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第80話:覚醒のオーバードライブ!

 盗賊さん達も戦闘に加わって、周囲は大混戦になった。

 私を守るために輪の陣形を組んで攻撃を押し返してるんだけど、厄介なのは浮遊魔力から生み出されてくる魔物達。

 倒しても次から次に湧いてくる。


「クックック……。やはりあの魔族をどうにかしないといけないみたいですね」

「どうにかするって、傷ついたあんたが勝てる相手なのか?」

「……サクヤ様は任せましたよ」


 クックさんは、その問いに答えることなく、魔族目掛けて跳躍して突っ込んでいった。

 あの魔族の相手が出来るのはクックさんだけ……。

 能力はクックさんが負けてるけど……。


「クックさん頑張って!」


 エールの能力アップに望みを託すしか出来ない!


「こっちも全力でいくぞ! オーガ相手には3人で挑め!」

「「「了解!」」」


 盗賊さん達が少しだけ陣形を変えて、迫ってくるオーガに対応した。

 私のナイフだとオーガは相手出来ないけど、モフモフさんとリンクしてる今だったら、ゴブリンくらいは対処できる!

 

 ゴブリンの振り下ろされた短剣を体を捻って避けて、隙だらけの首筋をナイフで斬りつけると、光になって消えていく。

 殺傷力の低いナイフでも、リンクしてるスピードと急所を正確に攻撃したら十分戦えるね。

 どこからゴブリンが飛び出してくるか分からないから、周辺の建物の位置も気をつけないといけないけど、盗賊さん達が私をカバーするように動いてくれてるから大丈夫かな?

 あ! そうだ! 逆に私が建物の瓦礫に隠れて、そこから盗賊さん達の援護出来ないかな?


 半壊してほとんど壁だけになってる建物がちょうど横にあったから、身を隠すために素早くそこに飛び込んだ!

 そして右足で何かを踏んだ感触があって……。


「イタァァ! グギャャ!」


 直後にゴブリンの悲鳴が響き渡った。

 そこに先に隠れてたゴブリンの左足を踏んじゃった!

 痛さで転げ回るゴブリン……。


「ごめんなさい! 痛いの痛いの飛んでけ~!」


 とりあえず痛がってる左足を擦っておいたよ……。

 作戦は頓挫して元の位置に戻ろうとしたとき、横から蹴りが飛んできて、咄嗟に左腕でガードしたけど体重が軽いから簡単に飛ばされて5メートル先の壁に体を叩きつけられた。

 

「あぐ!」


 衝撃はあったけど、ダメージはそれほどなかった。

 その衝撃でリュックの中身が飛び出て周辺にまき散らかしちゃったけど、リンクしてなかったら全身の骨が砕けてたかも……。

 操られし男ジスケルさん……居たのをすっかり忘れてた。

 そのジスケルさんが踏み込んで剣を振り下ろしてきた。

 私は尻餅を着いちゃってて、スローを発動しても回避が間に合わない!

 ジスケルさんが剣を振り下ろした瞬間、視界の右隅からクックさんが見えた。


「ぐお!」


 剣が当る寸前に、ジスケルさんはクックさんの体当たりで吹き飛んでいった。

 

「クックさん、ありが……」


 ――ドン! 


 お礼を言おうとした目の前で、魔族の右手がクックさんの胸を後方から貫いた。

 そして、魔族の右手に握られていた赤く光っている何かが、粉々に砕け散った。


「ぐ! おぉぉ!」


 ――クックさんの身体がゆっくり薄くなっていってる。


「クックさん!」

「くははは! 自分よりも強い者を相手にしている最中に他の者を守ることを優先するとは、愚かなことだな!」


 魔族が右手に残った欠片をパラパラと地面に落としながら笑った。


「おい! あのあんちゃん消えかけてるが負けたのか?」

「そうだ。我に対抗できる者が負けた今、お前達全員の負けは確定した」

「……クックさん」


 全身から力が抜けていくのが分かった。

 絶望が心を支配して、視界を黒く染めて……。


「嬢ちゃん! あんた魔王だろ? あんちゃんを復活させたり出来ないのか?」

 

 復活って言われても、クックさんはすでに3つの光の粒子となって消えかけてる。

 そんな状態のクックさんにエールをしても意味ないだろな……。

 他に方法なんて知らないし。


「ははは! 復活だと? 無駄だとは思うが教えてやろう。そいつは魔道コアによって3体の魔族を融合させて作られた存在だ。我はそのコアを破壊した。そのコアを作り出せることが出来れば再び呼び戻せるかもな」


 コアを作る……どうやって? 材料は?

