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3話

キュクロプスは他のサイクロプスより小さく、俺より頭一つ分くらい大きいだけだった。


それ以外の外見的特長はほとんどサイクロプスと一緒だった……皮膚がピンク色である事を除けば。


サイクロプスは性別が存在しないが、キュクロプスを見れば間違いなく♀じゃないかと疑問に思うだろう。


「異界の住人よ。よく来てくれた」


「何故それを? と言うか異世界という概念が理解できるのですか?」


「大体解っているつもりだ。その姿は災難であったな」


説明する手間が省けた。


と言うよりもなんだか色々知っていそうなので、詳しく話してもらった。


「ダンジョンの一番奥に帰還する手段と、供物が用意してある可能性は高いだろうな」


「意図してこの世界に閉じ込めて、世界の発展に貢献させてるって訳ですか。ダンジョン攻略に乗り出そうとすると邪魔されると?」


「貴方の場合はもっと複雑そうだが」


「どういうことです?」


「ゴブリンに苦戦する程とは正直思っていなかった。呼び出された異界の住人は必ず凄まじい力を備えているから、既に何らかの妨害を受けた後なのであろう」


この世界には黒い部分が多いようだ。


ほんの一部の人間が世界を牛耳っていると言っても過言ではない。


異界から召喚された者は皆等しく黒眼黒髪。


俺のルックスはどう見てもこの世界に馴染んでいる。


当面は邪魔されずにダンジョン攻略を勤しむ事ができそうだが。


「ついでにこの世界の常識とかも教えてもらっていいですか?」


「構わない」


通貨や物価、国や種族、言葉の種類など色々教えてもらった。奴隷なんかもやっぱりいるようだ。


ハーレムは夢だがこの身体では無理そうだ。


でもやっぱり一番気になるのは魔法とかスキルだろう。ダンジョン攻略には必須だし。


「魔法……魔術の事か? 誰にでも使えるぞ、スキルが無いと役に立たないがな」


そう言って一冊の六法全書と同じくらいの分厚さの本を渡してきた。


「これを全て詠唱するとMPを注ぎ込める。注ぎ込んだMPに見合った威力の魔法が扱える」


「え? 詠唱するだけでどんだけ時間掛かるんだ……しかもこの文字読めないし」


「若干変な発音だと思っていたが、共通語は喋れるのに文字は読めないのか。異界の人は難儀なものだな」


「これ一冊で一種類の魔術しか使えないのですか?」


「ああ、これは火の魔術書だ。火の魔術スキルがあれば一度詠唱した後は、適当に思いついた呪文を唱えるだけで使えるようになる」


「成るほど。火の魔術書はこの一冊しかないのですか?」


「そんな事はない。魔術は全部で火・水・土・風の4種類あるぞ」


「んん?」


なんだか上手く伝わってないようだ。


小一時間程話した結果、俺の先入観が悪かったということに気づいた。


この世界はRPGと同じように、決まった威力の魔術を行使するために、決まった量のMP消費するわけではない。


火の魔術書を一度詠唱してしまえば、イメージするありとあらゆる魔術を行使する事ができるわけだ。


ただイメージした魔術に対して消費したMPが少ないと失敗となり、無闇にMPを消費しただけとなる。


「どの道文字も読めないし、スキルも無いから魔術は絶望的……か」


「ほう、お主自分の持っているスキルが解るのか?」


「集中しないとできないから戦闘中とかは難しいけれど、ステータスが見えるから貴方のも解る」


キュクロプスを見ながらステータスが見たいと強く念じる。


●========================================================●

名前:キュクロプス

種族:魔物


HP:12034/12034

MP:311/311


未来予知LV.6

指揮統制LV.5


●========================================================●


「スーていタス? なんなのだそれは?」


「あー、HPとか持ってるスキルとか解るんですよ」


「HPやMPが解るスキルを持っている人は多いが、スキルまで解るスキルを持っている人はそうそう居ない。やはり異界の人は凄いな」


ステータスを見れるというのはスキルではない気がするんだが。


ついでに俺が持っているスキルについても聞いておいた。


身体強化は戦闘をする者にとっては必須スキルなんだとか。


元の世界と同じ理屈で、どれだけ鍛えても人の肉体には限界がある。


だがスキルのLVをあげるだけで、ひ弱な女性が筋肉もりもりマッチョマンの男にも勝るとも劣らなくなるらしい。


しかも瀕死の状態でもだ。


全スキルのレベルの最大は9。そこまで行くと神扱いを受けるらしい。


回復速度上昇はHPやMPの回復速度が速くなるスキルだった。つまり一日の回復量が増えるという見方もできる。


対人戦闘における肉体の損傷とHPの減りは比例する事は多いが、HPを回復させても肉体の損傷は回復しない。


ポーション飲んだら完全復活! とはいかないのである。じゃあHP関係なくねと思ったら大間違いだった。


対魔物戦闘では肉体の損傷がなくてもHPが減っている場合があるのである。


人は基本的に対魔物戦闘が多い。故にこのスキルは若干使えるかもしれない。若干だ。


必中の理や、上位存在、満月の夜に魅せらゲフンゲフン。


これら3つはキュクロプスでも聞いた事が無いらしいので俺の憶測になる。


必中の理……その文字の通りであれば、遠距離無双になるんじゃないかと踏んでいる。


上位存在……この世界は俺の世界からしたら下位世界である訳だから、上位世界の存在である俺は上位存在と言う事になる。でも意味あるのかわからない。


満月の夜に魅せられて……満月の夜に何か起こるんだろう。絶対そうに決まってる。魅せられて発情期突入とかは簡便願いたい。エロ同人みたいに性欲にまけて男と絡むとか吐き気を催すわ。


肝心の俺に力を貸せという話は、単純に言えば日本人を探してくれという事だった。


スキルの未来予知の結果、近いうちにウーノ森が人から侵攻を受けて、サイクロプスが絶滅してしまうらしい。


助ける事ができるのは黒髪黒眼の人、係わり合いのある人で分かったのは俺だけ。


今この世界にそんな知り合いはいないし、そのうち知り合えるはずらしい。


多分、昔この世界に来た同じ特別公務員だと思うけど、警戒しているだろうし知り合えてもこっちが気づかない可能性もあるよな。


こうして数日間に渡るキュクロプスとの会合は無事に終えた。




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