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番外編!黒初めてのお使い!

これはまだ私が妹に脅されていた頃...


「黒姉さん!黒姉さん!ちょっとお使い行ってきてよ」

「え〜ヤダー!!」

「バラすよ?」

「はいやらせて頂きます」


ほんとに理不尽だと思う。悔しい...悔しいよ...ついついパンツを盗んだ自分を恨む。でも毎日くんかくんかしてるから総合的にはプラマイか...

私は軽い外出の準備を行う。


「はいこれ買って来て欲しいものと場所の書いてるメモ、

自転車に乗らなくてもいいくらいの近場ばっかだから余裕でしょ」

「はーい、それじゃ行ってくるね」

「はい、いってらー」


そうして私は家を出て近場のスーパーへ向かう



〜***〜



「あれ?黒は?」


私が配信しばらく出来ない旨のトイートを行い、なんかひと仕事終えた気分で階段を降りると、さっきまでリビングでポチポチソシャゲをやっていた黒の姿がなかった、出来れば私のトイートを見てどんな顔してるか見ておきたかったんだけど......


「あっ白姉さん、黒姉さんならお使いに行ったよ」

「え?いまなんて...?」

「だからお使いに...」

「お使い!?」


あの面倒臭がりでこの歳までお使いに行かなかった黒が?え?こうしちゃあいられない!今からあれの準備だ!

私は急いでリビングの棚へ向かいビデオカメラを取り出す。


「え、し白姉さんなにしてるの?」

「今から黒の初めてのお使いを取りに行くんだよ!」

「は?」

「ねえいま黒ってどこにいるの?」

「さっき出たばかりだから割りとすぐ近くにいると思うけど......」

「良かった〜」

「てかさ、なんでそんなことする訳?黒姉さんだってもう立派な大学生だよ?」

「なんでって黒とさとこの初めてはなんでも記録したいからにきまってるじゃん。初めてのおねしょとか初めてのオ○ニーとか色んなものこのカメラに録画してきたし」

「え?待って今ものすごい人権侵害を感じたんだけど」

「それじゃあサクッと行くよ着いてきて」

「えっこれ私も行くの?」

「お使いだああああぁぁぁ!ヒャッハアアアアアアァ!」

「......着いてくか」



〜***〜



どうも皆さんこんにちわ私の名前は笠谷さとこです!な〜んて虚空に挨拶するくらいには私今疲れてるんだよな〜ほんと。

一言言うと私は生粋の百合ヲタであり中でも両片思いが最高だと思っているタイプだ。

そしてそんな私は今...ストーカー行為の片棒を担がされている。双子の姉が双子の妹をストーカーしている、私いや全百合ヲタにとってこの状況は最高のものでは無いだろうか...かく言う私も興奮してる、否していないはずがない...ないのだが...


「ふぅいいねぇいいよぉちゃんと歩けてて偉いねぇふへへへ」


隣にいる姉の気持ち悪さがなんかもう見てられない、ここまで気持ち悪いと百合ヲタの私より妹としての私が勝って冷静になってしまう、自分よりテンション高い奴がいると逆に落ち着いて来るっていう話があるが多分今がその状態だ。


「...やっぱダメだ」

「え?」

「やっぱ我慢出来ない!近くまで行ってもっと近くで姿を見る!」

「えー!?」


そういうと帽子を深々と被り黒姉さんの近くまで白姉さんは駆け寄る


「いやいやあんなの一瞬でバレて...ない!?」


なんか全然バレてない!黒姉さんには隣で息をハァハァしながらもろ盗撮してる奴に気づいてないのか!?

とか思ってたら黒姉さんは顔をあげ、白姉さんに気づく。白姉さんは終わった...って顔してるしなぜバレない自信があったんだろうか?


「こんにちは!」

「はい、こんにちは」


気づかれてなかった!?え?えー!?

