすと、空間に亀裂が入った。
その狭間に右手を入れて、触れたものを引っ張り出した。
布っぽい手触りだったけど、確かクックさんは折れた剣を布に包んでたはず。
これに間違いないね!
右手をそのまま突き上げて、クリエイトを……。
と、思ったら、右手に掴まれた水色のそれは、そよ風にパタパタと揺れて。
「――っ! これ私のホットパンツだよね! え? 1番大事な物ってこれなの!?」
(……私は折れた剣が1番大事な物とは言ってませんが?)
「……うん。1番とは言ってなかったけど」
(そのホットパンツは、リリーに洗濯当番を代わってもらい、密かに手に入れた物でして……)
でして……じゃないよ! 皆が見てる前で意気揚々とホットパンツを掴んで右手を突き上げてる私は凄く恥ずかしいんですけど!
「がはは! それが武器か? では、戦闘開始といこ――」
「そんなわけないでしょ! どうやったらこれが武器に見えるのかな!? 準備できたら教えるから座って待ってて!」
「あ、はい」
……魔族って、変なのしかいないのかな? って思えてくるよ。
気を取り直して、今度こそ折れた剣を取り出すことが出来た。
最初から折れた剣って指名して取り出せば良かったってことだけどね。
ホットパンツを魔の手から救出出来たから良かったって思っておこうかな……。
折れた剣を右手に、折れた短剣の柄を左手に持って、完全な剣をイメージする。
「クリエイト! 勇者の剣!」
剣と柄が光り輝いて、頭上に浮いていって、光が一つになって剣の形になった。
短剣より長くて、一般的なショートソードよりも短いけど、立派な剣が右手に握られた。
凄く軽くて、物を持っているって感覚が全然ないよ。
「お待たせ」
「がはは! それが武器か? おもちゃみたいだな」
プッチィィィン! 私に中で何かが切れた。
「おもちゃじゃないもん!」
真っ直ぐ魔族目掛けて突っ込んでいく。
魔族がそれに反応して剣を抜いた瞬間。
「スロー!」
時間がゆっくり進んでいく中で、横に跳んでそのまま駆け抜けて、魔族の背後に回りこんだ。
そして、スロー解除!
「不意打ちアタック!」
「掛け声かけたら不意打ちにならんわ!」
魔族が体を回転させて剣を振ってくると同時に、私は瓦礫に躓いて前のめりに倒れそうになっちゃった!
おっとっと……て、倒れないように片足ケンケンでバランスを取ってる頭の遥か上を剣が通り過ぎていって、片足ケンケンのまま前に突き出された私の剣先が……。
――プス!
魔族の右太腿に刺さった。
「ぬお! ぐぉぉぉ!」
魔族は太腿を押さえながら転げ回った!
「ぐおぉ……上への攻撃と見せかけての下への攻撃……見事な不意打ち!」
不意打ち成立!
「だが、同じ手は2度と喰らわんぞ! 痛いし!」
そう言って、翼を広げて空に飛んでいっちゃった。
接近戦を嫌って距離を取った?
魔族は小さく見えるまでどんどん高度を上げていって、ピタッと止まると、何か光るものを撃ち出してきた。
(アイスランスです! 回避を!)
「うわ!」
後方に飛び退くと、さっきまで立っていた場所に氷で出来た槍が刺さって、周囲の地面を凍りつかせた。
その後も私を追うようにアイスランスが飛んできた。
避けることは簡単だったけど、アイスランスが刺さった地面が凍っていって、足場が滑るようになってきた。
(このままでは不利になる一方ですね。私達も飛びましょう!)
「え? 飛べるの?」
(クックック。もちろんですとも! 背中に翼をイメージしてください)
「うん!」
私が身近にイメージできる翼って、1つしかなかったよ。
強くそれをイメージすると、羽織ってたピンクのマントが輝いて、純白の天使の翼に変わった。
「これからどうしたらいいの? 当然だけど、飛んだことないよ?」
(クックック! サポートはお任せください! さあ! 大きく羽ばたくのです!)
「それなら安心だね! いくよぉ!」
バサァ! と、1度羽ばたいただけで、地面から足が離れて、空高く舞い上がった。
「クックさん。これからどうしたらいいの? 方向転換とか」
………………。
……。
「気絶しちゃってるよこの人! ちょ……! 自信満々に言ってたサポートは!?」
動揺して右側の翼にちょっと力を入れただけで、左側にギュンと錐揉み状態になって……。
「きゃぁぁぁぁぁ!」
大空に悲鳴が響き渡りました。




