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第103話:怪しいお金が振り込まれてた!

 クエストクリアの翌日。

 借金返済のために、クックさんと少しだけゴブリンを討伐してギルドに戻ってくると、ギルドの入り口に兵士さんが数人立っていた。


 誰か問題でも起こしたのかな?


 冒険者は一般市民に手を出すと重罪になる。

 みんな朝までお酒飲んでて酔っ払ってたから、そのうちの1人がやらかした可能性大だね。


 そう思いながら兵士さんの脇を通り抜けて……。


「やっと見つけましたよ、サクヤ様」


 私だった! イチゴのジュースで酔っ払って何かやらかしちゃったのかな!?

 そういえばモフモフさんと一緒に寝てからの記憶がないよ!

 ……て、寝てたんだから当たり前じゃ~ん!


「ビスケール王がお会いになりたいそうです。ご足労願えますか?」

「え? ビスケールさんが?」


 兵士さんが1枚の紙を渡してくる。

 読んでみると、それは正式な招待状だった。

 会いに行くだけなら別にいいかな?


「クックック。サクヤ様。我々は借金返済のためにクエストに行ってきますね」

「あ、うん」

「念のために、リンクをしておきましょう」

「そうだね」


 襲撃があっても、リンクしていれば私だけでも対処できるということで、クックさんとリンクしてからお城に向かった。




 お城に入ると、案内してくれている兵士さんが、謁見の間じゃないほうの通路を進んでいく。


「こっちじゃないの?」


 謁見の間のほうを指差して聞いてみた。


「本日はビスケール王個人でお会いになりたいと言うことで、謁見の間ではなく、応接室のほうにご案内いたします」


 なんだろ? 秘密の話かな?


 しばらく歩くと、重厚な両開きの扉の部屋の前に着いた。

 扉の前には、槍を持った護衛の騎士さんが2人立ってた。

 その騎士さんの元へ、案内してくれた兵士さんが駆け寄っていった。


「ギャレン様、サクヤ様をお連れ致しました」

「うむ。ご苦労だった」


 この部屋で間違いないみたいだね。


「では、サクヤ様。少しおまち……」

「てい!」


 重そうな扉だったから、助走をつけて扉を押して……。


 ドッゴォォォン!


 やらかしちゃった! 粉々になった右側の扉が吹き飛んでいっちゃった!

 クックさんとリンクしてるの忘れてた! 今の私の力は多分2000超えてるよ!


「ビスケール王~! 衛生兵! 衛生兵~!」


 う……うわぁぁぁ。

 恐る恐る中を覗いて見ると、砕け散った扉の破片がいくつか壁に突き刺さってた。

 そして、白目をむいて倒れてるビスケールさんが……。


「大丈夫です! 筋肉が致命傷を防いでくれています!」


 気絶で済んだみたいだよ!

 よかったよぉぉぉ!


「さ……サクヤ様。扉は中に控えております使用人が開けますゆえ、以後お気をつけください……」

「はい……」


 顔を真っ青にしてガタガタ震えてるギャレンさんに怒られちゃったよ。

 それにしても震えすぎ。着ている鎧がガチャガチャ音を立てるくらいだよ。

 ビスケールさんが死んじゃったかもって、ショックを受けたのかな?




 数分後。治療を終えたビスケールさんが私の正面に座ってる。

 扉を壊しちゃったことを怒られる前に謝っておこう!


「あの……ごめんなさい!」

「いやいや。柔な鍛え方はしておらんよ。すぐに治りますとも」


 よかった~! すぐに直るって、予備の扉がいっぱいあるんだね。

 さすが、国王の住むお城だね。


「さて、サクヤちゃんに見てもらいたい物があるのじゃが」

「え? 何?」


 ビスケールさんが、テーブルの上のベルを鳴らすと、使用人さんが布に包まれた物を大事そうに抱えて持ってきて、テーブルの上に置いた。


「サクヤちゃんにお貸ししていた貴賓室にあったものなんじゃが……」

「うひゃ……」


 バレた!

 目の前に置かれたそれは、間違いなく、陶器のお皿とガラスのグラスを割っちゃって、クリエイトで作っちゃった花瓶みたいなそれだよ!


「これを買い取りたいのじゃが」


 やっぱり! 責任とって買い取れって!

