第四話 【京と 新選組の 狂犬】
前回までのあらすじ!
突然、家に訪問してきた沖田総司。
なんとあの一番隊隊長は女性だった!?
そして、あの芹沢鴨が沖田総司を追い詰めるその瞬間に早見優花がさっそうと大鎌を構え現れた!!
さぁどうなる第四話!!
「私は沖田さんを守ります!!」
私は目の前の男性に向けて高らかに宣言した。誰だが知らないけど沖田さんを倒そうとするなら倒す!!
ちらっと後ろを見るとボロボロの沖田さんがこちらを見ていた。
「誰だよ、てめぇ」
「そっちこそ誰ですか!」
浅葱色の羽織、沖田さんと同じ新選組の人なんだろうけど。沖田さんに恨みを持ってそうな新選組関係の人ってなるとあの八番隊隊長の藤堂さんとか? いやそれにしては身長高すぎるよね。
なら副長だった山南さん? ‥‥‥うん絶対に違うと言える、なんだろう見た目かな。
となれば後は原田さんに伊藤さんに芹沢さんに服部武雄さんに‥‥‥多い!! よし自分で考えるのはやめた。
「私の名前は早見優花です。私は名乗りましたそっちは」
「ちっ、芹沢鴨だ」
芹沢さんかぁーー。いや、いいよいいんだけども。何だろうどうせなら山南さんとか藤堂さんの方が良かった。
「お前なんでがっかりしてんだ」
「いやあ別にあの芹沢さんなのかーって思ってしまいまして」
「俺も名を知られるくらいには有名になってんのか。わるかぁねぇな」
芹沢さんは刀をこちらに向けた。臨戦態勢に入ったということだろう。私も大鎌を構える。芹沢さんはかなりの強者と言われている。そんな人と戦うのは実に‥‥‥楽しいんだろうな。
「その笑顔、気色わりぃな、魔女かよ」
「最近表情筋ゆるんで仕方ないですよ。直す気は毛頭ないです」
断言する。だって直せないんだから。深呼吸を深くする。
「その喋り方、後ろの奴に似てんなぁ!!」
「はぁっ!!」
芹沢さんが突っ込み始めた瞬間に私も突っ込んだ。刀と大鎌が激突した。前に戦った落ち武者より格段に速くて重い。
この競り合いは恐らく負ける。なら。
「ほっ」
ほんの少し力を抜くとともに体をずらす。刀が大鎌の内側に入り刀は勢いのまま地面に大鎌とともに落ちる。大鎌が垂直になった瞬間大鎌を支点とし空中蹴りを出す。
その蹴りは片手で止められた。
「えぇ‥‥‥」
「戦闘センスだけなら沖田以上だな、お前」
「!? どんなパワー‥‥‥!!」
褒められたのは嬉しいけども片手で割と軽い方とはいえ私の身体を弾けるの!? 後ろに飛ばされたが大鎌をストッパー代わりにしながら受け身をとる。馬鹿だな私、自分だけまともにやられてちゃって。
けど、まぁ私も少し手際が悪いかも。
「くっ、お前ぇ‥‥‥!!」
「私は卑怯な手も割と得意だよ」
芹沢さんの頬にいくつかの切り傷ができた。それを見てから私は袖から親指よりは若干大きいナイフが先端についているワイヤーを取り出した。
「まだまだここかr‥‥‥」
「芹沢さん帰りますよ」
あ? 私の声を遮った声の方に顔を向けるとサラリーマンが立っていた。
邪魔すんじゃねぇ、今はただそんな言葉が心の奥底からそいつに対して漏れた。
「ちっまぁいいか。またやろうぜ」
「逃げるんですか、逃がすつもりはないですよ」
「戦略的撤退という奴だ、じゃあな沖田。次あったら確実に殺してやるよ」
「くっ‥‥‥」
煙があちこちから吹き上がり周りが見えにくくなる。
