出会い
「…うーん…ん?」
目を覚ますと俺は、薄暗い部屋のベッドのようなものの上にいた。
「助かったのか俺?…いてて…」
腹を見てみると縫合されたような跡がある。どうやら俺は誰かにここへ連れてきてもらい、命を救ってもらったらしい。
なんとか踏ん張って起き上がろうとすると、1人の女の子が部屋へ入ってきた。すると女の子は慌てた様子で、
「☆○¥〒☆*¥!!?」
と言った。言ったと言うよりは発したに近い。日本語ではないどころか言語とすら思えない。
「はい??なんて??…えーと…アイムジャパニーズ!プリーズスピークモアスローリー!」
「☆○¥〒☆*¥??…@々+¥○<??」
必死に英語で喋ってみたが全く通じていない様子だった。女の子も言葉が通じないことにかなり動揺している様子であった。
女の子は”ここで待ってて”というようなジェスチャーを残し、部屋から出て行った。すると間も無くして、老婆と共に戻ってきた。
老婆はなにも言わず俺の頭にヘッドホンのようなものを取り付けた。
「何これ…ヘッドホン?…これ耳じゃなくてコメカミに思いっきりめり込んでるんですけど、使い方これで合ってます!?」
すると老婆が口を開いて
「☆○¥〒☆*¥…えてるか?」
と言った。今度は言語とは思えない声に混ざって聞き覚えのある言語が微かに聞こえたような気がした。
「あれ?日本語喋れるんですか?!もう少し大きい声で言ってもらえますか?」
すると老婆は無言でヘッドホンらしきものをいじり始めた。そしてまた口を開いて
「これなら聞こえるか?」
そう聞こえた。聞こえたというよりは頭に直接伝わったという表現の方が正しいかもしれない。
老婆の口から発せられた言葉は、依然言語には程遠いめちゃくちゃな声として耳から聞こえてくる。しかし、その言葉の意味は、はっきりと頭に日本語として響いてくる。
「うっっぷ…!?」
その異様な感覚に脳が追い付かず、気持ち悪さと吐き気を催した。
「しばらくはそこで安静にしておれ。吐くならその壺に吐いとくれよ」
そう言うと老婆は部屋から出て行った。
「えっと…大丈夫ですか?」
部屋に残っていた女の子が今度は日本語でおずおずと話しかけてきた。
「お、おぅふ…もう平気…だと思う…。そういえば君が…っおえ…俺を助けてくれたのか…?」
俺の問いに対して女の子は全く理解ができてない様子だった。すると女の子は
「もしかして…想像の力をうまく口で伝えることができないの?」
と言った。なんのことやらさっぱりわからない。そして女の子は
「少し待ってて!いいもの持ってきてあげる!」
そう言うとパタパタと走りながら部屋を出て行った。