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第76話:激おこだよ?

 残りの回復薬を指揮官の兵士さんに渡した後、城の中を案内してもらうことにした。

 防衛拠点の把握って目的もあるけど、私が1番気になってるのは、どうして魔法が使えない状況で、このお城だけバリアが張られているのかってこと。

 このバリアの中でだったら、魔法も使えるみたいだし。


 お城の中の大きい通路を歩いてる。

 ドアも大きくて、モフモフさんも余裕で入って来れちゃった。

 山の割合が多いこの国では、鉱山資源が豊富で、その鉱山資源で建てられた建築物は他の国と比べて大きいらしいよ。


「クックック。ところで案内役の兵士さん。1つ聞きたいのですが」

「は! 何でしょうか?」

「この国の王族は他国に逃げたのですか? 1度も見かけませんが?」

「そういえば、1度もそれらしい人見てないね」


 フェルドの王族さん達だったら、最前線に常にいる感じだよね。

 実際、イザベラちゃんが私の横に並んで歩いてるし。


「王はこの先の地下の聖域にいます。王妃様は隣国に避難されました。あとは姫様ですが……」


 そこまで言って後ろをチラッと見る。

 つられて私達も後ろを見ると、柱の影からこっちを覗き込む顔が半分だけ見えてた。

 まあ、一言で表すと。


「こわ!」


 薄暗い廊下でそれやられると怖いんですけど!


「フラージュお姉様、相変わらず人見知りなのですね。隠れてないで出てきてくださいまし」

「うん……」


 イザベラちゃんに声をかけられて出てきた女性はイザベラちゃんに似ていたよ。

 見た目は15歳か16歳くらいだけど、本当にイザベラちゃんにそっくり。違いは縦ロールの髪じゃないことくらい。


「イザベラちゃん、お久しぶり……」

「お久しぶりですわ」

「……そのワンちゃん何もしない?」

『するわけないだろ』

「ひ!」


 小さな悲鳴を上げてイザベラちゃんの後ろに隠れちゃう。

 これはあれだね。可愛いよ! この人!

 

「私から皆さんに紹介しますわ。この方がこの王国の王女、フラージュ様ですわ。私とは従姉の関係ですわ」


 国王の妹が、イザベラちゃんのお母さんっていうことらしい。

 イザベラちゃんて、本当に王族の血筋だったんだね……。

 で、従姉のフラージュさんて人、イザベラちゃんに似てるけど、性格が正反対だよ!

 ま、イザベラちゃんみたいなのが増えても面倒だから、これはこれで良かったけど……。




 私達は自己紹介しながら、地下の聖域って呼ばれるところに着いた。

 広い円形の部屋で、地下だというのに通ってきた廊下よりもとても明るかった。

 その原因は、台座の上に鎮座して輝きを放っている球体。

 その球体に、リリーが両手を伸ばして魔力を注いでた。


「あ、サクヤっち~。無事に来れたんだね」

「うん。リリーのおかげでバリアも立て直せたよ」

「よかった~。でもこれね、すごく魔力消費するよ」

「そうなの?」

「私が来るまでは10人の魔術師が魔力を注いでたんだけど、魔力切れで限界だったみたい」

「へ~」


 それが今ではリリー1人で維持してるって、本当にリリーの魔力はクックさんと同等くらいあるんだね。


「クックック。聖柱石で出来た結界装置ですか」

「聖柱石?」

「悪の魔王が作ったものが魔柱石。善の魔王が作ったものが聖柱石と呼ばれるのですよ」

「へ~」


 聖柱石は守護の力を与えるらしいね。だからバリアを張れて、この中でなら私達は魔法を使えるってことらしいよ。


「ちょっと待っててね~。魔力の半分を注いで安定させるから」

「クックック。では、私の魔力も少し注いでおきましょう」


 2人の魔力が手から放たれて、球体に吸収されていった。

 人間10人の魔力よりも遥かに大きい魔力が注がれたんだから、バリアは1週間くらいなら敵の総攻撃にも耐えれるはず……だよね?


「礼を言うぞ。勇者サクヤ殿」


 いきなり甲冑を着込んだ中年の男性が声をかけてきた。

 中年太りって感じで、鎧も少し横にデカイ……。

 顔は顎鬚を伸ばしてるけど、優しい顔かな。

 

「えっと……誰?」

「お久しぶりですわ。ベラジュール王……ラルク叔父様」

「え!? 王様?」

「おや? そんなに驚くことかね?」

「だって、王様って、もっとこう……オーガみたいな?」

「……お姉様、それは私のお父様とフェルド王が特殊なだけですわ」

「ぶわははは! フェルド国でとんでもないイメージをもってしまったようですな!」


 だよね~! あの2人が特別なんだよね!

 とにかくも、これからのことを話し合いたいというラルク王の提案で、各国から来ている指揮官クラスの人達と会議することになった。


 で。

 私はラルク王の隣に座って、円卓に座っている人達の話を聞いてたんだけど。


「バリアが強固になったとて、外の包囲をどうにかしないといけないでしょう!」

「我がロシキア騎士団の力なら突破も出来るでしょう!」

「騎士団? 突撃しか知らない傭兵団の間違いでしょう? ヘルブナンド軍ならば、緻密な戦略を用いて――」

「魔術師が大半だろう! ここへ来て役立たずになっておろうが!」


 さっきからこんな感じ。

 きっぱり言うと、他国の騎士団同士は不仲。

 元々親交のあったベラジュールとフェルドの騎士団だけはお互いに仲がいいみたいだけど、他の騎士団が間に入っちゃったら、もう……ね。

 そもそも、戦略が~我が軍が~とか言われても、その知識がない私には意味不明。

 だからね、私は聞くのを止めて、出されたお菓子をポリポリ。

 皿の上のお菓子がなくなっちゃったから、少し奥にあるお菓子を取ろうと身体を伸ばして、元の位置に戻ろうとしたとき、曲げた左肘が、ガラスのグラスに当っちゃって床に落ちて砕け散ったよ。


 パリン!


 その音が会議室に響き渡った瞬間、皆が驚いてこっちを見てきて、何故かみんなが椅子から飛び退いて床に平伏しちゃったよ。


「魔王サクヤ様! 何かお怒りになられるようなことを我々は致しましたのでしょうか」

「あ……え?」

「「「ご容赦を! お怒りを静めください!」」」


 あ、そいうこと? 私はグラスを不注意で落として割っちゃっただけだけど、この人達は、私が怒ってグラスを床に叩き付けたって勘違いしちゃったみたい。

 驚かしちゃったことを謝りたいけど、この雰囲気じゃムリだよ。

 謝る口を塞がれたよ。

 とりあえず、この展開を打開するために、ラグルさんを読んじゃおう! そうしよう!


 兵士さんに呼びに行ってもらって、ラグルさんが部屋に入ってきた。


「なんだこの状況は?」


 辺りを見回して、困ったふうに頭を掻いた。

 そりゃそうだよね。私もどうしてこうなったか、半分は分かんないもん。


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