__数分後
煙が完全に晴れるとガレージの中にはサラリーマンの姿も芹沢さんの姿も既になかった。ので私はボロボロな沖田さんを背中にのせて赤い猫ちゃん__火車ちゃんの後ろを追っている。
それにしても前の落ち武者の時もだったけど逃げられると私の姿は弱いよね。
索敵が私自身めちゃくちゃ苦手なのもあるけどあの姿になると戦うのはいいけどどうにも聴覚と嗅覚が落ちてる気がするんだよね。
「優花様、お怪我はございませんか?」
「ないよ」
「そうですか、ならよかったです」
火車ちゃんが一瞬振り返ってたと思ったたらすぐに前を向いて歩き直した。
「優花殿、その猫さんは一体‥‥‥?」
「えっとですね、‥‥‥あーじゃあこうします。火車ちゃんについて話すついでに私が駆け付けるまでの話をします」
◇◇◇__時は少しさかのぼり
「ふー、はぁいいお湯だったー」
お風呂から上がった後に廊下を歩いている。出てすぐなので若干まだ身体がほんのりと温かい。
「‥‥‥」
「あれタマ? 何やってるの?」
「‥‥‥あっ、優花か」
私の視界に入ったのは何やらローラースケートを持って座っていたタマの姿だった。
「バイクの免許を持っていないお前でもなるべく早く移動できる手段がないか倉庫をあさってたら丁度いいのがあったんでな。昔学んだ陰陽術で改良していた所だ」
「一応聞くけど昔っていつ?」
陰陽術って単語出たタイミングでもうなんとなく察したけど気になったので聞いてみた。
「平安の‥‥‥清明が活躍してた時に少しだけな」
ですよねー、なんというか驚きはまだするんだけど二日前に比べたら全然平気になった気がする。
「けど、ローラースケートなんて私使ったことないよ」
スケートは中学生の時千華に誘われて一度やったことあるけどずっと派手に転んでばっかだったからトラウマに近いものになってるんだけど。
怪我は特にしてないけどね。
「どうせ、転んでも受け身とるだろ。ボクが言うのもあれだがあの桜の木から落ちて着地したときのお前まじもんの猫みたいで怖かったぞ」
そういいながらタマは庭に咲いている桜の木を指さしていた。
木から落下って‥‥‥あったようななかったような。確かスケートやった時と同じ時期くらいだっけ。あんまし記憶にないかも。
「お前、その時の記憶ないとか思ってるだろ」
「!? 心読めるの!?」
「まぁ数千年も生きていればボクでも多少はな。‥‥‥よし調整できた。履いてみろ」
「!! ありがとう‥‥‥綺麗」
投げられたローラースケートを私はキャッチした。黒や赤を主として桜模様のグラデーションがところどころに描かれている。綺麗、その言葉以外に私はこの靴を表せなかった。
そう思いながら靴をぐるっと見てもこれと言って特に特徴的な部分はなかった。
「じゃあ履いてみるか」
廊下に座ってから履いてみることにした。
「そういや優花、沖田はどこいるんだ?」
「え? トイレ行くって言ってそれきりだけど‥‥‥タマの方は見てないの」
「いやボクは廊下で会話したっきりだが‥‥‥」
「「‥‥‥」」
履き終わったタイミングで変に無言がぴったりと重なった。
「はぁ、いきなり使うのか、優花そこの赤い桜のところを押してくれ」
「え?あ、うん」
《火車 ローリング》
「!?」
タマの言われた通りに桜のマークを押すと可愛らしい火で出来ているように見える整った毛並みの猫が靴から突如として現れた。誰!? 何!?
