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第79話:道に迷った援軍到着?

 ジスケルさんの足元をよく見てみると、ゴブリンが数体倒れてた。

 凄い! 1人で倒しちゃったんだ!


「ジスケルさん!」


 急いで駆け寄る。


「いけません! サクヤ様!」

「え?」


 制止の声で止まろうとしたんだけど、駆け出した足は止まってくれなくて、ジスケルさんの手前まで来たとき、倒れていたゴブリン達が起き上がって一斉に飛び掛ってきた!

 忘れてた……。浮遊魔力から生まれた魔物は、死んだら光となって消えちゃうんだよ。

 そのまま倒れてるってことは、死んでなくて、私は丸見えの待ち伏せの罠に嵌っちゃったってこと……。


「グギャャャ!」

「うわ! キャ!」


 スローも間に合わない! 右は建物の壁で避ける幅がない! 私は咄嗟に左に跳んだ。

 でも、そこで更に驚くことが待ってた。

 今までただ立ってたジスケルさんが、私の行動を予測して、そこに剣を振り下ろしてた。

 短剣で受け止め――!


 バキィィィン!


 重い一撃に短剣を粉々に砕かれて、後ろに吹き飛ばされた!


「サクヤ様!」


 バスン! と、クックさんに抱きとめられる。

 そのおかげでダメージは無かったけど、どうしてジスケルさんが……?

 混乱していると、ジスケルさんの後方からファイアボールが飛んできた!


「光の防壁!」


 クックさんが右手を突き出して防いだ。


「不意打ちも避けるとは。いやいや、さすがに子供でも魔王ということか」


 ジスケルさんの後ろから、黒い靄に包まれ、全身を赤い鎧で纏った魔族がすっと現れた。

 額から2本の角が生えてて、一目で魔族だと分かったよ。

 ファイアボールを撃ってきたのはあの魔族……。

 そのファイアボールも、初級魔法のはずなのに、クックさんが光の防壁で防がないといけなかったほどの威力だった。

 それにこの魔族は見覚えがある。


「クックさん。この魔族って、砦の街で見た魔族だよね?」

「ええ。私よりも強いですよ……。ラグル殿を瀕死に追いやったのもこの魔族でしょう」


 クックさんが腰を落として防御態勢を取ってる。

 こんなに警戒してるクックさんを初めて見る。


「さあ、いくぞ」

「簡単に倒される私ではありませんよ!」


 魔族が突っ込んできたのをクックさんが剣で受け止めた。


「我の相手はお前か。ならば、その子供はその操った男にしてもらおう」


 ジスケルさんがゆっくりと動き出した。

 ていうか、やっぱり操られていたんだね。


 リュックから調理用のナイフを素早く取り出して身構える。

 プニプニさんが居れば絶対防御で有利だったんだけど、今はお城で回復要員として頑張ってもらってるんだよね。

 

 ジスケルさんがあっという間に距離を詰めて剣を振り下ろしてきた。

 それをスローで避ける。

 今までの知ってるジスケルさんと違って、操られてるからか、リミッターが外れてるみたいで力も速さも段違いだった。

 でも、私だってリンクで強くなってるんだからね! それに、リンク中だけしか使えない新しく覚えた技を使ってあげるよ!

 スローを発動させて、ナイフを横薙ぎに振り抜いた直後にスローを解除した。

 スローの中で全力で振った速さは、通常だとどうなるか……だよね。

 音速を超えるナイフが空気を切り裂いた手応えがあって、真空の刃がジスケルさんに飛んでいった。


 バシュン! って音がして、ジスケルさんを後方に吹き飛ばした。

 やっぱりナイフだと、短剣と違って威力が小さい。

 でも、これでいいのかな? ジスケルさんは操られてるだけで、傷つけられないし、殺しちゃったらダメだよね?

 追撃でダメージを与えて気絶させられないかな?

 もう1度ナイフを振る態勢をとったとき、廃墟になった家の窓からゴブリンが飛び出してきた!

 そのまま後方に跳んで避けようとしたんだけど。


 ドン! と、すぐ後ろの家の壁に阻まれちゃった!

 平原と違って街中だと障害物が多すぎる!

 目の前にゴブリンの短剣が迫ってくる!


 パキン!


 クックさんの光の防壁が金属音を響かせながら短剣を弾いてくれた。

 助かった……って一息ついた瞬間、目の前の家を突き破ってクックさんが吹き飛んできた。


「グフ!」


 そのまま後ろの壁に激突して片膝を着いた。


「ははは! 所詮は低級魔族を3体融合して作れられただけの存在だな。中級になろうとも、我には遠く及ばぬ。ましてや、この幼い魔王を守るために我から意識を反らすなど、とんだ蛮行だな」

「私は守護騎士……。それが使命。守りきってみせますよ……」


 クックさんがボロボロの身体で立ち上がった。

 能力は相手が上……、それに私を守るために集中できなくて、一方的にやられちゃったのかな……。

 私が完全に足手まといだ。


「では、絶望の中で2人共々消え去るか?」


 魔族が両手を広げると、浮遊魔力が凝縮していって、次々に魔物が生まれ出てきた。

 ゴブリンが30、オーガが10体。

 完全に囲まれちゃってる。


「グギャャ!」


 雄叫びと同時に、最前列に居たゴブリン5匹が一斉に飛び掛ってきた!

 クックさんはまだダメージで動けないし、私の持ってるのは調理用ナイフだけ……。

 ゴブリンはどうにか出来るかもだけど、その後ろにはオーガと魔族。

 絶体絶命だよ。


「諦めませんよ!」


 クックさんが1匹のゴブリンを剣で両断したけど、その後ろからもゴブリンが飛び掛ってきた。

 クックさんはダメージからか、バランスを崩して反応が遅れた。

 その首筋にゴブリンの短剣が迫る!

 短剣が当る! と思った瞬間。


 ピシュン!


 と、風を切る音と共に、どこからか矢が飛んできて、ゴブリンの側頭部を貫いた。

 その後からも、シュン! シュン! って何本もの矢が飛んできて、ゴブリンを次々に貫いていった。


「全矢命中! お前ら、2人を守るように輪形陣をとれ!」

「「「了解!」」」


 盾を持った兵士さん? が、私とクックさんを囲むようにして現れた。


「よう、あんたら久々に会ったと思ったら苦戦してるじゃね~か」

「え? 久々って……誰?」

「「「御頭! だから髭は剃っちゃダメって言っただろ! 絶対に別人に見えるんだから!」」」

「うるせ~! 盗賊から兵士に戻ったケジメだ!」


 と、その御頭って呼ばれた人は、顎を右手で撫でながら私に笑顔を見せてきた。

 そのとき、私はこの人が誰だったか分かった。


「盗賊のボスの人!」

「おう! 王都に自首に向かってたんだが、道に迷ってここまで来ちまったぜ! まあ、来ちまったついでだ! 命を賭けて守ってやるよ!」

「「「おう!」」」


 絶体絶命の危機に、道に迷った頼もしい? 援軍が来てくれたよ!


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