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第二話 【今から 始まった 英雄伝】

前回までのあらすじ!

 早見優花は突然現れた落ち武者によって殺され神様だと名乗るタマによって蘇り再び落ち武者の前に現れた!

 さぁどうなる第二話!


「お前は‥‥‥何者だ‥‥‥」

「私はあなたに殺された死人だよ、生まれたてのね!!」


 私は意気揚々と落ち武者の人に言った。怖いし逃げたいけど今の私なら戦える、そう思って大鎌を構えながら足に力を集中させ勢いよく突っ込む。


「はぁ!」


「ぐっ‥‥!?」


「へ?」


 大鎌は刀で防がれたが落ち武者は後ろに十メートルも下がった。そんな様子を見た私は驚いた。思ってたより突っ込んだ勢いが強かったのはもちろんのこと久々にそれこそ数か月ぶりに大鎌を振ったのに身体に恐ろしいほどしっくり馴染んでいるしているのに驚いた。


「けど、これなら行ける!」


 細かいことは後で考えよう。そう結論を出して落ち武者の方を見る。


「これは‥‥撤退するか、あのお方のために」


 落ち武者はよろけながら立って刀をしまっていた。ちょ武士のくせに逃げるなよ!いやこれは私の偏見か?というかあのお方って誰!


「待て!」


「そう言われて逃げなかったからこの俺という力が生まれたのだ」


 それだけ言って落ち武者は煙となって消えた。その場に元からいなかったように。


「逃げられた、のかな?」


 私は周りを見渡しどこにもいないの確認すると自分の身体を確認した。


「うわ!え!?結構かっこよくない?」


 黒い腰マントに骸骨の意匠なんて私好きすぎるんですけど!!というかこの肩のパーツってあの暗闇にいた女の子と同じもの?なのかな。位置違う気がするんだけど。けどさこれって‥‥‥。


「どうすれば元に戻るんだろう‥‥」


 というか戻るのかな? もしかしてずっとこのままなんじゃ‥‥‥!!!


「どうってそのペンダントから魂石(こんせき)を取ればいいだろう」


「あぁそっか、‥ってタマ!?その姿でもしゃべれんの!?」


 私の足元に突然現れたのはいつもの猫の姿をしたタマだった。情報が情報が多い!!