「タマ様、お呼びでしょうか」
喋った!? のは別にもうタマで慣れてるな。
「火車、沖田の奴の場所まで優花を案内してくれ。ここに沖田の魂石がある」
「なるほど、承知しました」
タマが沖田さんが持っていた魂石を取り出して火車?に嗅がせるように魂石を持った手を向けた。
「えっと、火車さん?」
なんて呼べばいいのだろう、やはりベターなさん付けだろうかタマのせいなので猫にさん付けするはなんか違う気がするし。
「あなたが優花さんですね。‥‥‥とても似ておりますね」
「?」
「いえこちらの話です。お気になさらず、ワタシのことはちゃん付けで呼んでください、その方がしゃべりやすいので。では案内を始めます」
「よろしくね、火車ちゃん」
似ている? 何の話だろう。そう心の中で考えながら走っていく火車ちゃんの後をローラースケートでついていく。
◇◇◇__現在
「‥‥‥という感じです」
「そう‥‥‥ですか」
なんか結構あっさりしてる。疲れてるからかな。
「優花様、到着しました」
話をしていると気が付いたら家の玄関についていた。
「ではワタシはこれで」
「またね」
「はいまた会いましょう」
火車ちゃんは到着するな否や靴に触れて消えていった。この靴、ローラースケートだけど仕組みは一切分からないけどタイヤがしまえるらしい。
それより‥‥‥流石に沖田さんをずっと背負ってると重い。自分と同じくらいかそれ以上の体重の人を長時間持つのって辛い‥‥‥!! いい刺激ですけども。
「沖田さん、そろそろ降ろしますよ」
沖田さんを背中から降ろした。腰が若干痛い。
「ありがとうございます。‥‥‥どうして私を‥‥‥」
? どうしてってそりゃぁ、
「また私のご飯を食べてほしかった、ただそれだけです」」
本当にそれだけの事。私のご飯を食べてくれる人なんて千華とタマくらいだしタマだって最近になってからだし千華だって毎日食べに来てくれるわけじゃない。
今まではというかタマもそこまでご飯食べないから基本はたった一人で食べてた。そこに沖田さんが居てくれるならまさに感謝感激は言い過ぎだけどもめっちゃ嬉しい。
「沖田さんも他の新選組の人たちとご飯を食べれたら幸せじゃないですか」
「それは‥‥‥」
「優花に沖田、帰って来たか。寝る準備しといたからな早く寝ろよ。ボクはもう寝る」
タマが大きなあくびをかいて廊下に立っていた。寝るのを我慢してたのがよく分かる。飾ってある時計をみるともう午前1時を回ろうとしていた。
タマはすぐに黒猫の姿になり廊下を歩いて消えていった。
「じゃあ、また明日一緒に朝ごはんを食べましょう、沖田さん」
私もすぐに寝るために歩き始めると振り返って沖田さんに挨拶をした。
「‥‥‥あなたなんかに‥‥‥」
ん? どうしたんだろう。床の方に顔を向けてうつむいていた。
「どうしたんですか沖田さん。もしかして具合が‥‥‥」
「あなたなんかに分かるわけがないでしょう!?」
沖田さんが勢いよく突っ込んで私の身体を床に押し倒した。怖いというより悲しいという感情が沖田さんの顔を見て思ってしまった。
沖田さんの表情は怒っているようだったがそれよりも悲しそうな表情だった。
言葉が出なかった。いや出してはいけなかった。
「病弱の私の気持ちなんてあなたなんかに‥‥‥!!! ‥‥‥すみません、優花殿熱くなりすぎました」
沖田さんはすぐに私から離れて走っていってしまった。
「沖田さん‥‥‥!!」
