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第53話:何事も、イメージって大切だよね

 相手との距離をジリジリと後ろに下がりながら取る。

 後衛タイプ相手に距離を空けるって自殺行為だと思うけど、魔導師は防壁で魔法を防がれるから、無闇に撃ってこなくなったよ。

 こっちも武器がなくなったから、倒し手段がないんだけどね。


「お姉様! 私の杖を使ってくださいまし!」

「えっと……」


 イザベラちゃんの援護は嬉しいけどね、私は魔法を使えないよ?

 手のひらからマッチの火くらいの物が出るだけ……。


「ステータスが上がっている今なら大丈夫ですわ!」

「あ、そっか!」

「さあ! 名前をお呼びになって!」


 ……またこのパターンなんだね。

 イザベラちゃん達は盛り上がってるけど、凄く恥ずかしいんだよ?

 けど、ここは仕方ないね。


「来て! サクヤロッド……」

「呼ばれましたわよ! えい!」


 えい! って、自分で杖を投げたよ!

 まぁ、クックさんのサクヤソードは魔法剣で、イザベラちゃんの杖はどこにでも売ってる普通の魔法の杖だしね……。呼ばれて自分から飛んでいくなんて出来ないよね。

 で、杖は……。


 カラ~ン……。


 4メートルくらい飛んですぐに落ちたよ! 全然届いてないよ!

 えっと……どうしたらいいんだろ?

 拾いに行くと敵に背を見せちゃうことになっちゃうし、当然、その隙に魔法が飛んでくるよね?

 あ! そうか! 前方に防壁を展開してから全速で拾いに行けばいいんだよ!

 早速、相手を睨んだまま防壁を発動させて、杖に向かって駆け出し――!


「え?」


 駆け出した先には、観客席から降りてきて杖を拾おうとしてるイザベラちゃんが居た!

 全速力で駆け出しちゃったから止まれる訳もなく。


「「きゃ~~~!」」


 2人で悲鳴をあげながら、縺れ合うように抱き合う形になって転がったよ!


「ごめん! イザベラちゃん!」

「……お姉様」


 あれれ? イザベラちゃんの目がとろ~んと熱い眼差しになって私を見詰めてるよ?


「公衆の面前で愛の行動なんて大胆ですわ! この行動は婚約……いえ! もうこの場で結婚の儀を執り行ってもいいということですのね!」

「違う! ちっがぁぁぁう!」


 抱きついちゃったことで、イザベラちゃんのバーサクモードが発動しちゃったよ!

 観客席から、「可愛いわね~」「その歳でそういう関係なのか?」とか聞こえてきてるよ!

 可愛いはいいとして、そういう関係は絶対にないですから!

 



 杖を持って魔導師とジスケルさんと向かい合う。

 バーサク状態のイザベラちゃんはどうなったかって?

 正気を取り戻してもらったよ。

 往復ビンタ2発……強制的、物理的にね。

 今はクックさんの隣で両頬を赤く染めて……ていうか腫れ上がらせて大人しく座ってるよ。

 そういえば、攻撃されたら危なかったけど、どうしてしてこなかったんだろ?


「待っててくれてありがと!」

「従妹に攻撃なんてできないからな」


 あ、そっか。イザベラちゃんとジスケルさんは、そういう関係だったね。

 1対多数を仕掛けてくるジスケルさんでも、さすがに攻撃できないよね。

 間が空いちゃったけど、ここからは魔法勝負!

 て、気合を入れた瞬間に、体中から力が抜けていったよ。

 うん。リンクの効果が切れたね。それと同時に、体中を鈍痛が駆け巡った。

 なんていうか、筋肉痛に似てるかな?

 これがリンクの副作用らしいね。

 自分の肉体能力の限界を超えて、クックさんの力を借りてあんな凄い力を使ってたんだから当たり前だけど、痛すぎるよ!

 立ってるのもやっとで、プルプル震えちゃってる。

 リンクも切れて、痛さで動けない状況って、やばすぎない?


「警戒しろ! 力を貯めてるぞ!」


 勝手に勘違いしてくれた! ラッキ~!

 リンクが切れたの気付いてないみたいだね!

 まあ、それで有利になったかというと、全然そんなことないんだけど……。

 何かしないとバレちゃうよね。


 とりあえず、杖を前に出して掲げてみる。

 ……何も起こらないけどね。

 魔法はイメージか……。前にイザベラちゃんが言ってたよね?

 イメージ……イメージ……。

 氷の矢なんてどうかな?

 氷…氷……。動き回ってたから暑いな~。喉も渇いちゃったし……氷……氷……冷たいもの食べたいな~。


「マルチファイアボール!」

「え?」


 今度は待っててくれなかった魔導師から、いくつもの火の玉が向かってきてた!

 このまま何もしないでも負けるんだったら、イメージは固まってないけど、とりあえず撃っちゃえ!


「アイスショット!」


 火の玉の数にも負けないくらいの『何か』がいっぱい出現して、飛んで行ったよ。

 それは火の玉とぶつかり合って、火の玉を全て消滅、蒸発して、残った10個くらいの何かが相手2人に向かって飛んでいった。

 よく見て見ると……器に入った、細かく削られた氷。1つ1つ、ピンク、黄色、青色に染められてた。

 かき氷だよ! え? かき氷が火の玉を全部消しちゃったの?

 

「ぐあ! つめて! なんだこれ!」


 相手に着弾。まぁ、冷たいだけで倒せないよね?


「ぐあぁぁぁ!」


 悲鳴が聞こえてきたほうを向くと、魔導師が頭を抱えながら地を転げ回ってた。

 口の中に入った、かき氷を一気に飲み込んじゃったみたいだね。

 ああいう冷たいものってさ、勢いよく食べると、頭がキィィィィンってなるんだよね……。

 魔導師は転げ回ったあと、ピクリとも動かなくなって光の粒子になって消えていっちゃった。


「即死効果魔法だと!?」

「……ただのかき氷だと思うよ? 即死なんてそんな……」

「かき氷ってなんだ! 見たことも聞いたこともないぞ!」


 ジスケルさんが凄い警戒して剣を前に出して防御を固めちゃったよ。

 それにしても、この世界には、かき氷は無いらしいね。

 そして……即死効果か……。

 魔法の詳細って見えるのかな?


 怖気づいて防御を固めてる隙にギルドカードを出して見てみる。

 基本的なステータスとスキルしか書いてないけど……。

 こういうのって、何か言えば反応するのかな?


「魔法詳細」


 ダメ元で言ったらギルドカードが光って、空間に文字が浮かび上がってきた。


 『ファイア』消費魔力1。手のひらから出る火で明るく照らす。


 これは違うね。


 『アイスショット』消費魔力1。魔攻10。確率で即死効果。(ゆっくり少しずつ食べれば大丈夫)


 ついてたよ! 即死効果!

 うわ! こわ! 封印決定だよ!


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