第55話:戦闘訓練! 相手とのレベル差を考えてなかった結果、こうなりました……。
フェルド一族。
この脳筋な王族の意識改革をしないと、この先、王国の未来はないって思えてきたよ。
「ねぇ、ジスケルさんは誰に剣術を習ったの?」
少しだけど、学園経験のある私から見ると、学園で習った剣術じゃないんだよね。
「どうしてそんなことを聞くのか分からんが、俺の師匠はカスケール叔父上だ」
「あぁ~……」
すごく納得。
「クックック。剣は力押しというのは分かりましたが、召喚騎士たちが戦っているとき、どうして戦闘に参加しなかったのでしょう?」
「はっはっは! そんなの簡単な理由だ! 召喚している間は動けないのだ!」
「それ威張って言うことなの!?」
「クックック。もう根本から間違ってますね」
「そうだよね~。動けないって言うんだったら、指示くらいは出したほうがいいよ。私と戦ってるときも連携取れてないようだったし」
独自の判断で戦っていたと思うんだよね。
連携で攻められたら、いくらリンクで強くなってても私が負けてた可能性もあったよね。
「指示か……。今までは指示しなくても勝ててたんだがな」
その言葉に、私の横で立っていたイザベラちゃんが深い溜息をついた。
「お兄様。実戦経験はないでしょう? 今までは国の兵士や騎士達が相手をしていたのですわね」
「うむ。歯応えの無い奴等ばかりだったな」
うわぁ。手加減されてたことに気付いてないよ。
手加減……だよね? まさか本当に弱かったなんてことになったら、この国って終わってるよ。
「クックック。実戦経験がないのでしたら、今から実戦で訓練してみますか?」
「あ、それいいかも」
問題はどこで実戦が出来るかだけど。
王都周辺は兵士さん達が定期的に見回ってるらしく、周辺に魔物の気配がないんだよね。
う~んと考えていると、ジスケルさんが手を上げてきた。
「実戦か。それだったら、王都から馬で東に3時間ほど行ったところにガロル村がある。荒野に囲まれた村だが、その荒野の中心に魔柱石が確認され、魔物が増えていると報告が来ていたな」
「クックック。では、今から行きますか」
「そうだね。あ、ジスケルさんは大剣使うの禁止ね。その持ってる私の短剣を貸してあげるから、力頼りな戦い方を改善してね」
「おう。頑張るぜ。ペッペッ」
……。ペッペッって、両手の平に唾を吐いて短剣の柄を握り締めたよ。
「やっぱりその短剣あげるよ。友情の印」
「おお! ありがとな!」
凄く喜んでるけど、汚くなったからなんて、今更本当のこと言えないよね……。
王都を出てすぐに、モフモフさんとリリーと合流してガロル村に到着した。
ジスケルさんの部下30人の兵士さんもついてこようとしてたけど、さすがにそれは止めてもらった。
ジスケルさんを甘やかされちゃったら、訓練にならないし。
ということで、パーティーメンバーは、クックさん、モフモフさん、リリー。それとなぜか着いて来ちゃったイザベラちゃん。
まぁ、今ではイザベラちゃんも、私の立派なパーティーメンバーの1人だけどね。
村を出て、草木が疎らにしか生えてない荒野を進む。
地は土と岩だけで、草原と違って異様な寂しさを感じるね。
「あ、魔物が見えてきたよ」
鹿のような魔物と、王都に入る前に遭遇したダチョウのような魔物。
それが集団で固まっていたよ。
鹿の角は金属の刃のようになっていて、角先は槍のような鋭く尖った刃先みたいになってた。
明らかに野生の鹿じゃないって分かる。
「じゃ~ジスケルさん。クックさん達に指示して戦闘してみて」
「お……おう!」
「クックック。いつでもいいですよ」
『どんな指示でもいいぞ』
「サクヤっち~。私はサポートに回るね~」
「私もいつでも行けますわよ」
皆準備万端だね! どんな指示で戦闘するのかな?
私以外の指示で皆がどんな動きするのか、興味が出てきたよ。
「よし……。全員突撃~~~!」
「ええ~~~!」
私の驚きの声を掻き消すように、クックさんとモフモフさん、イザベラちゃんまでも駆け出していったよ!
「て、ちょっと! イザベラちゃんは後衛でしょ!」
時既に遅し……。
「ブラストバースト!」
クックさんの魔法が地表で爆発して、後には魔物の形も何も残らず。
「クロースラッシュ! ウルフファング!」
モフモフさんのスキルが敵を切り刻んで。
「インフェルノ!」
イザベラちゃんの魔法で地からマグマが吹き出して……。
相手の魔物集団が、戦闘開始から10秒で消し飛んだよ……。
「サクヤっち~。レベル差がありすぎて、間違った指示でも余裕で倒せちゃうね」
「そ……そうだね」
ジスケルさんを見ると、ポカ~ンと口を開けたまま固まっちゃってるよ。
これはあれだね。クックさんたちの強さを直に見て、魂が抜けちゃってるね。
「サクヤっち~。私のサポートの出番なかったよ~」
「う……うん」
クックさん達、やりすぎ。
そして、魔物の集団を消し飛ばしたクックさん達が戻ってきた。
「サクヤ様、申し訳ありません」
「クックさん、どうしたの?」
『ボス、クックさんの魔法で、魔柱石が守護していた魔物もろとも跡形もなく消滅しました』
「それって、ほんとにやりすぎだよね!」