「別に前からしゃべってただろう」


「いやそれはそうなんだけど、そこまで流暢にしゃべられると困惑するというか」


「そこは慣れろ、ほら早く取れ」


「あーうん、そう‥だね」


 私はタマのしゃべり方に結構困惑どころか頭がおかしくなりそうな困惑をしながらペンダントから白い宝石を取り出す。そしてペンダントを閉じる。


 ◇◇◇


「ゆうっちにタマどこ行ったのー!」

『だから私はここにいるって‥‥』

「どこー!」


 宝石を取り出してから数分間私とタマを大声で探しながら歩いている千華の周りを私は歩いていた。触れようとしても何の音もせずすり抜けてしまう。

 それで私はようやく理解した。


 いや本当なら理解したくなかったけどするしかなかった。


「本当に死んでるんだ‥‥私」


 自分は死んだという事実を実感した。今まではぼんやりとしか理解してなかった死んでいるという事実が今はっきりと心に突きつけられている。


「少し早いが仕方ない、優花。少し目を瞑ってろ」


「え?何突然」


「いいから黙って目を瞑れ」


「‥分かった」


 隣を歩いていたタマは人型の姿になって手を上に掲げた。私は従うように目をゆっくりと閉じる。何をするか少し気になるので完全には閉じない。


「光あれ!」


 タマの手からまぶしい光が光って粒子のようなものが私の身体に降りかかった。


「タマ何を‥‥」


「ゆうっち!!」


「ごふっ!?」


 光が輝きを失ったと思ったら千華が後ろに倒そうとする気さえも感じる勢いで私に抱き着いてくる。


「どこに行ってたの!もう、もう!!突然血を流し始めたと思ったら起き上がって更に血を流してそしたらいきなり消えて何があったの!?」


「ご、ごめん。そこは私にもよく分からなくてタマから話してくれると思う」


「へ?タマ?どこにいるの」


「えっと‥‥‥そこ」


 私はそういって隣で大きなあくびをしながら私たちを見ているタマの方を指さす。


「?????何言ってるのゆうっち、もしかしてだけどそこの男の子をタマって言ってるわけじゃないよね?」


「そう‥だけど‥‥理解できそう、なーは」


「無理」


「ですよねー」


 まぁそうですよねそこにぶっきらぼうな表情でこっちを見ている男の子があのタマだなんて信じられないよね。私も正直まだ半信半疑だもん。


「えっと、とりあえず家に帰る?なーは」


「え、あっそう、だね」


 何とも言えない空気になりながら私たちは家に帰っていく。少し団子屋に寄りたい気持ちもあったけどそれはまたいつか食べに来ようと思った。


 ◇◇◇


「優花、千華とりあえずどうぞ」


「あっどうも‥」

「ありがとね、タマさん?」


「タマで良いぞ千華。さん呼びは苦手だ」


「あっそう‥」


 屋敷の和風のリビングで座布団に千華と一緒に座っているとタマからお茶を差し出された。タマも私たちにお茶をあげると私たちの反対側の座布団にぼふっと座った。


「お茶は冷めないうちに飲め。(まさ)っちゃんや利休(りきゅう)の奴がよく言ってたからな」


「利休ってもしかして千利休のこと!?会ったことあるの!?」


 お茶と利休、この二つのキーワードから私が導き出したのはわび茶を完成させたという千利休だった。そんな人を奴ってタマって本当に何者?一度深呼吸をして冷静になり口を開いた。


「教えてタマ、あなたやこれは何なの?」


「そうだよ、わたしにもちゃんと教えて」


「そうだな、まず優花はまだ死んでいてボクは神様だというのを理解してくれ」


「分かった」


「了解」


「よし、じゃあ話すぞ、最初は優花お前が持っているその宝石_魂石と呼ばれているものにはこの日本という国に関するありとあらゆる記憶が内包されて、生物はもちろん怨念や妖怪などその種類は多岐に渡る。優花が持ってるのは元々空白で何の記憶も入っていない普通の魂石だ」


「え?じゃああの姿とかあの落ち武者は?」


「ゆうっち、あの姿って?」


「ああ後で話すよ」


「話を戻す前に説明しておこう、優花のあれはお前自身の力が内包された魂石へと進化したものであの落ち武者は敗れても逃げなかった武士の怨念が記憶されている魂石だ。で訳あってボクはあの落ち武者があのお方と言ってる奴らと敵対関係にある。まぁボクが一方的に敵対してるだけだが。ボクとそいつらはとある魂石を集めていてな。それは英雄の魂石だ」


「偉人の魂石‥‥?それって例えば」


「そうだな、例えば織田信長や坂本竜馬などの今も語り続けられている英雄達のことだ。普通なら人個人の力は魂石にはならない。だが、英雄ほどの力を持った魂石なら違う。その偉人由来の力が入っている魂石一つを生み出せる。そしてこれが魂石を生み出した英雄とその可能性がある英雄達が書かれている本だ」


「その本って」


「ボクが書いた、図鑑のようなものだ」


「!!」


 そう言いながらタマは『日の本偉人伝』を取り出した。さっきまで地下室にあったはずなのでお茶を淹れている時に取りに行っていたのだろうか。


「ま、待って!その英雄の魂石を集めてそ、そのタマが敵対視してる人たちは何をするつもりなの!というかタマは英雄の魂石を今どのくらい持ってるの!!」


「な、なーは?」


 千華は突然立ち上がり理解できてなさそうな大声でタマに聞いていた。


「結論から言うと、今ボクは偉人の魂石を一つも持っていない。10年前、大介が死んだあの日に持っていた魂石がすべてこの町のどこかに飛んでしまってな、集めようにも自分自身も力の大半を失くしてしまって一割ほどの力でも回復までに10年かかっている。そこでだ優花、お前に頼みたいことがある」


「えっ、わ、私?」


「勝手なことってのは分かってる、けどお願いだ。あいつらの__偉人の魂石を集めてはくれないだろうか、大介のためにも」


 タマは深々とお辞儀をした。私はそれを見て困惑してしまった。私にそんなすごいものを集められるだろうか。私が父さんのために動けるだろうか。そう思ってしまって口からこんな言葉が出てしまった。


「ご、ごめん少し考えさせて‥‥」


 私の身体は半透明になってその場から席を外した。タマからのお願いにどう答えればいいのか分からくて逃げてしまった。


「ゆうっち、どこ!?」


「‥‥」


 千華はまた姿を消した私を探そうとしていた。タマは黙ったままお茶を飲んでいた。


 ◇◇◇


 落ち武者は暗い路地裏を半透明な姿のままでいると細身の男が目の前に現れた。


「どうですか、進捗の方は」


「ムジナ様申し訳ありません。ペンダントを持っている者は見つけたのですが空白の魂石が進化してしまい撤退してきました」


「そうですか、まぁしょうがありませんね。あなたはそういう魂石ですから。ちなみにその者見た目はどんなものでしたか」


 頭を下げている落ち武者に細身の男__ムジナは聞いた。


「死神のようでした。大きな鎌を持ち白い髪が特徴的でした」


「なるほど、そうですか‥‥」


 ムジナは腕を組み少し考えた。


「クフフフ、これは面白いことになりそうですね、()()の開発も早めるとしましょう。それとあなたはそうですね‥‥とりあえず仕事を続けてください、あのお方のためにも」


