愛美の本当の姿
(昨日の大神くんの目、綺麗だった)
なんてこと考えながら、わたしは大神くんと学校に行った。
「大神くんおはー!」
「おはよう。愛美さん」
「きゃー!おはようだってー!」
女子たちは大神くんが来るときゃーきゃーうるさい。わたしも女子なんだけどねw
大神くんには、好きな人いないのかな?よし、ちょっと聞いてみよう!
「大神くん」
「何?瀬里葉。」
「え、えと…」
「どうしたの?」
「やっぱ…なんでもない…」
やっぱり、後で聞いてみよう。恥ずかしいしw
「そか?そうには見えないけど…熱でもあるのか?」
「ち、ちょっ…!」
と、言ってわたしのおでこにそっと手を当てた。
「熱はないな。良かったw熱が無くて。」
手を当てたときの大神くんの顔、本当に心配してる顔だった。あのとき、なんでわたしはドキドキしてたんだろ?なんだかくすぐったいな、この気持ち。
昼
「大神くん、一緒にお弁当食べよう!」
「ん?愛美さんか、ごめん、一緒に食べたいのは分かるけど、一緒に食べたい人がいるから今日はごめん」
「…そぅ…」
「瀬里葉!一緒に食べない?」
「大神くん、いいよ!」
「瀬里、超ラッキーじゃん!」
「えへへ」
「あそこで食べない?」
「いいね!明日香!大神くん行こう!」
「うん!」
このとき、わたしはあんなことになるなんて、思いもよらなかった。まさか、愛美さんがあんな人だったなんて…
放課後
「明日香!一緒に帰ろう!」
「あー、ごめん!職員室に呼ばれてるから行かなくちゃなんだ。先に帰ってて!すぐに行くから!」
「うん」
まさか…こんなことになるなんて…わたしは知る由もなかった。
「えと、瀬里葉ちゃん…だっけ?」
振り向くと、そこにいたのは愛美さんだった。
「ま、愛美さん?どうしましたか?」
正直、超ビックリした。あの大物がわたしに話しかけてくるなんて!
「一緒に帰らない?」
「え、あ、はい。」
一緒に帰ったものの、話す話題が思いつかない。
「ね、いきなりなんだけどさ、大神くんのこと、どう思ってる?」
わたしはビックリした。こんなこと聞いてくるなんて。わたしは戸惑った。なんて答えればいいか分からなくて。
「わ、わたしは…」
どうしよう…なんて答えればいいか…
「わたしは大神くんの好きなの。だから、瀬里葉ちゃん!応援してくれないかな?」
わたしは驚いた。
「瀬里葉ちゃんが応援してくれればなって思って。ダメかなぁ?もちろん応援してくれるよね!」
わたしは怪しいと思った。だって、いつもはこんなこと聞いてこないもん!怪しいと思っても、こう答えるしかない。
「うん!わたし、愛美さんのこと応援するよ!」
わたしは笑顔で言った。
すると、愛美さんの声が急に変わった。
「ふふふ、応援してくれるのね…ありがとう…」
「え、愛美さん…?」
「あなたは応援してくれるって言ったでしょ?」
そう言いながらわたしを睨みつけた。
「応援してくれるって言ったんだから、明日の朝から大神くんに近づかないこと、それから、大神くんと話さないこと、大神くんと登下校はしないこと、この3つの約束は絶対に守ってね…応援してくれるんだから…」
「そんな!」
「あら、応援してくれるんじゃなかったの?」
「そんな約束付けるなら、わたし、応援しません‼︎」
わたしは、勇気を出してそう言った。
「どうなってもいいの?」
「わたし、大神くんや明日香といられるのなら、どうなってもいいです‼︎」
「…そぅ…明日が楽しみね…」
そう言ってわたしに背を向けて帰っていった。愛美さんに、あんな一面があったなんて… 愛美さん、大神くんのことが好きなんだ。わたし、分かっちゃった。愛美さんが、大神くんのこと好きだと。考えれば考えるほど胸が痛む。なんだろう、この気持ち。大神くんが来てから、なんだかおかしくなっちゃった。