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第26話:鬼教官が来ちゃったよ!

 洞窟攻略が無事に終了して、とりあえずの平和が戻って、私はまた学園に戻った。

 

 髪をリボンで結んで、ポーニーテールにして整えた髪形を鏡で確認する。


「よし! 完璧!」

「クックック。髪を整えるのに要した時間が30分ですか……」

「だって、真ん中からずれちゃったりするんだもん」

「多少ずれててもサクヤ様は可愛いですよ」

「え? そうかな?」

「性格がね……クックック」

「それはクックさんでしょ~~~!」


 2人で大笑いしたあと部屋を出る。

 朝から何やってるんだろ。


 食堂に入ると、イザベラちゃんが手招きしてきた。


「こっちですわ! お姉様!」


 大声で言われたら行かない訳にはいかないよね。

 近くまでいくと、イザベラちゃんとクックさんがハイタッチで挨拶を交わす。


「おはよ~」

「おはようございます。お姉様」


 挨拶もそこそこに、持ってきたパンとミルクを席に置く。


「最近は野菜が少なくなって、サラダも質が落ちましたわね」

「うん。街の市場でも品薄で高くなってるね。周辺の畑で取れた野菜だけじゃ全然足りてないね」


 ギルドのほうでも、この商人が街に来なくなった原因究明のクエストが発行されるかも。

 各地に設置された魔柱石も関係してるのかな?


「今日の最初の授業は自習のようですわ」

「そうなんだ?」


 教官さん体調悪いのかな?


「クックック。あの教官は心が弱そうですからね~」


 どいうこと?




 教室に入ると、黒板に自習と書かれてた。

 みんなは、まぁ、隣の子とおしゃべりしたり、遊んでたりで、勉強してるのは極少数だった。

 その様子を見て、イザベラちゃんが溜息をついた。


「みなさん学園を何だと思っているのでしょうね。遊びの場ではありませんのに」

「そ……そうだね」


 イザベラちゃんがそれ言うか~。

 私から見たら、1番遊んでいるのがイザベラちゃんとクックさんなんだけど。

 親衛隊作ったりとか……。


「クックック。纏まりのないクラスをこのクックさんが何とかしてあげましょう」


 そう言うと、クックさんが教壇に立った。

 クックさんが授業をするつもりなのかな? お手並み拝見。


「みなさん静かに! これから私が素晴らしい授業をしてあげますよ。クックック」

「なになに? なんの授業するんですか?」


 騒がしかったみんながクックさんに注目する。

 すごいね。あんなに騒いでいたのに。教官の才能あるかも。魔導師タイプだから、魔法かな? 召喚術かな?


「クックック。もちろん、サクヤ様の魅力についてです!」

「ちょっと~~~! 何がもちろんなの!?」


 才能なんてなかったよ!


「クックさん! 続きを! 続きを早く!」


 エサにイザベラちゃんが喰い付いた!


「まずは、サクヤ様の身体特徴ですが」


 瞬間、私は席を立って猛ダッシュ!

 止めないと……すぐに止めないと大変なことになる!


「まずは、左脚の付け根に小さなホクロが2個並んでます」

「どうして知ってるの!?」


 と、叫びながら飛び膝蹴りをクックさんに当てた。

 膝は鎧の無い腹部に当たって、クックさんはゴフ! と言いながら片膝をついた。

 男子がざわざわと騒がしくなる。

 私が立ち上がって振り向くと、赤い顔で目を逸らした。絶対想像してたよ……。


 片膝をついたままのクックさんの頭を、必殺のポカポカパンチで叩いていたら、突然、教室のドアが開いた。


「2人で何やってんだ?」

「え? ラグルさん?」


 入ってきたのは、いつも着用している軽鎧を脱いだラグルさんだった。

 軽鎧を脱いでたから、胸の筋肉が盛り上がってるのが良く分かった。腕も太くて、血管が浮き出るほど引き締められている。


「とりあえず席に戻れ」

「うん……」


 クックさんと揃って席に戻ると、ラグルさんが黒板に字を書いた。

 臨時教官ラグルって……。


「教官のディアリナさんだが、心労で1週間休むことになった。そしてその間、俺がお前らの担当として来た訳だが……ディアリナさんが心労になった理由に心当たりがある奴、手をあげろ」


 みんなが私を見る。

 ……正確には隣に座っているイザベラちゃんとクックさんだよね? え? でもこれだと私も入ってる? 確かに2人の行動の中心は私だけど!