 またそれだけ言ってムジナは姿を消した。


 ◇◇◇


 外の庭園に出た。桜の木の置いてある座れる大きさの石に座った。地面を見た。白かった。私の髪や瞳、心みたいに真っ白だった。


「私、どうすればいいんだろう」


 自分の心に問いかけるように私は静かにつぶやいた。答えは返ってこない。当たり前だ、けどそうしていらずにいられなかった。


「ゆうっち、そこにいるんでしょ!」

『えっ!なんで‥‥見えてるの!?』

「そこに!」


 声がした方に振り向いたらそこには千華が私が座っている石とは別の石の方を指さして立っていた。


「ゆうっちって何か辛いことや悲しい事があったらいつもこの桜の石に座るもんね。だから、ここに来てみた、もし仮にいなかったらこれは独り言って事で」

『あっ‥‥』

「ゆうっちは今、わたしが思ってる以上に苦しんでいるんだと思う。突然死んだと思ったらものすごい頼み事されて困惑してると思う。ゆうっちの性格なら一人で背負い込むだろうね、あの日だってそうだったし。けどさ、たまにはわたしを頼ってほしいかな」

『嫌だ、大変なことは私が背負うだけでいい、私だけでいい!なーはが苦しむ必要なんて!!』


 何年も付き合って初めてこの時自分の本音を言えた。千華に恐らく聞こえてはない。だから言えたのかもしれない


『苦しむのは救えなかった私だけでいいんだよ‥‥‥』

「ゆうっちは多分わたしにも本音で話したことないんだろうね、いつも、さ見てて苦しそうだったんだよね。生きてても死んでるみたいだったよ。だから少し気になってるんだよゆうっちはわたしのことどう思ってるのかなって」

『それは‥‥』

「あともう一つだけ言わせて欲しい‥‥」

『え?』

「どんなに危険なことが起きても、死んでてもゆうっちはわたしの大事な親友だよ!‥‥‥‥えへへ聞こえたら恥ずかしいな」


 千華はそういって顔を赤らめていた。そんなことよりもその前の言葉が私の顔を上げさせた。それと同時に私の心が温かくなった。瞳から涙が落ちてしまうほど嬉しかった。


『なーは、私‥‥』


__ドンッ!!


『!?』

「!!?」


 突然空から大きな音と共に誰かが落ちてきた。その人物はあの落ち武者だった。


「‥‥見つけた」


「誰、あなた。もしかしてゆうっちを殺した奴か!?」


 今回は千華も落ち武者の姿が見えているようだった。


「ほう、貴様は先程の女の友か。殺し損ねていたな今度こそ貴様も殺してやろう‥‥」


「こ、殺せる、もの、ならこ、殺してみろよ‥‥!?」


 落ち武者は刀を抜いて一歩一歩千華に近づいてく。千華の足がとても震えていたがそこらへんに落ちていた木の棒を持っていた。


「バカが逃げれば良かったものを、あの世で後悔しろ‥‥」


 落ち武者はそういいながら更に近づいてく。


「やめろ!!」


「ゆうっち!?」


「ッ!?」


 私は千華の肩を借りて落ち武者に対して飛び蹴りをかましてやった。落ち武者は反応が遅れて私の飛び蹴りで後ろに下がった。


「大丈夫?怪我はない?」


「やっぱり、そこに居たんだゆうっち。良かったぁー」


 華麗に着地した私は後ろに振り向て千華の心配をした。肝心の千華はというと気が一気に抜けたのかぺたりとその場に倒れ込んでいた。そして、明るく笑っていた。


「良かったって、私が居なかったらどうするつもりだったの!?」


 そんな様子の千華を見て私は怒りながらも悲しさや嬉しさも混ざった声で千華に抱き着いた。


「なーはが死んだら私、私‥‥今度こそ」


「それは、悪かったって。けど信じてたから、ゆうっちはそこに居るって。じゃあ後は任せるよ親友(ゆうっち)


