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第51話:絶体絶命! 口は災いの元だったよ!

 ジスケルさんのお使いさんの後ろを歩いて城壁の門を抜けると、お城の前庭に大勢の人が集まってた。

 そして、いくつもテーブルが並べられていて、その上には豪華な料理や果物がいっぱい乗ってる。

 この様子は何だろう? って思っていると、お使いさんが説明してくれて、ジスケルさん主催の立食パーティーが行われるってことだった。


「こんなことだったらリリー達も連れてくればよかったね」

「クックック。そうですね」


 ちょうど昼食の時間だし、リリーとモフモフさんは遊びまわっていたから凄くお腹空いてるんじゃないかな?


「お持ち帰りできるのかな?」

「どうでしょう? 後で聞いてみますかな」


 なんて話しながら、皆が集まっているところまで来た。

 その大勢の人達の中に、イザベラちゃんを発見したよ。


「皆様、大切なお連れが到着しましたので、また後ほど」


 と言って、イザベラちゃんが長いスカートを両手に持って、少し裾を持ち上げて膝をスッと落として挨拶してからこっちに来た。

 優雅な貴族の挨拶だよ。

 そういえばイザベラちゃんは、今では立派な領主さんだったな~。

 私の中のイメージでは、お転婆で痛い子なんだけど。


「お姉様! こちらに美味しいお料理が沢山ありますわよ!」


 イザベラちゃんに手を引かれるまま、料理の乗せられてるテーブルの前まで移動した。

 こんなパーティーなんて経験したことなくて少し戸惑っていたから、場慣れしているイザベラちゃんのリードが大助かりだね。


 お皿に乗っているステーキを小皿に取り分けてると、ジスケルさんが近寄ってきた。

 周りには取り巻きの中堅貴族のおじさん達がぞろぞろと着いてきてた。


「どうだい? 俺の主催の料理はおいしいか?」


 なんて、上から目線で言われちゃうとね……。


「権力自慢のパーティー……」


 思ってることが漏れちゃうよね~。

 ジスケルさんの顔に1本青筋が浮かんだよ。


「力のある者は下の者に還元するものさ」

「王子というだけで自分の力じゃないと思うよ」


 ジスケルさんの顔の青筋が2本になったよ。


「王子というだけ? ははは。俺の実力を知らないようだな。この王都で俺に勝てた奴はいないんだぜ?」


 取り巻きの貴族達が、そうですな。と、頷いてる。

 ゆっくりと料理を食べたいのに、少し鬱陶しいなこの人。


「実戦経験あるんですか? 体に傷1つないのにそんなこと言われても。王都でって、皆、王子だからてことで本気で戦ってないだけじゃないの?」

「クックック……井の中の蛙」

「ぷ!」


 クックさんの言葉に、イザベラちゃんが口を押さえて笑いを我慢してるよ。


 実際に、ギュオールのラグルさんや冒険者さん達は、体にいっぱい傷があって、私が見て分かるほど強い人も、自分から力自慢なんてしたことないよ。

 ジスケルさんは筋肉は凄いけど、強者のオーラは全然感じないんだよね~。


「そこまで言うんだったらお前の力を見せてみろ!」


 あ、キレたよ。この人。


「そういえば聞いたぞ! 勇者の剣を受け取ったそうだな! 勇者の剣を賭けて決闘だ!」


 え? 決闘って、どうしてこの流れになったのかな? あれかな、口は災いの元……。


「おことわり……」

「いいでしょう! あなたなんてサクヤ様の足元にも及びませんよ! クックック!」

「お姉様の可憐な技で鼻頭を折ってみせますわよ!」

「ちょ! 何言っちゃってるの!?」


 可憐な技って、今まで何見てたのかな! そんな技今まで使ったことないよ!

 あ! イザベラちゃんの固有スキル、美化フェルターかぁぁぁ!

 クックさんは最初からジスケルさんと険悪な雰囲気だったから仕方ないけどね、戦うのは私だよ?


「よし! 1時間後、闘技場で勝負だ!」


 よし! じゃなぁぁぁい!




