第37話:親子って、意外と似ないものなのかな?
とりあえず、みんなのスキル確認だけど、クックさんは光壁防御っていうのがあった。
これはバリアが展開されて攻撃を防いでくれるみたい。
知ってれば野菜達の攻撃も楽に突破できたのかな?
リリーはというと、特に変化はないけど、総じて魔法の効果がアップされてるみたいなことを言ってた。
あと、守護っていうのは、私を守るっていう意味で、ファミリーの光を受けるとそれが付くらしいよ。
聖っていうのは、いまのところ謎のままだね……。
スキルを試してみようということで、北の草原の岩が多いところまできた。
まずは、モフモフさんにフェンリルクロースラッシュっていうのを使ってもらったよ。
モフモフさんの体が光って、その光が右手に集まる。
これは凄い威力ありそうだよ。
『あの岩を狙ったらいいんだな……。フェンりろらキャイィィィン!!』
「「「えぇぇぇ!?」」」
舌噛んだ! そして痛さで転げ回ってる!!
スキル名が長すぎたのか~~~!
モフモフさんはその後、不貞腐れて寝そべったまま動かなくなっちゃったよ。
「クックック。モフモフさんはしばらくしゃべれないほどダメージを受けたみたいですね~。では、この私の番ですね」
クックさんが5メートルくらい離れてから光の防壁を展開した。
薄っすらとクックさんの周りに光の壁が見えるよ。
「……」
……。
「あの、サクヤ様でもリリーでもいいので、攻撃してください」
「あ! そ、そうだよね。防壁だから攻撃受けてみないとだよね」
手頃な小石を拾って、クックさんに向かって投げる!
ひゅ~~~ん……ぽと。
「届いてませんが?」
「今度は私~。クックさん先輩覚悟~~~!」
ひゅ~~~ん……ぽと。
「「「……」」」
うん。ここでも力が1という現実が、私とリリーに襲い掛かってきたね。
5メートル先のクックさんに届かないとは思わなかったよ。
マジックアイテムのブレスレットを投げたときは、攻撃という意識はなかったし、投げ損じたから凄く飛んだんだね……。
「しょうがないですね~。自らの魔法で試してみましょう」
クックさんが両手を高く掲げると、真上に8重円の魔法陣が浮かび上がった。
「うわ~~~! 離れてるまで待って~~~!」
慌ててクックさんから十分すぎるくらい距離を取った。
クックさんは平気で広範囲魔法を使ってくるからね!
「エクスプロージョンブラスト!」
魔法陣から光の弾が撃ち出されて、クックさんを直撃して大爆発を起こした。
爆発は周囲の地面を吹き飛ばして、クレーターを作るくらい強力なものだったよ。
爆発が収まったクレーターの中心で、クックさんは真っ黒になって、体中から煙が……。
「クックさ~~~ん!」
「クック……ク……自分自身の攻撃には……防衛効果はない……みたい……ですね……グフ!」
「きゃ~~~! クックさん先輩~! 死なないで~! ヒール! メガヒール!」
スキルを試しに来ただけなのに、何なのこの大惨事は!?
モフモフさんは、もうフェンリルの技なんて使わねえ~、って拗ねてるし!
クックさんは焦げてるし!
その後、大爆発の音を聞いて飛び出してきた兵士さん、ラグルさん、冒険者さん達に、こっぴどく怒られちゃったよ!
私は悪くないよね?
怒られて、家の広すぎるリビングでショボ~ンとしてると、イザベラちゃんが遊びに来た。
後ろにはレオドナドさんもいるけど、一緒に遊ぶのかな?
「お姉様。3階の会議室を執務室にしたいのですが、よろしいですか?」
遊びじゃなかったみたいだね……。
レオドナドさんはなんか荷物持ってるし。
執務って、公国の運営とか私の家でするつもりなのかな?
「お~い。書類とか運んじまうぞ~」
「あ、うん。どうぞ上がって~」
3階だったら私はほとんど行かないからいいかな?
そして3階に着いて、イザベラちゃんが階段の踊り場から廊下へ続くドアを開けた。
廊下の天井の目玉に睨まれて、肉のような壁の赤く脈打っている血管を見て固まっちゃって……。
クックさんが魔改造してたの忘れてたよ。
「うっきゃぁぁぁぁぁ!」
「うおぉぉぉい! なんじゃこりゃ!」
「防犯はばっちりだね!」
「だね! じゃね~よ!」
後で元に戻しておけって怒られたよ! 怒られてばっかりだよ!
全部クックさんが原因なのに~~~!
またまた怒られて、拗ねて庭に出ると、北の方角からなんか土煙が見えた。
こっちに近づいてきてるみたいだけど……。
モフモフさんがそっちから走ってきた。
『ボス! 騎士の集団です!』
「え! 王国が攻めてきたのかな?」
「クックック。返り討ちに……」
「手をだしちゃダメだからね! イザベラちゃんとレオドナドさんが家にいるから呼んできて!」
戦争になっちゃったらどうしよう? 徹底抗戦? 逃げる?
とにかく、イザベラちゃん達が来るのを待たなくちゃ……。
イザベラちゃんとレオドナドさんが駆けつけて、ほぼ同時に騎士の集団が丘を上がってきて目の前で止まった。
10人もいるよ。それもみんな凄い体格で、フルプレートじゃなくて、青いハーフプレートを着て、背中に大剣を背負ってる。
防御を捨てた攻撃特化の騎士さんかな?
そんな騎士団の先頭にいるのは、なぜか上半身が裸の、オーガみたいな筋肉隆々な2メートルくらいある大男だった。
角は生えてなくて、金髪のオールバックで顎鬚を生やしてるからオーガじゃないけど……。
その男は、馬を飛び降りてイザベラちゃんに向かって駆け出して、そして抱きついた!
危ない人だ~~~! 今流行の、流行ってないかもだけど、幼女愛者かも!
「お父様!」
今なんて言ったぁぁぁぁ!? え? お父様? こんなオーガみたいな人が?
似てない! 似てないよイザベラちゃん! 親子だったらもうちょっと似ても……。
て、あの体格でお姉様って迫られたら……。
似ないでくれてありがとう!って、心の中でイザベラちゃんに感謝してたよ。




