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第115話:なんか凄い人が飛び出してきた!

 敵の部隊が全滅した後、喜び合う人達を眺めながらほっと一息をつく。


『サクヤっち~。残りの魔力が半分以下だよ~』

「え? あの魔法だけでそんなに使っちゃったの?」


 リリーの素の魔力が約9000あって、オーバードライブの効果で10000くらいはあったはずだけど。


『あの魔法だけって簡単に言うけどさ~。全体魔法で全員を完全回復とさらに継続回復なんて、多分だけど、サクヤっちにしか出来ない凄いことなんだからね?』

「あ~……うん」


 私が知ってる魔法と違うものだけど。


 と、リリーとそんな会話をしていると、周りの人達がざわめき始めた。


「なんだこの霧は?」


 兵士さんの言葉で辺りを見てみると、いつの間にか治療陣地の一画だけ濃い霧で覆われていた。

 兵士さん達はその霧をぼんやりと眺めてたけど、冒険者さん達は1度は鞘に納めた剣を一斉に抜いた。

 警戒心とか危険察知能力は、やっぱり経験の差が出るみたい。


「私も警戒しないと……」


 いつでも魔法が撃てるように、正面にロッドを構える。

 幸いにも、リリーとのオーバードライブはまだ解除されてない。

 私も立派な戦力だよ。


『サクヤっち! 後ろ!』

「え?」


 振り向くと、渦を巻いた一際濃い霧の中から、剣を持った右腕だけが飛び出していて、今まさに振り下ろされているところだった。

 完全に剣の間合いに入ってて、振り向いた態勢だからスローを発動しても回避出来ない!


「『きゃあぁぁ!』」


 リリーと一緒に悲鳴を上げて、咄嗟にロッドで受け止めようとした瞬間、私と剣を持った右腕の中間地点の地面に、突然に魔法陣が浮かび上がった。

 そしてその魔法陣から、人影が頭から飛び出してきて……。


「がはは! 小さき魔王よ! 久しぶり――」


 あ、そこに出てきたら危ない……よ?


 ガアァァン! って、飛び出してきたあんまんさんの頭に剣がぶち当たったよ!

 剣は砕け散って、あんまんさんは……。


「ぐおぉぉぉ! いったぁぁ!」


 うずくまって両手で頭を抱えてた。

 それだけって、凄い石頭だね。

 渦から出てた不気味な腕は、剣を折られたからか、すっと消えていった。

 その直後。


「邪魔です。早くどいてください」


 また魔法陣が光って、メイド姿の人が、何故か狙い澄ましたかのように右膝を突き出して魔法陣から飛び出してきた!

 うずくまっていたあんまんさんの顔面に膝がヒット!

 あんまんさんは、ぐぉぉぉ! と言いながら、仰け反った態勢で空高く打ち上げられちゃった!


 そのメイドさんが華麗に着地すると、私に向かって跪いた。


「サクヤ様でございますね?」

「あ、はい」

「なんと……なんということでしょう……」


 赤い髪を後ろで束ねた金色の瞳が特徴的な凄い美人さんが、何故か私を見詰めたまま小刻みに全身を震わせてる。


「えっと……どうしたんですか? 膝が痛かったとか?」

「可愛いぃぃぃ! 声が可愛いぃぃぃ! 小さいぃぃぃ! ほっそぉぉぉい! 脚なんて私の腕よりも細いじゃありませんか! 抱きしめていいですよね! いいですよね!?」


 私が返事するよりも早く抱きしめられちゃった。

 決定事項だったみたいだよ。


「――ぐおぉぉぉ!」


 あんまんさんが背後に落ちてきて、仰向け状態で少しだけ地面にめり込んだよ。

 どんな高さまで打ち上がったんだろうね。


「がはは! 下着は薄い水色であるな。小さき魔王よ」

「うわ!」


 ミニスカートだったことを忘れてたよ!

 抱きしめられてるからスカートの裾を押さえて隠せない~!


「アイスニードル」


 メイドさんの指先からいくつもの氷の針が射出されて、全てがあんまんさんの両目に吸い込まれるかのように突き刺さった。


「ぐおぉぉぉ! ぎゃわぁぁあ! 目がぁぁぁ! 目がぁぁぁ!」


 両目を押さえて転げ回るあんまんさん。……凄く痛そう。


「私のサクヤ様を変な目で見ないで下さい。目を潰しますわよ?」


 さっきので潰れたんじゃないのかな?

 て、あれ? 私のって言った?

 これあれだね……このメイドさん、イザベラちゃんと同じ匂いがプンプンしてる!


 私の周りには変な人しか集まってこないみたいだよ!



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