第64話:出来ると思ったんだよ? 手首がクキってなるまでは。
なにしてるの!? てツッコンでたら、瞬く間にハチ達に包囲されちゃった。
ハチはキラービーっていうらしくて、大きいし、50匹くらいいるし、クックさんが逃げ出すほど強いんでしょ?
そんなことよりも、1番の問題は、私は虫が苦手っていうことだよ!
黒いあいつじゃなくてよかったけど……。
ここはクックさんとリンクしてバランス型をとるか、モフモフさんとリンクして俊敏特化でいくかだけど……。
『クロースラッシュ!』
バシュッっという音と共に、3本の斬撃が飛んでいったけど、キラービーは余裕で横に避けた。
『飛んでいる上に素早くて当らん!』
モフモフさんのスピードでも当らないってことは、ここはバランス型かな?
私の能力が上がっても、攻撃を当てれないかもだけど、少しでも戦力をアップしないとね。
足手まといじゃないってことを見せてあげるよ!
「クックさん! リンク!」
「仰せのままに!」
クックさんと繋がって、私のステータスが大幅にアップした。
短剣を抜いて構えると、いつの間にか、撃ち出された針が目の前に!
当る! と思った瞬間、クックさんが目の前に飛び出してきて、盾で針を弾いてくれた。
これは……飛んでる、素早い、遠距離からでも撃ってくる。なかなかにやっかいだね。
クックさんはイザベラちゃんとリリーの護衛に、私とモフモフさんで一応アタッカーをやることになった。
私達が陣形を取ると、3匹のキラービーが私に向かって飛んできた。
クックさんとモフモフさんでさえ、素早さに翻弄されて攻撃が当らなかった。
でもね、私にしか出来ない攻撃方法っていうものがあるんだよ。
急降下して接近してきたキラービーが、尻を突き出して針を直接刺そうとしてきた。
「サクヤ様!」
『ボス!」
「お姉様!」
「サクヤっち!」
みんなが悲鳴に近い声で名前を叫ぶけど、心配いらないよ。
「スロー!」
キラービーの羽ばたきさえも、ゆっくりと見えるくらいに時間の進みが遅くなる。
その中で、ステータスアップした私は普通に動ける。
針をゆっくりと避けて、背後から短剣で横に斬る。そのまま駆け抜けて、2匹目を正面から突き刺す。
最後のキラービーは2匹目のすぐ近くに居たから、そのまま体をクルリと回転させて切りつけた。
そこでスローを解除すると、3匹のキラービーは同時に光となって消えていった。
「すごいですわ! お姉様!」
「クックック。この私でも、動きが微かにしか見えなかったですね。どういった原理なんでしょう?」
私はスローの中で普通に動いてるだけなんだけどね。
スローがかかってるクックさん達からは、私が高速で動いてるように見えるみたいだね。
でも、この強そうにみえるスローにも、弱点があってね。使いすぎると、すごく頭痛がするんだよ。
3匹のキラービーを倒したと、迎撃体勢をとったんだけど、3匹が同時にやられたのを見て、キラービー達は距離を取るように離れていった。
う~ん……。キラービーの飛んでくる針は、クックさんの防壁で防いでくれてるから大丈夫だけど、攻撃手段がないな~。
「ファイアボール!」
イザベラちゃんが魔法で攻撃するけど、キラービーに届く直前に掻き消されちゃう。
クックさんが逃げ出してきた理由はこれだね。
「クックさんも空飛んで攻撃できないの?」
「……は?」
「あ、ごめん」
何言ってんの? みたいな顔されたよ。
そういえばクックさんは高所恐怖症だったよ。
どうしたらいいんだろう? と、考えてると、足元に落ちてた小石が見えた。
力が300までアップしてる私なら、遠くまで飛ばせるはず……。
石を拾って、正面のキラービーに狙いをつけて投げる!
バシュ! という音と共に、右斜め前にいたキラービーが光となって消えた。
うん。狙って当てれるなんて言ってないよ? でも、他のキラービーに当ったよ?
「さすがお姉様! 器用ですわ!」
「器用だよね~」
「あ……ありがと」
どっちかっていうと、不器用なんじゃないかな~。
「クックさん、石の魔法で攻撃したら?」
「いえ……石を作り出しても、魔力で構成されてるので、掻き消されてしまうかと」
「あ、そっか」
だったら……。
近くにあった大きな岩を持ち上げる。
私より少し小さいくらいの岩を簡単に持ち上げられたよ。力が300あるって凄いね。
その岩を少し上に浮かすように投げて、右拳で~殴る!
ガキ! クキッ!
「いったぁぁぁぁい!」
痛さで地面を転げ回る!
岩は砕けないで、代わりに私の手首が変な方向に曲がったよ!
私の力じゃ無理だったみたいだよ!
「サクヤっち~! ヒール! メガヒール!」
緑色の光に包まれて、痛さが引いていった。
「クックック! サクヤ様のやろうとしてたことが分かりましたよ!」
『俺もだ!』
「いきますよ、モフモフさん!」
『おう!』
クックさんが、さっきより大きい岩を地面から引き抜いて、モフモフさん目掛けて投げて、モフモフさんはその岩をクロースラッシュで粉々に砕いた。
粉々に砕かれた岩は、クロースラッシュの勢いを乗せて無数の弾丸となって、キラービー達に襲い掛かり、不意打ちを喰らう格好となったキラービーたちは逃げることも出来なくて、次々に光となって消えていった。
散弾銃のイメージを思いついたんだけど、大成功だね。私の手首以外は……。
「キラービーは全て討伐完了です。クックック。さすがサクヤ様。こんな攻撃方法は思いつきませんでしたよ」
「うん。自分で出来たらよかったんだけどね」
「いえいえ! もっとご自分の身体をご自愛ください! まったく、サクヤ様は無茶ばかりするんですから!」
「無茶ばかりって、キラービーを連れて来たのはクックさんでしょ!?」
どうして私が説教されないといけないのかな!




