第184話:雇用しちゃおうと思ってるんだよ?
夕食で歓喜の叫びを響かせちゃった翌日、リビングで今後のことを話し合うことになったよ。
参考人として意見を聞くために、レオドナドさんさんとギルドの受付嬢、テオールさんにも来てもらったよ。
「クックック。さて、1番重要な議題は」
クックさんが腕を組み、天井を見上げながら思案してるよ。
「決まってますわ! 料理人を雇うかどうかってことですわ!」
イザベラちゃんがテーブルをバンバン! と叩く。
「どうせならぁ、メイドさんも雇っちゃうとか~?」
リリーはレオドナドさんと同じこと言ってるね。
「なあ? メイドや料理人よりも重要なのは、代官を雇うことだと思うんだが?」
「クックック。何を言ってるんですか、レオドナド殿?」
「いやいや、俺はギルドマスターで、そっちの業務も大変なんだが」
「何を言ってますの? レオドナド様。考えてもみてくださいまし、ここは公国の王都でございましょう? 王都に代官を置いている国なんてありませんわよ?」
「それもそうか……」
レオドナドさんが納得しちゃったよ。今まで代わりに公国を運営してくれていたレオドナドさんの役職って何なんだろうね?
「ね~ね~。それよりも大事なことは、私の謹慎をそろそろ解除してもいいてことなんじゃ」
「「「それは当分先です」」」
あれれ~?
謹慎と言っても、屋敷内謹慎じゃなかっただけマシかな?
街の中は自由に歩けるからね。いや、今は飛んでるんだけどさ。
ほら、私って歩くの遅いじゃん?
クリエイトで出した翼でどこまでも~……。
それだよ! どこまでも飛んでっちゃえばいいじゃん!
「わわ~! 横風にながされちゃう~」
このまま防壁を超えて!
ガシ!
はい! クックさんに空中で脇に抱えられました!
「クックック! 突風は危ないので降りましょうね」
「う、うん……」
私以外にも空を飛べる人が居たよね~。
「て、ちょっと待って? どうして冒険者ギルドの正面に降りようとしてるのかな?」
「ラグル殿に会いたいのかと思いまして。クックック」
そして、ギルドの前に降り立つ。あ、私は脇に抱えられているよ。
そして、ちょうどラグルさんがギルドから出てきた。
どうしてこう……神がかりなタイミングなんだろうね。
脇に抱えられたまま、目と目が合う。
「なんか、やらかしたのか?」
私の今の姿を見て苦笑い。
うん、クックさん、とりあえず私を下ろそうか?
「てことでね、屋敷で使用人を雇おうかな~って」
ギルド内の酒場スペースで、果実水の入ったコップを両手で持って上目遣いで聞いてみた。
謹慎を破って街の外に出ようとしたことは、上目遣いで緊急回避なんだよ?
そもそも、メイドさんとかの使用人を雇うってことは予定にあったしね。
「使用人か。確かに、あの広い屋敷だと必要かもな。レオドナドは公務室に籠っているとして、留守にしている間の管理も必要だ」
ふっふっふ~。上手く誤魔化せたんだよ。
「しかし、それは国の運営資金から雇用費を出すのか? それとも、サクヤちゃん個人の資産からか?」
「ほえ?」
国の運営資金って何? 人を雇うってことだけで、問題がいろいろでてくるよ!?