立ち上がった私は走っていく沖田さんの裾でもいいから掴もう背中を追いかけた。
けどそれはできなかった。速かった、追いつけなかった。
「沖田さん‥‥‥」
私は静かに届かいはずの言葉をつぶやいた。
◇◇◇
その日の夜、私は夢を見た。現代とは到底思えない風景。大河ドラマや歴史ドラマでよく見る建物が町を彩っている。
『何‥‥‥』
私は自分の身体を見た。半透明になっていた。状況が理解できない。
『!?』
目の前に突如として現れた穴に吸い込まれて意識が暗転する。
『‥‥‥ここは』
意識が戻るとどこかの屋敷の一室の中だった。
「ゴフッガハッ、はぁ‥‥‥はぁ私は‥‥‥」
『沖田さん!?』
部屋の中、沖田さんが布団に横たわっていた。こちらの声は聞こえてないようだった。
「なんで弱いのかな‥‥‥」
泣いていてた。それに寝る前に会った時より肌が白く身体全体が衰弱していた。
「土方さんに斎藤さんはまだ動けてるのに‥‥‥ゴホッガハッ‥‥‥どうして私は」
外の月を沖田さんは眺めていた。
「ニャー」
「!‥‥‥墨丸ですか」
『タマ!?』
外から突如としてタマが猫の姿で現れた。沖田さんの発言的に今は墨丸って名前なんだろうか。
「ねぇ墨丸、あなたは輪廻転生ってあると思います?」
「‥‥‥ニャ? ‥‥‥あるよ」
「!?」
その姿でも流暢にしゃべれるんだということにはもう驚かないけど沖田さんの方はとても驚いていた。多分初めて喋ったのを見たんだろう。
「ははっ、墨丸あなたが何者だったとしても一つ私の話を聞いてくれませんか」
「あぁ‥‥‥」
「別にこの病弱の身体がなおって欲しいとは思いません。ただ‥‥‥ただ‥‥‥新選組と共に最期まで刀を振らせてください」
『!』
「そう‥‥か。何十何百年かかってもいつか叶えてやる」
「そう‥‥‥ですか」
ゆっくりと沖田さんが目を閉じると共に再び私の意識が暗転していく。
その途中だった。
『誠』の文字が刻まれた浅葱色のだんだら羽織を羽織った人たちが見えた。
その中の一人が私に向かって歩いてきた。
優しそうでとても儚そうな青みがかかった黒い瞳のほっそりとした男性だった。
「あなたは‥‥‥?」
「俺は一応新選組局長の近藤勇だ」
!? あの近藤さん!?
「なんですか?」
「俺の弟子の強すぎる総司を君が隣で支えてほしい、それだけ言いにきた」
「? なんで私なんですか?」
「そうだぜ近藤さん、俺だってまだ認めてねぇんだ」
私が頭を抱え考えている中、また一人芹沢さんじゃないにしてもそうとう屈強な身体の男性が向かってきた。
「そういうな歳、これはもう決まったことだろう?」
「だがよ‥‥‥」
歳ってもしかしてあの土方歳三さん!? 目が焼けるほど圧巻な筋肉をしてらっしゃる。
「それに総司はこの子に任せても問題ないと思うぞ」
「まぁあんたがいうなら従うしかないがな‥‥‥」
「えっと‥‥‥?」
置いてきぼりしないでくれます? こっちは大変混乱しているんですか?
「おい、お前」
「は、はい!」
土方さんに睨まれている。なんかしましたか!?
「どうして戦う?」
「どうして‥‥‥って、そうです、ね‥‥‥」
「はっきり言え!!」
「は、はい!」
怖い、この人怖いよ千華!? 鬼の副長って呼ばれてた理由がよく分かる! 私が戦う理由‥‥‥それは‥‥‥!
「私の親友__なーはを守るためです!!」
「そうかよ‥‥‥」
ん? 変なこと言ってない‥‥‥よね?
