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第28話:原因をつきとめに行こう!

 学園での生活が2ヶ月を過ぎた頃、やっと私の家の修理が終わった。

 これからは、クエストがないときは学園に通うという方式に切り替える予定です。


 学園の寮から家へと荷物を運んでる途中、ギルドに入ると、みんなが集まっていて何かを話していた。


「みんな集まってどうかしたんですか?」

「おお。サクヤちゃん。ちょうどサクヤちゃんの話をしてたとこだ」

「ほえ?」


 ほえってなんだろ。思わず変な言葉が出ちゃったよ。


「カウンターに行ってみな」


 そういうと、みんながコップを持って、置かれてたお酒を注ぎ始めた。

 今はちょうどお昼を過ぎたくらいかな。こんな時間からお酒飲むなんてどうしたんだろ?

 そんなことを思いながらカウンターに向かった。


 カウンターの前に置かれてた木の台に飛び乗る。

 

「いらっしゃい、サクヤちゃん。サクヤちゃんがそこから顔を覗かせるの、なんだか久しぶりね」

「こんにちは~。学園ばっかりだったからね」


 1回だけクラスの子達と押しかけて、無理言ってクエスト発行してもらったことはあったけど。

 あのときは金欠で切羽詰ってたしな~。


「それでは本題です! じゃ~ん!」


 テオールさんが1枚の紙を見せてくる。

 私はその紙に書かれてる字をゆっくり読んだ。


「サクヤ殿。Dランク昇格……承認書。発行レオドナド」

「おめでとうサクヤちゃん! Dランクに昇格よ!」

「「「かんぱ~~~い!」」」


 冒険者さん達がコップを高く上げたあと、一気飲みした。

 それでみんな集まってたのかな?

 テオールさんの話では、街を救ったのと、洞窟攻略の功績で一気に昇格が決まったみたい。

 Eランクのクエストは1回しか受けてないし、街を救ったのなんて、私は何もしてないけど、いいのかな?

 とりあえず、みんなからのお祝いもそこそこに、外で待ってるクックさんのところに戻った。

 引越しの途中だったし、お酒を飲まされそうな勢いだったから。




 家に着いて、クックさんが引いてくれていた荷台から荷物を降ろして、自分の部屋に持っていく。

 持っていってた量が少なかったから、2回の作業で全部片付いちゃった。

 外から眺めてみると、壊れる前と変わらない外観だった。


「サクヤ様。中を見てみましょう。クックック」

「うん」


 何故か、クックさんが急がせるように背中を押してくる。

 後でゆっくり見てみるつもりだったんだけど、ま、いいかな。


 中を見て見ると、全てが元通りに直っていた。

 柱も、壁も。だけど壁にかけられていた絵なんかはさすがに元に戻せなかったみたいで、白い壁があるだけだった。

 変な絵だったから、なくても困らないけど。


 1階、2階と順番に見ていったあと、3階に上がったところで急にクックさんが駆け出した。

 そして、ドアの前で立ち止まった。

 そのドアは、3階に昇ったところにある、階段の踊り場の先の通路につながってるドアだったはず。

 何かあるのかな?


「この先は、実は私も修理を手伝いまして。クックック」

「そうなんだ?」


 それで見てほしくて、急いでたんだね。

 クックさんが早く見てほしそうにしてる。

 でもね、クックさんのそういう仕草を見てたら、不安が湧き出てくるのはどうしてなんだろね。


 ゆっくりと慎重にドアを開け……。

 赤い壁が意思を持ってるかのようにうねり、その質感はまるで肉。その壁に細い何本もの血管のようなものがドクンドクンと脈打ってる。天井を見ると、瞼のようなものが開いていって、目がそこに現れて、私を凝視してきた。