 魔王といっても、私には知識なんてあるわけが無いんだよ?

 

「グギャ……」


 一匹のゴブリンがいつの間にか後ろに居て、私の服を引っ張った。

 このゴブリンは、私が足を踏んじゃったゴブリンだった。

 その手には、地面に散らばったリュックの中身が握られていた。

 集めて持ってきてくれたんだね。

 そして私はその中の1つを見て、視界が闇から晴れていった。

 そう……リュックに入っていた物。


 折れた伝説の剣の柄の部分!


 それを受け取ると、私の手の中で光り輝いた。

 材料は多分これだよ! 

 悪の魔王は魔柱石でコアを作った。そして、これは私の勘だけど、伝説の剣って、高密度の聖柱石で作られてるんじゃないのかな?

 だったら、この折れた剣の1部でコアを作れるはず!

 でも、どうやって作ったらいいんだろう?


『スキル、クリエイトを完全開放されました』

「え?」


 ウエストポーチから声が聞こえてきた。

 ギルドカードだよね?

 クリエイトって……英語は苦手だけど、創造って意味?


「えっと……スキル、クリエイト発動! 聖道コア作成!」


 バシュン! て、光となって弾けた後、私の目の前に弾けた光が集まってきて、柄の部分だったものがソフトボールくらいの大きさの宝石みたいになった。

 あとは、頭の中に浮かんできた言葉をそのまま発した。


「3つに別れし清き光、再び集い、姿を成せ!」


 言葉にした瞬間、コアが優しく光って、それに吸い込まれるかのように3つの光が集まって、人の形に変わっていった。


「……1つ、聞いてもよろしいですか? 私の名は?」

「そんなの決まってるよ! クックさん!」

「クックック! そうですね。私の名前はクックさん! 『クック』ではなく、クックさんですよ! クックック!」


 目の前には、何1つ変わってないクックさんが居る!


「がはは! 復活したとて、能力の変化もないではないか! また負けというものを繰り返すだけだな!」


 そうだよ……。前と同じじゃ勝てないんだよね……。


「いや……同じじゃね~ぞ? 嬢ちゃんとあんちゃんの体、お互いに光ってるじゃないか」

「「え?」」


 私とクックさんが同時に見つめ合うようにお互いを見た。

 確かに、盗賊のボスさんの言う通り、クックさんと私の体が光ってる。


「サクヤ様、私とリンクを」

「クックさん……分かったよ! リンク!」


 ……。あれ? 何も起こらなかったよ。

 リンクも発動しなかった。


『キズナが規定値を超えました。オーバードライブを開放しますか?』


 ギルドカードからまた声が聞こえてきた。

 しますか? って聞かれたら、迷わず開放だよね!


「リンク・オーバードライブ!」

『神格モード、ヴァルキリーを発動します』


 発動した瞬間、クックさんが完全な光となって、私の中に入ってきた。

 これって、一体化……合体したってこと?

 光となって私と合体したクックさんは、私を守る鎧になった。

 白銀に輝く胸当て、篭手、そしてブーツ。


 あ! クックさんと合体したってことは、今の私は歳相応の長身スレンダー美女に!


(これがサクヤ様の視界ですか……凄く低いですね! クックック!)


 頭の中に直接聞こえてきた声に絶望したよ……。


「それは置いといて……戦乙女・ヴァルキリー誕生!」

(戦幼女……クックック)


 ……後で覚えてろ~~~!


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