「言っただろ歳、総司が引き寄せられた少女に新選組みたいな硬い意思がないわけないって。久々に俺の目が当たったな」
「はっわっーたよ近藤さん。俺だって今の言葉でちゃんとこいつを認めてやるよ」
「あ、ありがとうございます‥‥‥!!」
合ってるよね? 土方さんが一歩後ろに下がると近藤さんが私の前にたった。
「さて、じゃあ新選組を代表してもう一度言わせてもらう」
「はい‥‥‥」
「総司を頼んだ」
その言葉に対する返答は一つだった。
「はい!」
私は大きな言葉でそう答えた。
「あいつは一番強い、だからこそ君がどんな形だっていい、なんでもいいからあいつの隣で戦ってくれ。人間一人でいる事ほどつらいことはないからな」
「任せてください! 戦うのは自信あるので‥‥‥!」
「頼もしい限りだな」
夢はそうやって徐々に消えていく。
◇◇◇__町はずれの空き家にて
「ガハッ!! ムジナ様、何故‥‥‥?」
空き家の中でサラリーマンの男は首を掴まれ壁に貼り付けにされムジナに殴られていた。
「なんで取り逃がして帰って来たんですか。せっかくのチャンスを無駄にして使えないですね」
そんな様子をつまみに芹沢は椅子に堂々と座りおちょこで酒を飲んでいた。
「あっはっは、いい様で最高だな!! いやぁ酒が進む進む」
飲んでは入れ飲んでは入れを繰り返して笑っていた。
「芹沢さん、助けr‥‥‥!!」
「誰が助けっかよ。せっかく楽しくなってきたところで止めやがって」
「そういうことです。ですがもういいでしょう」
「カッ、ハッ、ガァ‥‥‥」
首を解放されサラリーマンは床に落ちる。そんなことはどうでもいいと言わんばかりにムジナが椅子に座って芹沢の方を向いた。
「芹沢鴨、お前の願いはなんですか?」
「あ? なんだ急に」
その言葉を聞いて芹沢は酒を飲んでいる手を止めた。
「お前の願いを叶えればこちらとしてもありがたいことがあるんですよ。で、どうなんです?」
「願いねぇ‥‥‥そりゃ近藤派の隊士をぶっ殺すことだな。それ以外に願いなんてねぇよ。てめぇには感謝してるぜ、力をくれたんだからな。まぁ沖田の奴を殺すまでは協力してやるよ」
「そうか、こちらもお前の願いが叶うまでは協力してあげよう。ただもしまた奴を殺せなかったらそこにいるサラリーマンもろとも殺しますから」
一切の殺意を感じさせずにムジナは芹沢とサラリーマンに告げる。
「へいへい、分かってるって、ほら行くぞ」
「あっあぁ」
椅子から立ち上がった芹沢はサラリーマンを連れて空き家を後にした。
◇◇◇___翌朝
とにかく早く起きた。
日が昇る時間なんかより前に目が覚めて布団から起き上がった。
すぐに部屋のふすまを開け廊下に出る。
「沖田さん!!」
「!?」
廊下には浅葱色のだんだらを羽織を羽織った沖田さんがこちらに背中を向けて立っていた。
びくっと身体を上に動かして止まっているのを見逃さずすかさず近づいて手を握る。
「は、離してください‥‥‥!」
「嫌です!」
昨日? になるかは分かんないけど前みたいに離さない!
「どうして、どうしてそこまで!!」
「沖田さんを頼まれたから‥‥‥! 近藤さんや土方さん、新選組の皆さんに!」
頼まれたからには全力で頑張らないと。離そうとする沖田さんの動きがピタッと止まった。
「局長は‥‥‥先生はなんて?」
「強すぎる沖田さんの隣で戦ってほしいって」
「もうなんなんですかあの人は‥‥‥」
沖田さんはゆっくりと床に倒れ込んだ。
私は沖田さんの視線と合わせるように腰を下ろす。
「その沖田さん‥‥‥」
「なん‥‥‥ですか?」
「その‥‥‥私の仲間になってくれませんか‥‥‥?」
「え?」
あれ? 真剣にいったつもりなんですけど‥‥‥。
「ガハハッ最高ッだな!!!」
「「!?」」
声がしたと共に庭に爆音がとどろいた。煙が舞う。見覚えがあるようなないような展開!?
