3/27
2.5・千里眼の灯
真っ暗な世界。何も見えない。どうやら成功したようだ。思い残すことはなかった。
思うところがあるなら、あの病気が誰かに移らないか、だ。なくなって分かる価値観。あれは人の持っていいものじゃない。
……、今何かが見えたような。ああ、幼なじみの女の子だ。ビルの上に立っている。そうか死ぬのか。
落ちた。なんでなんて分からない。でも悲しく思う。でも寂しよ。僕も、君も。
ここで会えたら言ってみようかな。
好きだったって。
▽
どこを見ても真っ暗な世界。身体の感覚も無い。でも不思議と怖くない。彼はどこにいるのか。彼なら見えるのだろうか。
遠くに灯が見える。聞いたことがあるなぁ、こんな話。でも全然怖くない。なんでだろう。
「ーーーー」
声なんて聞こえなかった。頭に直接響いてくる。
「ーーーー」
きっと彼だ。言うんだ。聞こえなくても。姿が見えなくても。
「「好きです」」
人の形をしていなくても。本当に魂で繋がる。感情は波をうたないが、凄く嬉しい。
暗い世界の灯は私を慰めてくれる。
ご意見ご感想お待ちしております。




