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マナ教標準派

広がる魔術組織

 秘密裏に魔術組織を置いていたのはエルヴェス王国に限られた話ではなく、ほとんどの国において規模の大小はあれど存在しただろう、というのが今の学会の通説である。マナ教崩壊の後、数年の内に各国は国立の魔術研究所を創設したが、使用する魔術の系列が国ごとに大きく異なっていたためだ。これは各国が長い時間をかけて独自の研究を行っていたことに起因すると考えられる。

 話を戻そう。魔術の研究を行っていたのは、国家だけではなかった。

 マナ教標準派ーー後にスタンダード教と名乗り、今日までさん大宗教の一つとして君臨し続けている彼らこそ、中世世界においてもっとも大きな魔術組織であった。

 標準はとは、「邪神の使いたる魔獣」に対してのみ、魔術の使用を認めても良いのではないかと主張する一派のことである。

 言うまでもなく背景には当時の魔獣被害の増加があった。彼らは広く民衆の支持を集め、急速に勢力を拡大していくことになる。

 この主張の魔術史的意義は、「魔獣に対する魔術の使用を認める」というのは、つまりは魔術の研究を行うことを意味していた、という点にある。

 公然と魔術研究を主張する標準派を、マナ教は当然異端と認定し、他に類を見ないほどの厳しい弾圧を加えていった。その結果、一時は大陸を席巻した標準派は西へ西へと追われていき、最終的にレレックスという田舎町に中央聖堂を構えた。これが現在の教都へとつながっていくことになる。



魔獣支配地域

 魔獣支配地域というのは、一部の高度な知性をもった個体により統率された魔獣により支配されている地域を意味する。魔獣支配地域は人類だけでなく、およそすべての動物が生息不可能な死地となっている。

 ”北地”とも言われるこれは現在でも世界中に散らばり存在しているが、中世においては、誇張なく世界の半分を占めていたというのが昨今の研究で明らかになっている。

 そしてどうやらレレックスは”北地”と山を一つ挟んだだけの位置にあり、人の住める土地の限界まで追い詰められていた標準派の苦境を窺い知ることができる。

 しかしながら”北地”の隣接地という条件は彼らにとって、むしろ有利に働いていたようである。

 というのも彼らの「魔術による魔獣への抵抗」という主張は、”北地”隣接地に住むものからすれば、この上なく魅力的なものだったからだ。

 彼らにとってはマナ教の厳しい弾圧よりも、魔獣の被害の方が切実な問題だった。

 標準派はこの西の最果ての地において民衆の強力な支持をえて、マナ教からの弾圧に抵抗していくこととなる。マナ教もこれには手を出しかね、標準派とマナ教の対立は小康状態へと移っていった。

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