「も、もちろん。任せてよ!」


 それだけ言って私は涙を拭き千華から離れて落ち武者の方を向いた。私が絶対になーはを守る。そう強く心に言いつける。


「別れの挨拶はすんだか。逃げるなら今の内だぞ」


「私は逃げない。私には守るべき人がいる」


「そうか‥‥ならば!俺の力の糧となれ!」


 人が変わったかのようなはきはきとして庭園全体に鳴り響く大声を出した落ち武者は再びさびれているように見える日本刀を鞘から抜き出した。


 私もそれに答えるようなにポケットから白の魂石を取り出す。首にかけているペンダントを開きくぼみに魂石をはめてペンダントを閉じる。


《ローディング‥‥》


 透明感のある不気味な音声と共にペンダントから黒いローブを被った骸骨がゆらゆらと舞いながら現れ私の後ろに回った。そして私は言う。


「憑依!」


 と。すると、骸骨はローブを覆うように私を包み込んだ。私の視界は真っ暗になった。それを切り裂くように私は大鎌を構え上から下へ一刀両断した。骸骨は消えそこには黒い腰マントと桜と骸骨を混ぜ合わせたようなパーツを肩に纏った。


《死を呼ぶ 鎌 今現れる!》


「私は親友のためにあなたを倒す!!」


 ◇◇◇


 落ち武者の刀が日光を反射してにぶく光る。庭園の空気は張りつめ呼吸の一つ一つが重く感じる。そのせいなのか私は自分の()の不気味な笑顔が表に飛び出す。


「貴様‥‥ふざけているのか」


「いや、ふざけてなんかないよ。むしろ感謝してるよ、こんな空気を生み出してくれるあなたに」


「そうか、死ね!」


 落ち武者は叫ぶと同時に地面を蹴り一直線に私へ突っ込んでくる。その動きは憎しみで動く獣ようでもあったし洗練された武士の動きでもあった。

 当たったらまた死ぬ。けど、なんだろうこの気持ちはとても心地良くて落ち着いていた。


「楽しい‥‥!」


 大鎌を向かってくる刀を抑えて反撃出来るように鎌の内側を刀に向ける。


 ガギィィン!!