 勢い良くドアを閉める。


「どうして壁が真っ赤で、血管みたいなのが何本も脈打ってるのかな! それに天井から大きな目に見詰められたんだけど!」

「クックック。私の魔力を注ぎ込みましたからね。セキュリティーも万全ですよ。目が敵対勢力を識別して、侵入者がこの通路を通れば血管から電撃が放たれる仕組みです」

「電撃……」

「死にはしませんよ。厚さ5センチの肉がレアに焼きあがる程度です。クックック」


 普通の人だったら死んじゃうと思うな……。ていうか、不安は的中しちゃってたよ。

 どうしてこんな通路を作ったのか……予想はつくけど。

 聞いてみると、やっぱりな答えが返ってきた。


「この奥の部屋をサクヤ様の部屋にするのですよ! 侵入者対策もバッチリ! ぐっすり眠れますよ。クックック」

「うん。私は1階でいいから、クックさんがその部屋使って」

「しょぼ~ん」


 クックさんが踊り場の角でうずくまって、床にのの字を書き始めちゃった。


「あのね、ほら、3階だと上がってくるのが大変だし、それにクックさんとモフモフさん達が守ってくれるんでしょ? 信頼してるんだよ?」

「もちろんですとも!」


 あ、すぐに立ち直った。


「ご期待にそえるよう、頑張っちゃいますよ。クックック」


 期待の遥か斜め上いっちゃうのがクックさんだけど。

 そしてこのドアから先は、クックさんの部屋ということで落ち着いた。




 引越しが終わって、昼食の食材を探すために市場に来たんだけど、何故か野菜だけが少ない。

 野菜は西の農村から運ばれてくるらしいけど、今はその野菜が届かなくて、この街の周辺で取れた野菜で補われている。

 作るにしても、野菜がないんじゃたいした物作れないし、ギルドの食堂で済ましちゃおう。


 クックさんを迎えにいってからギルドに入ると、テオールさんが1枚のクエスト書を持ってきた。


「ちょうどいいところに来てくれたわ。Dランクの緊急クエストだけど、受けてみない?」

「え? 緊急ですか? それだったら他の人達のほうが……」

「この酔っ払い共に今からすぐに緊急クエストを頼めと?」


 食堂を見ると、酔い潰れた人達が……。テーブルや床に30本以上の酒のビンが散乱してた。椅子の上に樽が置かれてたのは見なかったことにした。

 私の昇格祝いで飲みすぎたらしいね。


「そういえば、ラグルさんは?」

「今は別件で手が離せないのよ」


 それでラグルさんは朝もいなかったのかな。いたとしても、ラグルさんだったらこんなになるまで飲まないだろうけど。


「クックック。サクヤ様。受けましょう。私とモフモフさんが居れば、Aランクでもいけますよ」

「そう……だね。あ、でもその前に昼食を注文します!」


 お腹が減っては何とやら。まずはご飯だよね。




 クエスト内容は、西の地方に広がる農地と農村の調査だった。

 野菜が街に届かなくなったことの原因を調査。魔物、あるいは盗賊などが原因だった場合は、すぐに街に引き返して報告でクエストクリア。討伐は他の人に引き継がれる。

 その他の原因だった場合も、ある程度調査して報告。

 意外と簡単かな?


 農村まではここから小さな村とかを通過して、3日くらいかかるらしい。そういえば、ヴェリラさんの村もここから2日の距離だった。

 この街までの鮮度が心配だったけど、鮮度を保たせるマジックアイテムの箱があるらしい。

 魔法ってすごいね。


 準備を済ませて家を出ると、玄関の前にイザベラちゃんが居た。

 皮の胸当てと皮の腕輪を装備してて、いかにもこれから旅に出ますって感じだった。

 予想はつくよね。


「お姉様! 私も同行させてもらいますわ」

「えっと……その姿で予想はしてたけど、学園は?」

「それが聞いてください! お父様から王都へ帰還せよと手紙が届きましたの! 私はそれに従う気はありませんので、お姉様と一緒に行きますわ!」


 うわ! 反抗期の子が目の前に居るよ!


「そうそう。クックさんにはこれを」


 と、言って手渡したものは、柄のところに宝石がはめられたショートソードだった。

 

「これは……」

「魔法剣ですわ。その剣に魔力を込めると、それぞれの属性の魔法の力が剣に宿りますのよ」

「サクヤ様。そうと決まれば早速出発しますよ」

「出発ですわ~~~!」

「何も決まってないよ! クックさん物で買収されないで~~~!」


 2人が丘を降りていって見えなくなっちゃったあと、モフモフさんと2人で溜息をついた。


『ボス。諦めましょう』

「うん……」


 モフモフさんがしゃべったのを、このときの私はいろいろありすぎて気付かなかった……。


ここから話は急展開に進んでいく予定です。

予定なのでまだわかんないですけど。

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