煙が晴れるとそこには芹沢鴨とサラリーマンが立っていた。
「‥‥‥ッ! 芹沢ッ!」
「おう沖田、今のてめぇの相手は後でしてやんよ。まずはお前だ、早見!」
よし、やろう。私は立ち上がり庭へと身体を降ろした。寝起きだけど大丈夫! なはず。
「じゃあ沖田さん、私があいつを倒してくるんでここでまって‥‥‥」
「私も戦います」
「!? いいんですか?」
正直驚いたというのが最初に出た思いだった。振り返るよりも早く私の隣に沖田さんは立っていた。
「私が戦わないと局長の隣で戦うもくそもないですよね」
「! 確かに!」
「まぁあと‥‥‥」
あと? なんだろう? 隣で沖田さんがはぁとため息をついた後に口を開いた。
「優花殿のご飯もっと食べたいですし」
!! 顔をほんのりと赤くなっている沖田さんを見て何故か私の心も温かくなった。
「なら沖田さん! 二人であいつを倒しましょう」
「もちろん、新選組の汚れは新選組で洗ってあげます!」
私新選組じゃないんですけど!? というやぼすぎるツッコミは置いておいて私は腰から【我桜魂】となずけた魂石を取り出してペンダントにはめる。
《ローディング‥‥‥》
「憑依!」
《死を呼ぶ 鎌 今現れる!》
音が鳴り終わると共に私は大鎌を沖田さんは刀を構え芹沢さんの方を見た。
「ハハッハハッ‥‥‥ふざけんじゃねぇ!!!」
お怒りの様子だった。どうでもいい、というのが感想だが後ろのサラリーマンはおびえて立っていた。
「二対二、あの夜みたいに卑怯ではないですよ」
「はっ二対二だぁ。違うな一対二だ!」
「ガハッ!? 芹沢、お前何を‥‥‥」
!? 視界に移ったのはサラリーマンの腹を腕だけで貫いている芹沢さんの様子だった。
いいぞもっとやれ!!! と口から漏れ出るところだったがギリギリのところで引き留め代わりの言葉を漏らした。
「何をやってるんですか‥‥‥!! 仲間じゃないんですか!!」
私は前の戦いの邪魔をしたサラリーマンはどうやったって許せない。けど、それでも人が死ぬのは見たくない‥‥‥!
「はっ何言ってんだ。こいつが仲間? 笑わせるんじゃねぇよ!! こいつは俺の道具だ」
「ゴハッ!?‥‥‥」
芹沢さんがサラリーマンの腹から腕を引き抜くとその場にサラリーマンは倒れ煙となって消える。
そこにはどす黒い魂石だけが残った。
「お前‥‥‥!!」
「ははっ、やっぱ持ってたじゃねぇか」
!? 芹沢さんは落ちた魂石を拾い食べた。すると、芹沢さんの力が増しているのが分かる黒いオーラが漏れ出ている。
「優花殿、行きますよ‥‥‥!」
「はい!」
「おいおいせっかちだ、な!!」
一本の大鎌と二本の刀が交錯し火花が夜明け前の夜に輝いた。
「はぁっ!」
「はっ!」
「おらっ!!」
一度離れた後に沖田さんと挟むように左右から突撃したが芹沢さんは腰に構えていたもう一本の刀で防いだ。
確実に前より数段力が上がってる!?
「そぉらよ!!!」
「ぐっ‥‥‥」
「うっ‥‥‥」
廊下ぎりぎりまで弾き飛ばされた。右腕の方に刀がかすって血が少しだけ流れているが今気にするほどのことではない。
「優花殿、少し試させてもらいたいことがあるのですが援護させてもらってもいいですか?」
「!? 待ってくださいそれだと‥‥‥!?」
「ええ局長の言葉に背くことになるでしょう。けどこの一撃は私が私一人の人間としての最後の一撃です。そのあとは‥‥‥優花殿あなたと共に戦わさせてください」
「! わかりました!」
ありがとう、その言葉だけをつぶやいて沖田さんは立ちあがる。
「一で風を斬り、二で音を超え、三で‥‥‥絶命へ! 絶技三段突き!!」
「!?」
視界を埋め尽くすほどの土煙と音が鳴り響く、土煙が晴れるとそこには三本の刀を犠牲に沖田さんの攻撃を防いだ芹沢さんが居た。
沖田さんの刀は限界を向けてパキッという音を出しながら折れた。
「沖田ァ!! てめぇのは所詮三回の突きだよなぁ!!! ざまぁ!!!」
「くっ‥‥‥なーんてもういいですよ」
沖田さんは苦い顔をしたかと思ったらその次の瞬間に吹っ切れて清々しいまでおだやかに笑った。
それを見て私はすぐに立ち上がって動く。
「は?」
「優花殿、受け取ってください!!」
「はい!!」
沖田さんから浅葱色に輝いて『誠』と『一』の文字が刻まれている魂石を受け取ってペンダントにつけているのと付け替える。
《ローディング‥‥‥沖田総司‥‥‥》
「およっ!?」
音声がなると共に沖田さんの身体が透けたまま私の上に浮かんでいる。
「憑依!」
《音越え 三段 一番隊!》
沖田さんが私の身体に重なった。すると私の戦装束も変化し黒い腰マントが消える代わりに黒い袴と新選組の羽織が肩の装甲も消え白に桜のグラデーションが綺麗な鉢巻が額に巻かれた。
いうならば‥‥‥なんだろう‥‥‥。
『私の魂石なんだからシンプルに【沖田魂】でいいじゃないですか?』
!? 沖田さん!? 聞こえてるんですか?
