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第35話:国ができちゃったよ!

 あれから、遅めの夕ご飯を食べて……夜食かな? 自室で寝させてもらった。

 子供は寝る時間じゃなくて、いろいろな疲労が溜まってて限界だったからだよ?

 そして、朝になって目が覚めて、窓から庭を見ると、焚き火の跡と野営で使うテントがいっぱい庭にあった。

 冒険者さん達が夜通し守ってくれていたみたい。

 ていうか、酒のビンとか、食べ散らかされたゴミがいっぱい……護衛じゃなくて宴会してただけなのかな?


「お、サクヤちゃんおはよう。守ってやるから心配しなくていいからな!」

「う、うん」


 ごめんなさい。私の身の心配じゃなくて、誰がゴミを片付けるのかな? って心配してました。




 騎士達がやってきて、冒険者さん達を先頭に街の人達が立ち塞がる。

 一触即発の状態だよ……。

 

「お姉様。安心してくださいませ」


 イザベラちゃんが声をかけてきた。

 イザベラちゃんは、普段の冒険者のような姿じゃなくて、ピンクのドレスを着て、肩から太いタスキのようなものをかけてた。

 そのタスキには、なんだか立派な紋章が刺繍されてる。

 貴族の正装みたいだけど、夜の話し合いと関係あるのかな?

 うん……話し合いがどんな形で結論付けられたか私は知らないけど、どんな結果でも受け入れよう。


 イザベラちゃんが騎士達の前に歩み出て行った。

 そして、何かを書いた紙を騎士達の前に掲げた。


「わたくし、イザベラージュ・ベンゲスト・フェルド子爵の名において、ギュオールの街、及び、そこにある魔柱石の輝きが照らす周辺地域を領土とし、わたくしが領主としてサクヤ公国の樹立を宣言いたします」

「「「おお~~~!!」」」


 イザベラちゃんの宣言に、冒険者さん達が剣を掲げて雄叫びを上げた。

 

 へ~。イザベラちゃんて本当に貴族で子爵だったんだ。そして子爵ってなんだろう?

 問題はそこじゃないよね? うん。どんな結果でも受け入れる? あれは嘘だ……って言っていい?


「ちょっと~~~! イザベラちゃん待って~~~!」

「な……なんですの? お姉様」

 

 イザベラちゃんの手を引いて、人混みから離れたところに移動する。


「どいうことなの!?」

「説明するとですね、私は現国王の弟がお父様で、お父様が貴族最高位の公爵の位を持っていて、その一人娘の私はその公爵の子ということで、子爵なんですの」

「私が知りたいのはそこじゃないな~。おしいけど、そこじゃないな~~~。知りたかったことだけどそこじゃないんだな~~~」

「えっと……、公国のことですの?」

「ですの!」


 と、叫ぶと周りから笑いが巻き起こった。

 こんなことで笑いが取れちゃうのか~。メモしとこ……じゃな~い! 流されるな私~~~!


「私の名にフェルドが入っているでしょう? 王族のみしか持てない名で、この名がある者は領有権の資格と樹立の権限を持っているのですわ。で、お姉様を守るために公国樹立を宣言したのですわ」

「へ~~~」


 フェルド……フェルド……。確かこの国の名前がフェルド王国だったよね。あ~、納得したよ。

 で、公国っていうのは、公爵が治める領地のことだって。王国内にある領地だけど、1つの国として認められるんだって。

 イザベラちゃんは子爵だけど、フェルドの名があるから公爵と同位てことらしいよ?

 その辺の難しい話はいいとして……。


「で、サクヤ公国っていう名前は……」

「いやですわ~お姉様。分かってるくせに~~~」

「う……うん。そうだね。あははは……」


 これ以上触れちゃいけない! 絶対! イザベラちゃんのワールドに引き込まれちゃう!




「話が途中で切れましたが、もうお分かりでしょう?」


 イザベラちゃんが問うと、今まで馬に乗って威張り散らしてた騎士達が、馬を下りてイザベラちゃんに跪いた。

 すごいね、イザベラちゃん。


「お姉様!」


 私に向かって親指を立ててウインクしてきて、褒めてくださいまし、ギュッとしてくれていいのですわよ! とか言ってた。

 う~ん……。これがないと完璧お嬢様なんだけどな~。

 最初はトゲトゲで私に絡んできてたのに、どこで間違ってこうなっちゃたのかな……。


「お姉様はサクヤ公国の保護下におかれましたわ。そのことを国王様に報告なさい」


 騎士達はその言葉を素直に受けて去っていった。

 当分は大丈夫かな? 王国対公国の戦争になったりしないよね?


「クックック。国王もまさか姪に戦争をしかけないでしょう。魔王との戦でそんな余裕もないでしょうし」

「そうだよね」

「はい。それよりも、みんな2人の言葉を待ってますよ。屋敷のテラスからもう1度、高々と声を聞かせて上げましょう。クックック」

「うん!」

「そうしましょうですわ!」


 私とイザベラちゃんは、クックさんの言葉に従って家の2階にあるテラスに向かうため、家に向かって駆け出した。

 そして玄関の両扉を開け放ち中へ!


 ――ドッコ~ン!


「「いった~~~い!」」


 2人揃ってドアに頭をぶつけて後ろに転がっちゃったよ! 絶対におでこにタンコブ確定だよ!


「どうして鍵かけてるの!?」

「クックック。みんなで外へ出るときは鍵を閉めておかないとね……」

「クックさ~~~ん! ここは2人でテラスへ駆け上がって~っていう感動の場面でしょ!? 台無しだよ!」

「「「あはっははは! それでこそサクヤちゃんとクックさんだ!」」」


 感動のはずが大爆笑だよ! 絶対こうなるって分かっててやったな~クックさん!

 そして、それでこそって……やっぱり私ってみんなからそう見られてたってことなの?


「私は巻き込まれなのですね……お姉様」


 ごめんねイザベラちゃん! あとでクックさんを叱っておくから!


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