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第16話:授業崩壊と胸騒ぎ

 1日目の授業が終了して、とりあえず寮に向かうことにした。

 私に宛がわれたのは、個室だった。両隣には教官さん達の部屋があって、魔族が襲撃してきたときの対応が素早くできるためなんだけど。


「ちょっと! どういうことなんですの! 貴族である私でさえ、2人部屋だというのに、この待遇の差は?」

「そんなこと言われても……」


 うわ~! 授業外でも絡んできたよ!

 そして答えに詰まった。

 この学園の子達は、私が魔族の襲撃にあったことを知らないのだ。

 2人部屋だったら、一緒の子が巻き添えになるかもしれないってことなんだけど。

 言っていいものかな?


「サクヤさんは勇者だから仕方ないんじゃない? 体験入学って聞いてるし」

「勇者だからって、特別扱いはやめるべきですわ!」


 イザベラちゃん……さん? 年下でも態度がでかいからどっちで呼んでいいのか分かんないけど、ドアを勢いよく閉めて、自分の部屋に入っていっちゃった。

 私からしたら、貴族だから何? って、感じなんだけど……。




 翌日、私は寮の部屋で考え込んでいた。

 字が読めないんだから教科書持っていく必要ないんじゃない?


「どうしようかな……」


 『わんわんわん!』(重いから持っていく必要ないんじゃね?)

 モフモフさんからのアドバイスが聞こえた! (気がした)


「置いていこ」


 どうせ読めないし、重いしね!




 昨日と同じく魔法の授業中、女性の教官さんが教科書を読んでいると、私に視線を移してきた。

 ヤバイよね。これはあのパターンだよ。


「続きはサクヤさんに読んでもらおうかな」


 ほらね!

 私はバッと立ち上がり、右手を上げて今の状況を説明した。


「読めないから持ってきてません!」

「読めなくても持ってこないとダメでしょ! 勇者だからって特別扱いはしませんよ! 立ってなさい!」


 ダメだったよモフモフさん!

 周りの生徒が笑っていた。そんな中、イザベラちゃんだけは、私を睨みつけてた……。

 

 その頃、壊れた私の家からモフモフさんの遠吠えが消えてきたらしいです。


「ワオォォォン! (俺、関係ね~~~~!)」




 午後からは、競技場で魔法の実技演習があった。

 グラウンドに藁で出来た的が等間隔で並べられている。

 横一列に並んだ生徒が、順番に魔法を放っていく。その後ろで、私は見学ということで座ってる。


「ファイアボール!」


 男の子の足元に3重円の魔法陣が描かれて、前に出された右手から火の玉が飛び出していく。

 スピードは速くなくて、藁の束に命中して藁が燃えた。


「すげ~! 3重円の魔法成功させたぞ!」


 みんな同じように驚いて拍手している。

 でも、私はティアナさんの魔法を見てしまっているからか、あまり凄いとは思わなかった。

 みんな12歳で初級クラスだからこんなものなのかな?


「サクヤさん!」


 うわ! 来た! イザベラちゃんだ!


「私、魔導タイプで魔法と召喚が得意ですの。見ててくださいます?」

「はぁ。どうぞ」


 どうぞどうぞと促すと、イザベラちゃんが両手で杖を頭上に掲げて、詠唱を始めた。

 ピンク色に輝く魔法陣が、4重円を描いていく。


「ファイアウォール!」


 一列に並んだ藁の束の真下から炎が吹き出てくる。それは炎の壁になって燃え続けた。


「サクヤさん、どうでした私の魔法は?」

「うん。すごいすごい」

「なんですか! お世辞で褒められても嬉しくありませんわ!」


 スキル、ヒステリックが発動して、持っていた杖を地面に叩きつけるように投げ捨てて、捲くし立ててきた。


 ほら! こうなる! どうしろっていうの~~~!


「サクヤさんにも、実演してもらってもよろしくて?」

「え?」

「まさか勇者ともあろうお人が魔法の1つも出来なくて?」


 そう言われちゃ引き下がれない!


 グラウンド中央にゆっくりと歩いていく。

 目の前には藁の束。背にみんなの視線を集めて、右手を前に突き出し、左手で右手首を掴んで狙いを定めて、ふ~……と一息つく。

 唱えるのは、ティアナさんの使ってたあの魔法!


 ……。

 訪れる静寂。

 そして魔法を唱える!


「バーニング・バースト!」

「すげ~! 6重円魔法だ!」


 ……しかし何も起こらなかった! 

 魔法陣も出てこないし、手から何か出るはずもなく……。

 驚いてくれた子、ごめんなさい。


「もういいですわ! こんな方が勇者だというなら、私でもEランククエストクリアできそうですわ!」


 そう叫ぶと、グラウンドから出て行ってしまった。

 それに続いて、取り巻きの子3人も追いかけて出ていってしまう。


「授業崩壊……初めて体験しました……」


 女性教官さんが私の隣で泣いていました。

 なんかいろいろごめんなさい。



 

 全ての授業が終わって、寮に帰る途中で取り巻き3人組みが居た。

 3人はイザベラちゃんと出て行ってから授業に戻って来なかったんだけど、そのイザベラちゃんの姿がなかった。

 いつも4人でいるのに珍しい。

 そんなことを思いながら見ていると、3人の中の1人が、私を見つけたのか駆け寄ってきた。

 なんか凄く落ち着かない様子で。


「サクヤ様! イザベラ様を見なかったですか?」


 様! なんかそう呼ばれると背中が痒くなってきちゃう。

 て、そんなこと思ってる雰囲気じゃないね。


「どうしたの? 飛び出していってからずっと一緒じゃなかったの?」

「それが……ここにいるように言われて、ずっと待ってたのですけど、いつまで経っても戻ってこなくて、手分けして探したのですが、学園のどこにも居ないんです」

「それはおかしいね……」


 今までイザベラちゃんが1人で行動してるの見たことがない。常にこの子達が側にいる。

 でも、そうなるとイザベラちゃんが1人で行動するって意味は……。

 あ! 『Eランククエストクリアできそうですわ!』

 ゴブリン討伐に1人で行ったんじゃないのかな!


「あなたたち、冒険者ギルドに行ったことある?」

「はい。街へは何度か行っているので」

「ギルドにいる受付のテオールさんに、北の森周辺の探索お願いしてきて! 私の名前出していいから!」

「ええ! まさか……」

「お願いね! 私は先に森に向かっておくから!」


 私はそれだけ言うと、学園の門を抜けて急いで北の森に向かった。

 ここから西の私の家にいるモフモフさんと合流するには時間がかかる。

 私1人でも早く行かないと!


 今、森とその周辺は洞窟から溢れ出してくるゴブリン達が居て危険だ。

 冒険者と街の兵士さんで討伐をしているけど、森は広大すぎて、討伐隊の隙間を抜けて草原まで来てるゴブリンも少なくない。


 イザベラちゃんが授業を飛び出してから時間が経っちゃってる。

 胸騒ぎが大きくなる。

 お願い! 私の思い過ごしで終わって!

本編書くよりもサブタイトル考えるのが難しいです

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