『あっはい、そうですよ』
まじですか!! あの一応聞くんですけど沖田さんってこの大鎌使えますか。
ふと視線を手元や腰にずらす、刀なんてなく大鎌だけが残っていた。
『えーと‥‥‥無理です‥‥‥ね』
ですよ、ねー。‥‥‥まずくね!?
「やぁ我が君、今世で初めての英雄の力を受け継いだことを大変うれしくおもうよ。その祝いに‥‥‥」
「!? 誰だてめぇ!!」
N!?
『誰ですか!?』
突如として私達の前にNが現れた。片手に本、もう片方の手に高価そうな白い布で包んだ何かを抱えていた。
「我が君より預かりしこの刀今お返しいたします」
Nは跪いて白い布をめくった。すると、黒を主に紅蓮のグラデーションが燃え盛る炎のように描かれている鞘に収まっている刀が現れた。
「これは‥‥‥?」
「字名を【日輪】、英雄たちを紡ぐ我が君のための我が君の矛です。どうか御受け取りを」
「あ、ありがとうございます‥‥‥?」
その刀__日輪を私は手に取って腰に構え刀を抜いた。燃え上がるようななにかが心の奥底から湧き上がってくる気がした。
「では、俺はこれで」
それだけ言い残しNは消えた。マジでなんなんだろうあの人?
『なんかよく分からないですけど、行きましょう優花殿!』
「もちろんです!」
Nのことを考えるのを一旦やめ目の前の芹沢さんに視線を移す。
『「はぁっ!!!」』
「ぐっ‥‥‥なんだこの速度!?」
身体がものすごく軽い、【我桜魂】の時より格段に身体が軽い。だからなのか刀を自分でも追うのが大変なくらいの速度で刀を何度も芹沢さんの身体に向かって切り刻む。
「舐めるなよ!! お前ら!!」
『「遅い!!」』
「ぐっくそ‥‥‥が!?」
芹沢さんが反撃しようとして隙が出来る。そこを刀で切り刻む。
じりじりと徐々に芹沢さんは後ろに下がっていく。
『「はぁっ!」』
「ありえねぇ!!!?」
私達の刀を振る速度もあげていく、芹沢さんは防御もままならないまま私達の攻撃を受ける。
そして一度芹沢さんが後ろに飛んだ。
私達も一度刀を止めその場で深く深呼吸をする。
「これで決めますよ沖田さん!!」
『分かりました優花殿!!』
私は日輪を鍔部分をぐるりと一回転させてからペンダントに重ねるように構えた。
《ヒッサツ、ローディング、クリア!! オキタ!! 3! 2! 1!‥‥‥》
音声が響く。ゆっくりとぼろぼろの状態の芹沢さんの方を見る。
「ちっ、ふ、ざけんな!!! なんでてめぇらが‥‥‥!!」
『「さぁ【誠】に咲き誇れ!!!」』
柄をぎゅと握りしめる。それと共に全力で芹沢さんめがけて踏み込む。沖田さんがやっていた三段突きの構えで。
《絶技! 三段突き!》
『「はぁぁぁぁ!!!!!!!!!」』
「舐めるなよてめぇらぁ!!!!」
一度目の突きで風を__空気を斬り、二度目の突きで音を置き去りに、三度目の突きで‥‥‥常識を超え一度目と二度目の突きを追い越して先にとにかく早く!! 突きさす!!!!
