第72話:私の役割再確認!
避難民の人達がテントを素早く片付けて、トンネル目指して出発していった。
エールを付与した料理を食べたし、砦の街までは難なく到達できるかな。
「クックック。さて、私達の本来の仕事をしましょうか」
『おう!』
クックさんが剣を抜いて、モフモフさんがフェンリルモードになって戦闘体制をとった。
その視線の先には、避難民の人達を追いかけてきた魔物の群れが迫ってきてた。
「あの魔物達の誤算は、この場に私達が居たということですわね」
イザベラちゃんも杖をかざして、魔法の詠唱を始めた。
「サポートは任せて!」
リリーがクックさんとモフモフさんにディフェンスアップの魔法をかけた。
「私も行くよ! クックさん! リンク!」
クックさんと繋がって、クックさんの能力の一部が流れ込んでくる。
大幅に能力が増えて、戦闘準備はバッチリ!
「まずは私の魔法で相手の勢いを殺しますわ! ファイアウォ――」
「行きますよモフモフさん!」
『おう! 倒した数で勝負だ!』
2人が勢い良く飛び出していって、魔物の集団の手前まで行ったところで、その2人の足元から炎の壁が噴き出した!
狙いすましたような直撃……。
「あっっっっついですよ!?」
『ぐわっちいぃ! キャイン!?』
熱そう……。いい感じに焼けてるね……。
「聞いてなかったんですの! ファイアウォールを使うと言いましたわよ!?」
「うん。言ってたよね……」
「男って馬鹿だよね~」
黒焦げになったクックさんとモフモフさんが後方に跳んで戻ってきた。
たぶん、この2人じゃないと死んでたね。
とりあえず、リリーのヒールで回復させて、仕切り直しになったよ。
イザベラちゃんは、範囲攻撃じゃなくて個別に魔法で攻撃するスタイルに変更して、次々に魔物を倒していった。
イザベラちゃんは、クックさんとリリーの話では、12歳……もう13歳かな? の人族にしては高い魔力を持っているらしいよ?
私も見た目では子供だけど、魔王で勇者だもんね! 負けないよ!
魔物の集団の主戦力はリザードマンていう、トカゲの人型の魔物だった。数は30くらいかな。
盾と剣を装備してて、いかにも強そう……。
そのリザードマンが、正面から剣を振り下ろしてきたのを後方にジャンプして避ける!
「とお!」
空中で身体を捻って華麗に着地!
横に居た別のリザードマンが、追撃で横に剣を振ってきたのを身を屈めながら滑り込んで避ける!
「やあ!」
そのままの勢いで岩肌を蹴ってリザードマンの後方に着地! そこに居たクックさんと背中合わせで態勢を整える。
「サクヤ様、1ついいですか?」
「何?」
「掛け声は勢いがあって立派ですが、避けるだけじゃなくて攻撃してください。クックック」
「そうしたいけど……」
分かってるんだよ? でも、笑うことないじゃないのかな~。
『ボスはこれまでの戦いで避け癖がついてしまってますね』
「む~!」
仕方ないじゃない! 今までは避けるか逃げるしか出来なかったんだから!
ここまで言われると、私も攻撃してあげるよ!
てことで、正面から駆け込んで、短剣を振り下ろす!
スカ! 痛恨の空振り!
「いやいや。全然届いてないですよ?」
「今のは素振りだもん!」
さすがに苦しい言い訳だ~!
実際は怖くて踏み込めないっていうのかな? 今までは私よりも小さいゴブリンとかだったけど、リザードマンはクックさんと同じくらい大きいし、そんなことよりもなによりもね、私……爬虫類が苦手なんだよ!
小さいトカゲを見ただけで悲鳴を上げちゃうくらいだよ!
それが人型? 剣と盾を持ってる? 勘弁して!
「ねえ、剣と短剣だとこっちが不利じゃない?」
『ボス。それを言ったら俺なんて素手ですよ』
「モフモフさんはクロースラッシュがあるじゃん!」
あれって、爪の斬撃が飛んでいくんだよね。どちらかというと中距離技?
「まあ、サクヤ様に怪我をされても困りますから、ここは我々だけで片付けますよ!」
『おう!』
「インフェルノ!」
と、クックさんとモフモフさんがやる気を出して、敵の集団に振り向いた瞬間、イザベラちゃんの魔法が炸裂。
集団の足元からマグマが噴き出して、火山の噴火のような大爆発。一発の魔法で敵を殲滅しちゃった。
「やはり一箇所に固まっている集団には範囲魔法ですわね。魔力消費が大きいので1日一発しか撃てませんけど」
「……クックック。モフモフさん」
『おう……』
「イザベラさんは絶対怒らせてはダメですよ」
『そうだな……』
うん。クックさんとモフモフさんが呆然と魔法の跡を眺めて言うのも納得だね。
単純にイザベラちゃん凄く強くなってるね。
でも、1日に一回しか撃つことが出来ないらしいし、長い詠唱が必要らしいね。
その詠唱の間は無防備になっちゃうし、リリーが護衛してたとしても、リリーには攻撃能力がないし、リンクを使ってる私が護衛するしかないね!
そうだよ! 私が前線で戦う必要ないじゃん!
……逃げたんじゃないよ? 戦術だよ? フォーメーションだよ?




