智くんの髪は綺麗。
幼馴染の男の子に対する恋愛感情の様なもの・・・。
恋子の恋に恋するお年頃的なお話。
ショートストーリーに仕上げました。
智くんの髪は綺麗・・・。
私、北川 恋子は
名前に「恋」がつく割に恋愛経験が乏しい。
同年代の女子に比べて著しくも・・・。
でも、全然恋愛経験がないわけじゃない。
幼馴染の・・・というか、家が隣の「岩永 智くん」
彼しか「男」は知らない・・・。
男を知るというと、なんだかいかがわしい様な肉体的な関係を
連想させそうで嫌なのだが、別にそんな大層なもんでもなく、
ただ、ただ、「彼の事がそこはかとなく好き」なだけである。
彼は正直、「馬鹿」だと思う。
ほんと正直そう思わざるを得ない・・・。
いつもいつも恋愛で失敗して、変な女に引っかかり、
酷い泣き面で終える・・・。
そんなのの繰り返しだ。
チャラいとかでもなく、彼は純粋なんだ。
だから変な女に利用される。
見た目も髪の毛のキューティクル(笑)がサラサラで
とても綺麗な男の子。
モデル風・・・アイドル風・・・ミュージシャン風・・・。
なんというか・・・、芸能人の様なオーラが漂う妖しい風貌。
少年のようでいて、色気が漂う不思議な人。
不思議ちゃんならぬ、不思議くんだな。
私は堅実な男性がいいに決まってるとタカをくくって、
将来は絶対普通な結婚がしたいだけ。
それなのに、好きな人が「変な男」・・・。
実に矛盾だらけ。
そんな事を考えながらコーラの缶のプルトップを投げやりに開け、
ぐびぐびと零しながら飲んだ。
我ながら酒飲みかと思う様な行為だ。
少し汗ばんだ制服のシャツを上から見て、若干焦る。
「げ。下のキャミ透けてる・・・!!」
すると、後ろから透き通るような声がした。
「何してんの?」
(げ・・・。ご本人の登場だよ・・・・・!)
智くんだった・・・。
目線を私の胸元にやる彼。
「透けてるよ。スケトウダラ・・・なーんて。」
意味の分からない変なギャグ?!を挟んで彼は
少し意地悪く微笑みながら嫌な指摘をしてきた。
「だから、智くん嫌い!!!」
私は顔を真っ赤にしながら反論した。
「何もそこまで怒らんでも。・・・まあ、
恋ちゃんは男性経験なさそうだから、しょうがないか。お子様ランチだし。」
「・・・・・・・・・・。」
「あははは。ごめんごめん。じゃあね。学校行くから。
恋ちゃんの学校は反対方向でしょ?じゃあね~?」
ばいばいと手を振る彼はシャンプーの香りがした。
「やっぱり・・・・・・。」
智くんの少しだけ伸びた髪は「綺麗」だった・・・。
「やっぱり・・・すき・・・なんだな・・・。」
突然自覚めいてきて、感情が沸騰した。
でもだからと言って告白するなんて野暮の様な阿呆じゃない。
分かってるから。上手くいく筈もないし、付き合うつもりもない。
彼とは家が御隣同士。
それだけで十分しあわせなんだ・・・。
見てるだけの恋があってもいいと思うんだ。
それだけははっきりと言えた・・・。
「すきだよ。智くん・・・・・。」
離れていく彼の綺麗な後ろ髪を見ていた・・・。
朝にテレビを見ていて思いついた短編でした。
駄作でゴメンナサイ。
もう少し掘り下げてもよかったですね、設定。