『「はぁっ!!!!!!」』
「ふざけんなぁぁぁぁぁぁ!!??」
芹沢さんの身体を突き抜けブレーキをかけながら地面に着地する。
そして後ろでは芹沢さんが桜の花びらを散らしながら爆散した。
その様子を見届けると私は地面に力尽きて腰が地面に落ちてからペンダントから【沖田魂】を取り出した。
取り出すと沖田さんも私の隣にもたれかかるように現れた。
「沖田さん、やりましたね‥‥‥!」
「はい‥‥‥それとその‥‥‥優花殿、さっきの仲間になるお話なんですが‥‥‥」
「え? あっあぁっとなんですか」
「お断りさせてもらいます」
えっ!? ‥‥‥まぁけどそれが沖田さん自身の選択ならしょうがないよね。
「あ、まぁそうです、よね」
「その代わりなんですが‥‥‥その‥‥‥」
「?」
「私の友達になってくれませんか‥‥‥?」
「!」
沖田さんが顔をりんごのように真っ赤にしながら言葉を発した。私はその言葉に少し呆気を取られたが答えは一つだった。
「もちろん!!」
「‥‥‥! ありがとうございます‥‥‥!!」
お互いに疲れていたが顔を見て強く握ったグーの拳をぶつけあった。
昇ってきた朝日が私達の拳をほんのりまぶしく照らした。
◇◇◇__地下室にて
優花たちが芹沢を倒した時間と同刻。
優花の家の地下室にある石板の一つのくぼみがまぶしい光を一瞬放った。
そしてその様子を人型のタマが眺めて一言ぼそりとつぶやいた。
「まずは一つ‥‥‥」
その声は地下室に響くことはなく影にしずんでいった。
「待ってろよ‥‥‥絶対に‥‥‥」
という言葉をだけを置いてタマは地下室を後にした。
◇◇◇
黒い空間にあった石板の一つのくぼみも地下室の石板と同じように光った。
Nはそれを見届けると持っている本をまた一ページめくった。
「かくして、我が君は一人目の英雄と心をつないだ。次に我が君の前に現れる英雄は‥‥‥おやこれはこれは‥‥‥。戦国の世に名を刻む神の生まれ変わりですか。キーワードは龍、白、そして‥‥‥川中島でしょうか。さぁ我が君、あなたはどう動く。戦国の世に名を届かせた二人の武将を前にどのような‥‥‥! その選択とくと見守っているよ」
Nはゆっくりと本を閉じて音もなく闇に沈むように姿を消した。
黒い空間にはパタンッという音だけが残った。
◇◇◇___1561年 川中島にて
二つの軍勢が相反する。
一つの軍は【風林火山】と大々的に書かれた赤い旗を掲げている。
その中で赤い甲冑を纏った筋骨隆々でがたいの大男が声を上げる。
「此度の戦もついに四度目、奴らは強い、だが約半年前北条に負けたという‥‥‥ならば!! 今度は我々が奴らに二度目の敗北と最期を飾る敗北を言い渡すぞ!!!」
大男の声を聞き軍全体が「オォーー!!!!」と燃え上がる炎のように一斉に声を上げる。
その反対側に構える軍は【毘】や【龍】を崩した文字を刻んだ旗を掲げている。
白と黒を基調にした鎧を纏いとある一人を除いて誰もが目を焼くような麗しい素肌を持つ大将の女性が己の軍勢全体に鳴り響くほどの大きな声を上げた。
「皆の者!! 臆することはない!! ワタシが__毘沙門天がついている!! だから恐れるな!!
戦え!! ワタシが貴様らに勝利をもたらすぞ!!!」
女性の声と共に「オォーー!!!!」相手の軍勢に負けず劣らずの大きな声を上げる。
「「では、全軍‥‥‥前進せよ/だ!!!!!」」
二人の大将の声が重なる。
そして二人の声をかわきりに戦の幕が上がった。
次回予告! は次の裏話回に掲載するぜ!!!
11月21日までテスト期間があるため投稿されないことを覚えておくんだぜ!!
◇◇◇
2025年12月20日 セリフの変更




