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23・風風
春一番はなにを告げる?
風が春を連れてくる?それともただの心象の表れか……
その訪れとともに折れた花の数は?失われた葉の数は?時節を大切にするということはとても感傷にいい。
しかしその裏で失われるものに僕たちは目を向けているだろうか?
「いや、彼らは放って置かれるべきなのです。」
なぜだい?
「なぜなら彼らには光が当たらないからです。」
それだけの理由かい?
「それだけではありません、それこそが全てなのです。人は光のある方へ目を向けます。なぜなら暗闇は怖いからです。」
なるほど、暗いところは怖がられるのか。ならなんで君はここに来たんだい。
「それは私が観測者だからです。常に物事を見ているのが生きる意味だからです。」
そうか…………
そして君の周りにも誰もいなくなるんだね。
「それは大丈夫です。折れた花と落ちた緑葉があるのだから。」
そうか…………
強いんだね。
季節の変わり目に体調を崩さないようお気をつけください。
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