1/2
序章
「どこだよここ…」
目を覚ますとそこは、この世のものとは思えない一面真っ赤に染まった草原が広がっていた。
「これは…アニメとかでよくやってる異世界転生ってやつか!?」
「…いや、でも俺死んだ覚えとかないぞ…?」
本来であれば、なんらかの事件に巻き込まれ誘拐された結果、この草原に放置されたと考えるのが最も現実的である。
しかしながらこの草原、現実であるならば緑、もしくはそれに近い色であるべきところが、ことごとく真っ赤なのだ。
「少なくとも俺の地元ではないよな…」
「(ここで突っ立てても仕方ないし…人を探そう)」
足を動かそうとしたその時
「―――――――――プツッ…ブチブチ…」
腹の中と表面の両方で、まるでヌイグルミの縫い目を思いっきり引っ張って引き裂いたような、それをいくらか湿っぽくしたような、そんな音が響いた。
「…いっづあっ…っ…!!??」
悲鳴をあげることすら許されない激痛が身体中を駆け巡る。
腹から血を垂れ流し、その場に倒れ、意識がどんどん遠のいていく。
「…☆○¥……!?」
その時遠くから微かに女性の声のようなものが聞こえてきた。