第113話:魔法少女、爆誕!
さっきまで晴れていた空は紫色の雲に覆われて、周囲を暗く変えていた。
前方の小高い丘の向こうからは、剣と剣が弾け合う音と怒号が聞こえてきていた。
その丘を越えてモフモフさんが飛び出してきた。
口には負傷者が咥えられていて、背中にも2人の負傷者がしがみついていた。
『まだ多数の負傷者が輸送されてくる! ウルフ隊は撹乱と負傷者の輸送に分かれて活動中!』
モフモフさんは負傷者を地面に下ろすと、再び前線に戻っていった。
負傷者は私が思ってた以上に多いみたいだね……。
ここからだと相手が何なのか分かんないけど、やるべきことは1つ!
「私も前線に!」
「「「サクヤ様はここで指揮をしてください!」」」
「え~」
「え~。じゃありません! サクヤ様は後方で負傷者の治癒をお願いしますよ。これから負傷者が増えますからね。それに対してヒーラーの数が足りないのですよ。クックック」
「うん。わかったよ! これ以上負傷者を出さないためにも、私が敵をギッタンバッタンと倒せばいいんだね!」
「「「どうしてそうなるんですか!?」」」
結局、私が無茶をしないようにと、クックさんにリンクを解除されちゃった。
ステータスが1の私に出来ることは、指示を出すことくらいしかないよ。
「相手が何なのか分かんないけど、バラバラに戦っちゃダメだよ! オークさん達は移動が遅いから、前線に行くよりもその場で横一列の陣形! いつでも壁を作れるようにしてて!」
オークガーディアンさんの防御力は1番の戦力になるはずだよね。
だったら、その戦力を生かすために、この場を前線に変えちゃえばいいってことだと思う……多分。
「リリーは後方まで後退! 私の家の庭を治療陣地にして回復に専念! 魔導師隊は半分に
分かれて前線の支援と治療陣地の護衛を! 振り分けはイザベラちゃん、お願いね!」
「了解ですわ! お姉様!」
「後は……今戦っている皆をオークさんの後方まで撤退させて! 後退支援は冒険者さん達に――」
「クックック。私が行きますよ。人間達よりも、魔族の私のほうが戦力は高いですし、前線に居るモフモフさんとラグル殿と合流すれば、十分に後退支援は可能です」
「分かった。任せるよ。じゃ~私は~」
腰に下げてた鞘からシャイニングソードを抜いて。
「リリー! サクヤ様を抱えて後方に行きなさい!」
「はいは~い。私も力が1だから抱えるのは無理だけど、空を飛びながら引きずっていくね~」
「「きゃぁぁ!」」
私とクックさんが同時に悲鳴を上げた!
それは何ていう拷問なのかな?
「冒険者の方! サクヤ様に触れるのを許可します! 安全な後方までサクヤ様を!」
どうして私に触れるのにクックさんの許可がいるのかな?
なんて思っているうちに、私は担がれて運ばれました。
治療陣地になっている庭は、負傷した人で溢れかえってた。
リリーの回復魔法はもちろんだけど、ヒーラースライムのプニプニさんも身体を分裂して治療してくれてるけど、それでも間に合わないくらい次から次に運ばれてくる。
それだけで前線の維持は難しくなってくるよね。
ここも敵に突破されたら、ギュレールの街まで危ない。もちろん、この私の家からギュレールの街までにある避難民キャンプもだね。
街の中に避難するように伝令は行ってるみたいだけど。
「敵は魔物かどうかは分からないが、骨だ」
「骨?」
「ああ。骸骨で出来た兵士や騎士だ。騎士が乗っている馬も骨だった。いくら攻撃を当てて骨を砕こうとも、奴等はすぐに再生して襲ってきやがる!」
負傷者を運んできた冒険者さんが、状況を説明してくれたけど、戦況は劣勢みたい。
「不死族……アンデットだね~。でも、おかしいね。魔王軍はそんな闇の魔物は居なかったはずだけどね~」
アンデットって、ゲームとかアニメでしか知らないな。
でも、状況は凄く分かった。
こっちは負傷者さんが出て数を減らしてるけど、向こうはやられてもすぐに再生しちゃうから、ヤバイってことでしょ?
で、こっちは回復が追いつかない……。
「リリー、リンクするよ!」
「りょ~かい!」
と、リリーが言うと、私とリリーの身体が光り輝いた。
これ、オーバードライブだ!
「リンク・オーバードライブ!」
リリーが光の玉になって私の中に入ってきた。
着ていた服が光となって弾けて、その光が再び集まってきて私を包み込んだ。
足元から上へと、順に防具に変わっていく。
真っ白で足首のところに小さな羽が付いたブーツ。
超ミニスカート!(パンティー見えちゃう~!)
真っ白で胸元にピンクの可愛いリボンが付いたネコミミフード付きのトップドレス!
背中には光り輝く翼!
「慈愛と癒しの女神! 魔法少女リリカルサクヤ! 適当に頑張っちゃうぞ!」
女神なの?! 魔法少女なの?! 適当じゃダメだよ!?
自然と浮かんできた言葉をそのまま言っちゃったけど、いろいろと変だよリリー!




