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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

人間食べ放題

作者: 村崎羯諦

 本日はご来店、誠にありがとうございます。私は本ビュッフェの支配人を務めております、ウララと申します。私、九尾狐狸を祖に持つ狐霊獣種でして、同族の伝手で3年前からここのお店を任されております。


 さて、皆様このビュッフェにご来店いただくのは初めてとのことでしたので、私の方から改めてサービスの説明をさせていただきます。


 当館ではありとあらゆる種族の方々向けに多種多様な料理を提供しているのですが、本日皆さまにご提供するのは、当館の目玉である『人間食べ放題』というサービスでございます。


 サービス名の通り、ここでは人間種族の肉を、お好きな部位を、お好きなだけ召し上がることができます。


 例えば、あちらの中央の台には、すでに調理済みの料理が並んでおります。赤身を厚く切り出したもの、内臓を香草で煮込んだもの、骨ごと砕いて焼いたもの。どれも当館を代表する火蜥蜴族の料理長が腕によりをかけた、絶品の一品となっております。


 そして何より。このサービスの目玉は、調理済みの品を食べるだけではなく、人間種族の狩りから体験していただけることです。これは他のどのレストランでもやっていない、当館オリジナルのサービスでございます。


 奥のフィールドでは、食用に管理生育された人間が放し飼いされております。自然に近い飼育環境のため視力や聴覚、四肢の長さには個体差があり、追う側としても飽きることはございません。狩りに自信がないというお客様には、専門のスタッフによる付き添いのサポートもございますので、ご遠慮せずお申し付けください。


 仕留められた人間は、その場ですぐに処理されます。血は抜き、内臓は冷える前に分け、不要な部分は骨粉として再利用いたします。鮮度を保ったまま厨房へ運ばれ、再び火蜥蜴族のシェフの手で料理されます。


 さて、サービスの説明は以上となります。ちなみに当館自慢の「人間食べ放題」サービスですが、開始当初はほとんど支持を得られませんでした。


 様々な種族の方から、「残酷すぎる」「倫理に反している」と評されていたのです。


 けれども我々はこのサービスの魅力を信じ、営業を続けていきました。その努力が実り、お客様は少しづつ増えていきました。ただ意外だったのは、このサービスを熱狂的にご支持いただいているのが、皆様と同じ人間種族だということです。


 聞いた話だと特に超上位階級と呼ばれる方々の間でご支持いただいているみたいですね。人間種族のような高度な知能を私たちが持ち合わせているわけではないので、理由は分かりかねますがね。おっと失礼、関係のない話を長々と話してしまいました。


 大変お待たせいたしましたが、まもなく開宴となります。それでは皆様、どうぞごゆっくり、『人間食べ放題』をお楽しみください。

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