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第48話:魔柱石の指輪

 皆が大笑いした後、和やかに話をすることが出来たよ。

 笑いって大事だね。

 

「さて、改めて、ワシはビスケール・フェルドと申す」

「サクヤです」

「クックさんですよ。クックック」


 紹介しあうと、ビスケールさんが微笑んできた。

 優しい人みたいだね。


「この2人も紹介しようかの。右に立っているのが長男のヘルグールと、左が次男のジスケルじゃ」


 長男の第一王子のヘルグールって人は、何にも苦労せずに育ってきた感じの小太りな体型で、次男の第二王子のジスケルって人は、筋肉を鍛えるのに人生を捧げましたって感じのボディービルダーみたい。

 王様に紹介された2人、ヘルグールっていう人はヘラヘラとキショイ……爽やかな笑顔を向けてきたけど、次男の第二王子のジスケルって人は、何故か鋭い眼光で睨みつけてきたよ。

 私の第一印象はこれで決定しちゃったよ。

 ヘルグールさんは、小太りキショ笑顔。ジスケルさんは、筋肉モリモリ番長。

 また口に出しちゃったら問題になりそうだから言わないけどね。


「サクヤ殿の活躍はこの王都にも届いておるぞ」

「そうなんですか?」

「うむ。ギュオールを守ってくれたこと、盗賊退治に、食料問題の解決などじゃな。礼をいうぞ」


 そう言って、ビスケールさんは深々と頭を下げてきたけど、お礼をされて嬉しいっていうことよりも、私は1つ気になっていることがあったよ。

 小声でクックさんにそのことを聞いてみた。


(クックさん。ビスケールさんの体から、魔柱石から出てる悪の魔力みたいなの見えない?)

(クックック。さすがにサクヤ様も気付きましたか?)

(うん。何度も見て、直接触って感じてるからね)


 クックさんも見えてるんだったら、勘違いじゃなさそうだね。

 ビスケールさんをじっくり見てみる。

 体の全体に赤い靄が纏わりついているみたい。

 体から出てるんじゃなくて、何かから魔力が出てビスケールさんにとりついてる?

 これ以上は近づいて見ないと分かんないな~。


「ビスケールさん。ちょっと近く寄ってもいいですか?」

「王に向かって、さんとは何だ!」


 次男が噛み付いてきたよ!


「あぁ!? 魔王であるサクヤ様はそこのガリガリと対等の立場じゃろうが!」


 クックさんもそれに噛み付いたよ!


「いや! 小さいサクヤ様は対等どころか、この世で最も尊い存在ですよ!」

「小さいは関係ないと思うよ!?」

「いえ! 大有りですわ、お姉様! そうですわよね、皆様?」

「「「そうだな」」」

「みんな同意しないでよ!」


 え? もしかしてこの国の人達って、実はみんな危ない人達しかいないの?


「ふぉふぉふぉ。子は宝。この先、魔王との戦いで大人達は数を減らしていくじゃろう。その後の未来を作っていくのは今の子供たちじゃ。その意味では子供たちは皆尊い存在じゃのう」


 ビスケールさんは普通の人だったよ!

 でもね、その言葉には同意できないかな。


「親を失った子供達が増えていくのは悲しすぎるよ。大事なのは、大人も子供も皆が悲しまないようにする未来だよ?」

「そうじゃの、そうじゃったの。サクヤ……ちゃん、でいいかの? サクヤちゃんと呼ぶから、ワシのことも、さんでいいぞ」

「あ、はい」

「サクヤちゃん、近くに来てその綺麗な顔を見せてくれるかの?」


 王様から直接『さん』でいいって許可もらったもんね~。ベ~っだ!

 次男にあっかんべーしてやったよ!

 あ、そんなことよりも。


 ビスケールさんに近づいてみると、痩せ方が普通じゃないことがわかった。

 ガンになった人が急激に痩せていっていくような……。

 そして、あったよ。左手に嵌められてるいくつもの指輪の1つ。

 それが赤い光を放っていた。

 間違いなく魔柱石の欠片で作られた指輪だよね。しかも、悪の魔王の魔力を放ったまま。

 こんなのつけてたら体の調子も悪くなるはずだよ!


 その指輪が嵌められた手を握って想いを流し込むと、私の体が光って謁見の間を眩しく照らし出した。

 加工された魔柱石でも、上書きはこの方法で出来るみたいだね。


「なんじゃ、この暖かい光は? 重かった体が嘘だったみたいに軽くなっていくぞ」

「んとね、この指輪がビスケールさんの体を蝕んでいたんだよ。でも、もう大丈夫。赤かった指輪が金色に光ってるでしょ?」


 握ってた手を優しく持ち上げて、指輪を見せてあげた。


「おお。優しい光が溢れておるのぉ」

「悪の魔力が浄化されて、今は私の魔力が光ってるんだよ」


 私はここで魔柱石の説明をしてあげた。

 悪の魔力で満たされた魔柱石は魔物を強化しちゃうこととか、何個かの魔柱石を浄化してきたこととか。


「「「おお! サクヤ様! 王をお救いくださり、感謝いたします!」」」


 謁見の間に居た貴族さん、騎士さん、兵士さん達が一斉に跪いてきた。


「ええっと……。感謝してもらえることは嬉しいんだけどね。なんて言ったらいいのかな~? 指輪は絶対に直接ビスケールさんを狙ってきた物だと思うから、指輪がどうやってビスケールさんの元に来たのか、感謝する前に調べたほうがいいと思うよ?」

「は! 直ちに!」


 数人の騎士さん達が近くに居た兵士さんに指示を出して、兵士さん達は駆け出して行った。

 その様子を見ていたビスケールさんが椅子に深く座り込んで深く息を吐いた。

 悪の魔力は無くなったけど、凄く辛そうだよ。


「クックック。体の回復はすぐには出来ないでしょう。まずは、ゆっくり休んで衰えた体力を回復してください」

「そうじゃの。では、この対面の続きはまた後日ということで、今日は休ませてもらおうかの」


 ビスケールさんは2人の息子に支えられながら謁見の間から出て行った。


「クックさん。ビスケールさんの体って回復するの?」

「魔力の影響ですからね。優秀な回復魔法の使い手が居れば、そんなに時間も経たずに影響を受ける前の体まで回復できるでしょう」

「そっか。よかった」


 影響を受ける前……。回復したらカスケールさんみたいな大男に……。

 お城の中にオーガが2人……。しかも兄弟。


「ぷ! あはははは!」

「お姉様!? 気をたしかにお持ちになってくださいまし! お姉様!」


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