 高そうなグラスとお皿を何枚も割っちゃって、誤魔化そうとして出来たのが変なグラスの形をした花瓶だしな~!

 いつかは請求が来るって思ってた!

 借金増額確定!


「いかほどでお譲りくださる……」

「金貨2枚で許してください!」


 私はそれだけ言って、クリエイトでマントを翼に変えて、窓から飛び立って大空に逃げた。



 ―――


「サクヤちゃん!?」


 引き止めるよりも先に、サクヤちゃんは大空の彼方に飛んでいってしもうた。

 それを見て、部屋の外から見ていたギャレンが入ってきた。


「この花瓶のような物に、王自らが買い取る価値があるのですか?」

「ふむ。お前さんは武芸は達者じゃが、芸術には疎いようじゃな」


 使用人に細い糸を持ってこさせ、その糸を表面に密着させて花瓶の下から上に糸を這わせると、何の抵抗も無くスルッと通過した。


「見ての通りじゃ。鑑定士に3日掻けて調べさせたのじゃがな、少しの凹凸も無く陶器とガラスが見事に一体化して1つの物として存在しておる。水を入れても一滴の漏れも無く、熱にも強く、魔法で凍らせても歪みもヒビも入らん」

「学がないので、それがいかほどのものか、理解できませぬ」

「ふぉむ。職人に同じものを作らせようとしても無理らしい。陶器とガラスの接着がいかに難しいか。それとこのガラスの透明度よ」

「透き通って何も無いように見えますな」

「王国中の透明度の高いガラスを集めても、これほどの透明度の物はないらしい。これは世界に1つしかないとても貴重な物じゃ」


 説明すると、ギャレンの口が開きっぱなしになり、とても驚いているようじゃ。

 ワシはそれとは別のことに驚いたのじゃが……。


「大金貨1万枚でも足りぬかもしれないこの花瓶が金貨2枚とは……。どうして金貨2枚なんじゃろな?」


 迷い無く、即決だったような感じじゃった。


「サクヤ様は冒険者ギルドに金貨2枚の借金があると、兵士から聞きましたが」

「それで2枚か! ふぁっふぁっふぁ! なんと欲の無い子じゃ!」

「そうですね! 逃げ出したのも、王から莫大な金額を提示されるのを遠慮したのでしょう!」

「よし! ギルドのサクヤちゃん名義の口座に大金貨1枚を入金しようぞ!」

「お、恐れながら申し上げます! 勝手にそのようなことをしたら、金貨2枚とご配慮いただいたサクヤ様のお怒りに触れるのでは?」

「ふ……ふむ」


 壊された扉を2人で見て、冷や汗を流す。

 何気なく開けようとした扉があれじゃ……。怒りで力を解放して暴れられたら、王都が壊滅してしまう!


「私は恥ずかしながら、恐怖で体が震え、一歩も動けませんでしたぞ……」

「うむ……金貨2枚。ギルドに振り込んでおくとしよう。いいか? 全兵士、いや……城に使えている全員に、決してサクヤちゃんを怒らすなと通告するのじゃ!」

「は!」



 ―――


 逃げ出した後、街の外でゴブリンに八つ当たり……じゃなくて、討伐して街の平和を守ったよ。

 う~ん……借金が金貨4枚に増えたよ……どうしよう?

 冒険者ランクが低いから、高額報酬のクエストは受けられないしなぁ。

 高額のクエストを受けれないか、ギルドのお姉さんに相談してみよう!


 ギルドのカウンターで、とりあえず討伐報酬を受け取る。


「あ、半分は返済で」


 半分返済しても、銀貨1枚は手元に残るよ。

 ちょっと倒しすぎちゃった。


「サクヤ様。借金は既に全額返済されていますよ(にっこり)」

「え?」


 どいうこと?


「すでに返済されていた分を差し引いて、サクヤ様の口座には銀貨6枚の預金がありますが、どうしますか?」


 なにそれコワ!

 クックさん達が頑張っても、残り全額を1度に返済って無理だよね?

 ……何か裏がありそうなお金だね。持っててもいい事ないよ絶対!


「寄付します!」


 謎のお金のおかげでギルドの借金は無くなったけど、怪しいお金は残しておかない!

 これで借金は花瓶の金貨2枚だね。頑張るぞ~!


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