「お姉様は何も悪くありませんわ! 全て私が悪いのですわ!」

「そうですよ。サクヤ様は何も悪くありません。 クックック。全ては私の独断専行」


 うん。そうそう。私は何も……。て、いうかさ。それだとね……。


「2人とも私を強調しすぎだよ! それだと私だけが悪くて庇ってもらってるみたいだよ!」

「「「あっはっはっは!」」」


 教室中、大爆笑に包まれた。

 ラグルさんも教壇の後ろに隠れて腹を抱えて笑ってるし。


「うおっほん!」


 ラグルさんが笑い終わった後、咳を1つしたらみんなが笑いを止めて静まり返った。


「そこの3人。授業が終わるまで立ってろ~」

「「はい!」」

「クックック。私は元々この学園の生徒じゃないので……」

「あぁ?」

「素直に従います。教官殿」


 ラグルさんから闘気が立ち昇って、あのクックさんが素直に立ち上がっちゃった。

 元騎士でAクラス冒険者のラグルさんってやっぱり凄いんだね。


 結局、3人で立たされて授業が終わっちゃった。

 次の授業は剣術修練だね。成長した姿をラグルさんに見せよう!



「ぜえ……はぁ……はぁ……」

「サクヤちゃん。グラウンド3周でもうバテたか。あと2周残ってるんだが」


 倒れこんで必死に息を整える。ステータス1でグラウンド5周なんて、絶対ムリ。

 成長した姿を見せる? 夢を見るのは自由だよね。


 次に訪れた試練……。

 目の前には丸太が立てられて、私の手には木剣が握られている。

 与えられた試練は、この丸太に木剣を10回打ち込みをするというもの。

 簡単? とんでもないよ! 素振りだったら木剣は軽くふれるよ。でもね、木剣を丸太に当てるって思っちゃったら、丸太に攻撃するってことで、木剣を武器と認識しちゃって……。


「重い~! 持ち上がらないよ~!」


 これが武器適正1の現実。

 12歳の子が力も入れないで楽に持てるはずの軽い木剣が、途端に鉄の塊を持ってるように重くなる。


「う~ん。とりあえず、目をつぶって素振りだと思って振ってみようか」


 ラグルさんのアドバイスで、目をつぶって、これは武器じゃないと思い込む……。

 少しずつ軽くなってきて、これならいける! と、目をつぶったまま、おもいっきり振り上げてそのまま振り下ろした!


 ……丸太に当たった手応えも、両手で握ってるはずの木剣の感触もなかった。

 木剣どこ行ったの?


「うわ! あぶな! 空から剣が降ってきた!」

「ああ~! ごめんなさ~い!」



 次いってみようか……。


「い~ち……に~い」


 腕立て伏せやってます。『に』というところで、すでに腕はプルプル震えてます。


「さ~ん」


 ん、と同時にドサッと崩れ落ちちゃった。

 ラグルさんが、う~ん、と、頭を描きながら困った顔になる。


「ステータス1か……。学園に入ってから随分たつのに、全然ステータス上がらないな」


 私の精神に大ダメージ。たぶん頭の上に赤い9999て数字が飛び跳ねてる。


「とりあえず、この授業が終わるまで10回できるまでやってみようか」

「うわ……」


 鬼だよ! オーガよりも鬼のような鬼ラグルさんが目の前にいるよ!

 これから1週間、私の精神と体が悲鳴をあげそうです!

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