 でね、闘技場の真ん中にいるよ。

 半径60メートルはある結構大きい闘技場だよ。

 外周にそって観客席まであるし。

 ジスケルさんが知らせたのか、観客席には王都の一般市民の人達が席を埋めてた。

 その最前列に熱い眼差しのクックさんとイザベラちゃんが……。

 そしてこの決闘の相手、ジスケルさんが向こうの端で睨みつけてきてる。

 装備は鉄と皮のライトアーマーと、ロングソード。

 私の装備はいつもの練習着と木剣と短剣。

 なんだろね、この差は。


「これより、勇者の剣を賭けた決闘を取り行う!」


 わ~って、大歓声が起こったよ。

 木剣を抜いて、相手の出方を見て……。


「我が呼びかけに応え、出でよスリーナイツ!」


 ジスケルさんの前方に召喚円が浮かんで、2メートルはある3人の騎士が召喚されたよ!

 それぞれ、鎧と剣を装備した剣士タイプ、ローブを纏った魔導師タイプ、皮鎧に弓を持った弓タイプ。

 ジスケルさんも入れて、前衛2、後衛2の布陣ぽいね。

 それにしても……。


「ね~ね~! それってズルくない!? 剣と剣の1対1じゃないの?」

「何を言う。召喚魔法だって立派な自分の力だろう? 自身が持ってる全力の力を使ってこそ決闘だ!」


 ふ~ん……そんなこと言っちゃっていいんだ?

 観客席に座っているクックさんと目を合わせる。


「クックさん! いくよ!」

「仰せのままに」

「「リンク!」」


 私とクックさんの体が輝いて、繋がったクックさんの力の一部が流れ込んでくる。


『力200、俊敏130、魔力350、耐性200にアップ! スキル防壁が使用可能です』


 モフモフさんのときとは違って、バランスよく振り分けられたみたい。


「何をしたか知らないが、すぐに跪かせてやる!」

「それはこっちのセリフだよ!」


 すぐにスーパースローを発動させる。

 周りの歓声もゆ~~~~くりと流れる中、3人の騎士目掛けて駆け出した。

 うん。すごいね。力200、俊敏130もあると、スローの中でも普通に走れるよ。


 スローの中で何も反応できてない剣士タイプの後ろに回りこんで、両膝の後ろ間接に狙いを定めて全体重をかけた肘打ち!

 魔導師タイプと弓タイプも同じように回り込んで肘打ち!

 ジスケルさんは……何故か遠い後方にいて、そこまで走っていこうとしたところで、スローの副作用なのか頭痛が起こり始めたから諦めて。


 元に位置に戻ってスローを解除したよ。

 解除した途端に、3人の騎士は前のめりに倒れこんで、両手を地面に着いて平伏した格好になった。


「なっ――何をしたんだ!」

「膝カックンだよ!」

「……」

「……」

「ダメージはなさそうだな」


 うん。ダメージは0だけどね。知ってた。

 でもね、跪かせたのは、わ・た・し!


 なんて勝ち誇ってると、起き上がった剣士が剣を横薙ぎに払いながら突っ込んできた!

 なんとか防壁を発動させて剣士を弾き飛ばしたんだけど、最初の横薙ぎを木剣で受け止めたら簡単に真っ二つにされちゃったよ!


「あ~~~! 木剣が~! なんてことするの!」

「そんな大事な物だったのか?」

「学園の備品だよ! 壊すの2本目だから凄く怒られちゃうじゃない!」


 ……。


「「「備品を持ち出したらダメだろ!」」」


 周りの人達からも注意されたよ!

 だってね~。いまだにまともに装備できるのは木剣と短剣なんだよ? 仕方ないじゃない?

 でも、これで武器が短剣しかなくなったよ。

 リーチでロングソードに負けてる……。

 おまけに向こうには魔導師と弓……。

 スローも、スーパーだったからか分かんないけど、副作用があることに気付いて連発できないし……。


 あれ? リンクで能力強化されてても、これって絶体絶命の危機なんじゃない?


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