 二つの刃物は重なり火花が散る。落ち武者の勢いはすごい、気を少しでも抜けば後ろに確実に吹き飛ぶ。けど、そうはさせないために私は全身の力を集中させる。


「うおぉぉぉぉ!!」


「ぐっ馬鹿な!?」


 落ち武者を私は弾き返す。落ち武者の刀が折れて体制を崩し倒れながら後ろに吹き飛ぶ。


「まだまだぁ!!」


 これを好機とみて私は急接近して大鎌を横から大きく振りかぶる。


「貴様みたいな小娘に負けてたまるかぁ!!!」


 落ち武者は負けじと腰にあったもう一本の刀を抜いて私の一撃をギリギリで防ぐ。火花が再び散る。

お互いの力が拮抗し二人とも後ろに下がった。


「優花!これ使え!」


 タマの声がした方に私は振り向こうとした。それより早く水色の魂石が飛んできて無意識に手で反射してキャッチする。


「大鎌の刃と棒の付け根の所を開けてハメろ!!」


「分かった!」


 言われるがままに私はすぐに大鎌の刃と棒の付け根部分の所を開けようとする。開くんだここそう思いながら魂石をはめる。


《ローディング、ヒッサツ‥‥》


 蓋を閉めると音声が鳴り始める。


「ここだよな」


 大鎌にはよく見てみるとボタンを見つけたので押してみる。


《ヒッサツ、ローディング、クリア! 3! 2! 1!‥‥》


 その音声が鎌からなると共に私はよろけながら立つ落ち武者の方をまっすぐ見る。


「まずい、な。逃げ‥るか」


「今度はそんなことさせない!」


「ぐっ‥‥なんだこれは‥‥!?」


 私の足元から落ち武者の身体へと一直線に桜の花びらの道が伸びて落ち武者を拘束する。


「あなたは強い。だから倒す!」


「くっ‥‥ふざけるな!?」


 私は大鎌を横に構えその道をたどるために足に全身の力を一瞬だけ集中させ前に飛び込む。


春道(サクラ) 一閃!!》


「さぁ、咲き誇れ!!」


「ぐはぁぁぁ!!!」


 大鎌を横一線に大きく振るう。落ち武者を通り過ぎた数メートル離れたところに華麗に足から着地する。

 その後ろで落ち武者は桜の花びらと一緒に爆散する。


「やったよ、父さん。私守れたよ」


 私はペンダントから宝石を取って姿を解除しながら静かにつぶやいた。


◇◇◇ 午後八時


「頼んでくれるのか」


「うん、いいよ」


 落ち武者を倒して少ししてから静かに座布団に座りお茶を飲んでいたタマと向かい合った。

 千華は門限があるためちょうど一時間前に冷や汗をかきながらダッシュで帰っている。最高速度だけなら私より速いのではと思うのだが実際の所どうなんだろうか。


「ありがとう‥‥」


「えっ!? タマ泣いてるよ‥‥」


 タマはぽろっと一滴の涙が頬を伝るように流れていた。私は驚いて立ち上がりあたふたする。 って!? そんなこと考えてる場合じゃねぇ!! えっ、どうすればいい? と、とりあえずティッシュでいいよね。私はタマに一枚のティッシュを差し出した。


「え? あ、あぁ、ハハッ泣いたのは何時ぶりかな。ティッシュありがとな」


泣いているようにも見えたし嬉しいように見えた。


「それで私はどうすればいいの」


タマが涙を拭いたのを確認したら再び座布団に座る。


「いつも通り過ごしてもらって構わない。おそらく英雄たちはお前に引き寄せられる。それにボクには最初に誰が来るのか分からないし。とりあえずボクはもう寝る」


「寝るってまだ八時だよ」


「ボクは十年間ずっと猫の姿のままだったから眠いんだよ。じゃあな」


そういってタマはふすま丁寧に開けてから黒猫の姿になり廊下へ歩いて行った。


「やぁお初にお目にかかるよ、我が君」


「!? 誰!?」


 私も部屋から出ようと立ち上がるとどこからともなく横に黒い帽子をかぶり桜のマークがついた灰色のマフラーを着ている謎の男性が現れた。


「そこまで警戒しないでくれたまえよ、我が君。俺は敵ではない、我が君の英雄伝を導く者とでも覚えておいてほしい。まぁ、またいつか話そう我が君」


「!?」


それだけ言って謎の男は煙のようにその場から消えた。何だったんだあの人、そう思いながら部屋から出て夜に一番輝いている月を眺めた。


「ようし頑張ろう。見守っててね、父さん」


 ポケットから取り出した魂石を月と並べながら私は笑えたような予感がした。


 ◇◇◇


 黒い空間に謎の男性は一つの椅子から立ち上がった。その空間には石の祭壇も置いてあった。


「かくして、我が君は己の英雄伝を歩き始めた。そんな我が君の前に現れる最初の英雄の鍵となる三つの言葉は、病弱、侍、浅葱色というところか。さぁ我が君はどんな選択を取るのか楽しみだ。」


 男は手に持っている本のページを一ページめくる。


 ___1866年 京の都にて


「ひいぃ、やめ、やめてくれぇ!」

 

 明かりはすでに消え暗闇に閉ざされている京の都に殺人という罪で指名手配をされている男は今逃げ道のない場所であとずさりながら顔を青くしている。


「ようやく、止まりましたか。醜いですよ、あなた」


「ど、どうか命だけは」


「あなたはそういっていた人をどうしましたか。殺しましたよね。ならば殺されても仕方がないはずです」


 男の前に立っていたのは『誠』の文字が刻まれている浅葱色のだんだら羽織を羽織っておでこに白の鉢巻を巻いている女性だった。彼女は静かな音を立てながら刀を鞘から抜き暗闇に溶け込むような黒い瞳を男に向ける。


「今日の私はね機嫌が悪いんですよ。あと少ししか無かった銭で買った饅頭があなたのせいでおじゃんになって最高にイラついてるんですよ。おかげで土方さんのへそくりから少しいただくことにしたんですからね。そのせいで私、土方さんに怒られたんですからね! ですが、まぁ今日のあなたは幸運ですよ」


「ひ、ひぃ!!」


 男は何かを望むように後ろにある壁にしがみつく。女性は静かにつぶやきながら一歩一歩男に近づく。


「一で風を斬り、二で音を超える、三で絶命へ。絶技三段突き!」


 何をされたのか分からないまま男は絶命した。女性はそれを見ると、こう言葉を発した。


「すぐに逝けるんですから。よし!仕事おわ、ゴホッゴホッ風邪かな。あーだるっ」


 咳をしながら女性は刀をしまいその場を後にした。その頬には男を殺した時に飛び散った血がついていた。その血が彼女の美しさをより一段と際立たせていた。

次回予告!!


なんてものはねぇ!!


えー次は仮面ライダージオウとかゴジュウジャーにある補完計画みたいなものです。


基本的には二話出したら一話裏話回を挟む構成で行きます。

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