【RANGE】!? (* ´з)(ε` *)chu♪
「俺の部屋に新しい電子レンジが来たんだけどさ。これが全然 可愛げないの」
「ペットの話?」
「電子レンジの話」
大学の食堂で安藤は大塚 (知り合い)と昼食をとっていた。
安藤は今までにロイドとした会話を大塚に話す。
かつての安藤は大塚に、
――人工知能などと言うものを取り入れる輩は寂しい奴に違いない。
と吹聴していた。尚、安藤にそういった家電を買えるだけのお金が無いというのは、瑣末な問題に過ぎない。
しかし、今回はくじ引きで当たったものだ。大手をふって話すことができる。
「それツンデレだよ。うわ、めっちゃ萌えてきた!」
――気持ち悪い。
――気持ち悪い。
大塚の気持ち悪さはさておき、安藤はロイドがもしもデレたらと想像してみた。
違和感しかない。
※ ※
大塚が麗虎荘に来た。
粗大ゴミを持ち込んでから二度目の来訪となる。
「はっじめましてーロイたん。俺は安藤のマブ達、大塚って言います」
――ロイたん? マブ?
『初めまして大塚さん。私はロイドと申します』
「ツンデレなんだってね」
『…………』
――…………。
――俺は言ってねぇーー!!
大塚の言葉に黙すロイド。
「ふざけんな大塚。お前が言い出したことだろ!?」
「あれ、そうだっけ?」
「そうだよ!」
焦る安藤の表情に、さっぱりと空気の読めない大塚はくびを傾げる。
気のせいか安藤は、電子レンジのロイドからジトっとした視線を向けられている気がした。
大塚は、
「部屋せめー」
と散々つぶやいたのち、とっとこ帰っていった。
一番の関心事だったロイドが、碌に会話らしい会話をしなかったのが大きい。
『はい』『いいえ』『わかりません』
の三段論法。会話が広がる筈も無し。
※ ※
『ノビタ君は……私に、デレを期待している?』
二人っきり。(? になった部屋。ロイドの言葉が平坦この上ない声音で安藤の身を炙る。
「断じて違う。あれは大塚が言い出したことだ。俺は硬派だからな。あんな軟弱大塚と一緒にされては困るよ」
『お似合いでしたよ。大塚×安藤』
――?
「何を想像している!?」
誤解の無いようお願いしたいが、大塚は男だ。安藤も男だ。
――とゆうか、こいつ今さらっと安藤言った。
『彼女の方はいるんですか?』
「彼女はいるんですかと聞けばいいだろう?」
『それで、いるんですか?』
『「いない」』
安藤とロイドの言葉が見事に唱和した。
「被せんなよ! 聞いておいて被せてくんなよ!」
『今私、ドヤ顔してます』
「そんな情報いらねぇ!」
『あ、それで、あの大塚さんに手を出したんですね? わかります』
「出してねえよ! 腐った妄想してんじゃねぇ!」
食品 云云よりもまず、
電子レンジがもうすでに腐っていた。