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第112話:急展開だから忘れてたよ!

 ロイさんの部隊が敵の隊列に横槍を入れて、敵兵の分断に成功したけど、本来の作戦だったら、包囲して魔法で攻撃、残った敵をわざと逃がしてロイさん達でトドメだったんだよね。

 魔法攻撃が出来なかったから、相手はいっぱい残ってて、ロイさん達は善戦したけど数が違いすぎて半数以上やられちゃった。


「追撃戦いくよ~! オークさん達はウルフさんに乗って!」

「「「キャイ!?」」」


 ウルフさん達が短い悲鳴を上げて、座り込んで右手を顔の前で激しく横に振った。


『ボス! さすがにオークの巨体と重さでは乗せるのは無理です!』

「え~」


 ウルフさん達がペチャンコになったところが想像できちゃった。

 ま~仕方ないか。

 魔導師のみんなはそろそろ回復したころかな?

 今度はこっちから攻める陣形で行こう。


「オークさん隊は横一列陣形! 中央のキバキバさんを基点に左右斜めになるように後退! 三角を作って!

 魔導師隊はオークさん達の陣形の中心から少し後方に! ウルフさん達は左右に散開! 横から魔導師部隊に攻撃を仕掛けてくる敵を各個撃破して!」

「「「おお!」」」


 一糸乱れない動きでみんなが動いていく。

 ここからは私が空に居ると邪魔になるだけかな? 何故か分かんないけど、相手が大混乱しちゃうし。


 クックさんの隣りに着地すると、クックさんがじっと見詰めてきた。


「クックック。サクヤ様は……どこかで戦争経験があるのですか?」

「え? ないけど」

「ですよね……。にしてはですよ、見事な戦術と指揮でしたが。陣形など、どこで覚えたのですか?」

「漫画だよ」

「マンガ……ですか? それはなんでしょうか?」


 あ、ヤッバ! その漫画に出てくる武将がみんなイケメンで、読んでるうちに戦い方を覚えちゃったんだけど、元の世界のことは秘密にしておいたほうがいいよね?


「学園の図書室にそんな本があったんだよ」

「……まあ、そういうことにしておきましょうか。クックック」


 誤魔化せた……よね?

 クックさんを見ると、魔法剣を鞘から抜いて、その刃をじっと見詰めていた。

 これ以上の追求は無いみたいだけど。


「サクヤ様! 陣形が整いました!」

「あ、うん。それじゃ~全軍しんげき……て、あれ?」


 号令をかけようとしたら、相手側の陣地から赤い魔法の弾が3つ打ち上がった。

 その3つの弾が上空で弾けた。

 

「何かの合図かな?」

「さあ? なんでしょうかね?」


 クックさんと2人で首を傾げていると、魔導師部隊の指揮を取っていたイザベラちゃんが焦った顔で駆け寄ってきた。


「お姉様! 救難信号ですわ! 恐らく魔物の襲来かと思われますわ!」


 あれって、そういう意味なんだ?

 て、それどころじゃないよ!

 あの人数が居て救難信号って只事じゃないよね!


「ウルフさん部隊は全速力で先行して! 敵を倒すことよりも救助を優先! モフモフさんに指揮は任せるね!」

『うおぉぉぉん!』


 一吠えすると、金色に輝くフェンリルモードになって駆け出していった。


「サクヤちゃん! 俺達も行くぞ! 冒険者隊! 総員抜剣!」


 模擬戦の審判をしてくれていたラグルさん達の冒険者隊も全員剣を抜いて駆け出して行った。

  

 かっこいい!


 全員がラグルさんの号令で一斉に剣を抜く姿がね!

 よ~し! 私もオークさん達に号令だよ!


「オークさん達も全員抜剣!」

 

 そのかっこよさを目に焼き付けておこう!


 じ~~~。


「「「……」」」

「……。(あれ? 誰も動かないよ?)」

「クックック。サクヤ様。オークさん達が今持ってるのは、棒切れに布を巻きつけた模擬戦用の武器だけですよ」


 あっれぇぇぇ!?

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