こんなことって…
朝
「大神くん、おはよー」
「おはよー、瀬里葉」
大神くんの笑顔は相変わらず眩しい。
すると、後ろから声がした。
「大神くん、おはよー」
「愛美さん、おはようございます」
愛美さんが、挨拶をしながら駆け寄ってきた。すると、愛美さんと目があった。キッとした目付きでわたしを見たあと、大神くんの腕を引っ張った。
「大神くん」
「何?」
「早く学校に行きましょう!」
と、言って腕を引っ張ったが、大神くんは愛美さんの手を振り払った。
「まだ、時間はありますよ。そんなに急いだって朝はすることないでしょう?」
「ぅっ、そ、そうね!まだ時間があるのにね!私ったらw」
すると、大神君は、
「愛美さんはなんでそんなに急いでいるのですか?」
愛美はうつむいた。そして、こう言って顔をあげた。
「き、今日は、朝から勉強でもしようかなって思って」
愛美は元気に笑って見せた。このときは気づかなかった。愛美の見せたこの笑顔の秘密を。
そして、愛美は私に向き直って、
「瀬里葉さん、いたのね おはよう」
「お、おはよ」
私は無理やり笑顔をつくった。
学校
私は、上履きを取り出そうとした。
「ん?」
私の上履きの上に1通の手紙が置いてあった。
(な、なにこれ。手紙?誰が)
すると、大神君が肩を叩いてきた。
「瀬里葉ー どーしたのー?」
私は慌てて手紙を隠した。
「な、なんでもないよ」
なんとか笑顔をつくる私。
「ん?ホントに?」
大神君の顔がぐんと近くに寄る。
(か、顔近いよ!!)
「ホ、ホントだってば!」
と、言って 大神君から顔を離した。そして、私は手紙を握って、走って教室に向かった。教室に入ろうとすると、一人の男子が私の目の前に立っていた。
「ちょ、ちょっと失礼します!」
私はそう言って教室に入ったが、その男子に腕を掴まれた。
「あ、あの、話があるのでちょっと来てもらえませんか」
その男子は、真っ直ぐに私を見ていた。輝くような綺麗な瞳で。
「は、はい」
私は、後を付いて行った。
私は何かを考えながら歩いていた。
(な、なんの話をするのかな? ま、まさか告白とか?まさかね)
体育館の倉庫
なんて考えながら歩いていたら、いきなりその男子が止まったので私はぶつかってしまった。
「ご、ごめんなさい!」
と、言おうとしたらその男子はいきなり私に抱きついてきた。
「き、君が好きなんだ!」
え、え、え、え?!?!?!私は驚きを隠せなかった。そりゃ、驚くよね。とにかく、離してもらおう。
「あ、あの、離してください」
その男子はハッとして私を離してくれた。
「ご、ごめん..なさい 俺は、君のことがホントに好きなんだ」
(好きなのはわかったから。)
「で、でも、そんなこといきなり言われても...」
すると、その男子がキスをしてきた。
(んっ...や、やめて!)
抵抗しようとしても抵抗出来なかった。力が入らないし、その男子が私の両腕を掴んでいる。
(や、やだ...誰か来ちゃうよ...大神君助けて...)
ガタン!
(?!)
「瀬里葉ー!!」
その男子はキスをやめ、大神君を見た。
「来たか 大神」
「あぁ、来たよ 兄さん」
「お、お兄さん?!?!」
またまた私は驚いた。
「瀬里葉を離せ!」
「嫌だね、大神、君にこの子はもったいないよ」
大神君はうつむいた。しばらくしてから大神君は口を開いた。
「瀬里葉...」
「大神君...?」
「瀬里葉、どうするの」
「え」
私は、なにがなんだかわからなかった。
「瀬里葉」
またあの瞳、吸い込まれそう。
(こうなったら、やるしかない!)
私は、大神君のお兄さんを押し倒し、大神君のもとに猛ダッシュした。
「大神!」
「瀬里葉!」
2人は抱き合って倒れてしまった。
ハッとして、2人は体を離した。
(あっちゃー、勢い良すぎてそのまま倒れちゃった)
「いてて...あ、瀬里葉!大丈夫か?!」
「う、うん なんとか」
「よかった!!」
そして、大神君私にそっとキスをした。
(ちょ、ちょっとちょっとちょっとー!)
大神君のキスは、嫌とは感じなかった。
「おい大神!」
「兄さん」
「瀬里葉ちゃんを渡してもらおうか」
「嫌だね!兄さんに渡すものか!」
すると、大神君のお兄さんの口から出てきた言葉に驚いてしまった。