これにはさすがの白姉さんも後をつけることなくずっと棒立ちしてる。

あと白姉さんは若干声色変えてあたかも別人感出すなよ

黒姉さん......そのうちなんかで超騙されないか心配だよ。



〜***〜



あの後呆然と立ち尽くす白姉さんを回収し黒姉さんに合わせて私達スーパーに入ることになった。

私はスケッチブックを用意し唐突な百合展開を逃さないように身構える。正直隠す必要も無いのだが白姉さんにバレないようさっきまで押さえ込んでいたが気絶してるのなら関係ない私も百合ヲタモードへとモードチェンジする。あとベレー帽も被って気分はさながらイラストレーター



〜***〜



「えっと最初に買うのは...片栗粉か片栗粉!?何に使うんだろう?」


妹に脅され私はスーパーにお使いに来たのはいいのだが...買うものを確認したらまさかの片栗粉で驚いた。

なんかお菓子買ってこいとかそんくらいのものだと思ってたのに


「とりあえず片栗粉はどこだー?」


正直スーパーなんていつもお菓子買うことぐらいでしか行かないのでそれ以外のものが何処にあるかなんて正直全然知らないのでしばらく当たりをキョロキョロして探していたら...


「何を探されているんですか...?」


金髪の女の子が話しかけてくる...多分困ってる私を見かねて助け舟を出しに来てくれたのだろう優しい子だ


「あ...ちょっと片栗粉を?」

「片栗粉か〜ちょうど良かった!私もそれ探してたんですよ。今から一緒に店員に聞きに行きません?」

「ぜひ!」


まさに助け舟だ...ありがたい


「いやー助かりました、私ちょっと人見知りで...あんまり店員聞くとか出来ないし、かと言って他の人を巻き込む訳には行かないし」

「じゃあ大丈夫ですね!私も片栗粉欲しかったので、利害の一致ってことで他人じゃありませんし!」

「ほんとに良かった〜」


いやほんとに良かったよ、片栗粉とかどこにおいてあるかとか知るわけないんだからさ



〜***〜



「...それじゃあ探偵事務所で働いてるんですか!?」

「はい、まあ主に経理とかやってるんですけどたまに依頼が来たら探偵助手として働いたりしてますよ」

「ほぉー助手ってことは探偵は他にいるんですか?」

「そうですね普段は面倒くさがりの癖に人の不幸とかそういうのをほっとけない馬鹿が1人いるんですよ」


探偵助手さんはニヤニヤしながら嬉しそうに話す、本当にその探偵さんのことが大好きなんだろうことがヒシヒシと伝わる。


「へぇー素敵ですね、さぞいいコンビなんだろうな〜」

「え?」

「だってあなたも人の不幸をほっておけてないじゃないですか、素敵なコンビですよそんなの」

「そう言われると...なんか悪い気はしないですね...」


金髪の女性はにやにやしながら笑う。



〜***〜



てえてえ


「いや尊、尊すぎでしょなにこれ筆が勝手に乗ってゆくんだが」


やばいこのふたりの絡みだけで25000通りの妄想が0.01秒で生誕してしまったんだが、ここまで来ると欲が捨てきれなくなってくる。ぜひぜひ名前を知りたいそしてその素敵な探偵のお名前も...黒姉さん!黒姉さんなら行けるはず!頑張れ僕らの黒姉さん!

あいにく私は今ストーカーしてるというハンデを負っているそれに白姉さんも抱えているのだ。

だからこそ黒姉さんにしか頼れないのだ頼む黒姉さんほんとに頼む。

そう思いながら2人を盗撮しつつスケッチする。


トントン


「え?」

「君、ちょっといいかな?」

「はい?」

「君さっきから彼女たちのこと盗撮してるしストーカーもしてるよね」

「だからなんだと言うんですか!あなたには関係ないですよね!」

「あの...俺こんな格好だけど警察なんだよね」

「あっあっあっあっ」



〜***〜



「「えー!?」」

「申し訳ございません片栗粉はもう既に多くの方が買われてしまっててあとはこの1点しか...」

「マジかぁ」


無駄に広いスーパー駆け回ってやっと見つけた結果がこれかぁ


「どう......しましょうか」

「うーん」


微妙な空気が流れ続ける。

どちらか一方しか渡せないのだからそうなるのは当たり前だ。正直こちらはただのお使いなのであちらに渡した方がいいだろう。

私はそう考えて助手さんへ譲ることを伝えようとすると...


「あっRAIN」


通知音も来てないのに助手さんは急にスマホを取りだしRAINを見るような素振りをする。ただちょうど隣にいた私はすぐにわかる、助手さんのスマホ画面はRAINなんて全然ひらいてなんて居ないことが。


「あっすいませんさっき言ってた探偵から片栗粉買ってくるように頼まれていたんだけどなんかもう必要無くなったらしいから帰りますねー」


助手さんはわざとらしくそういうとそのまま立ち去ろうとする。


「あっ待ってください!」

「ん?」


やば、何も考えずについ呼び止めてしまった。


「え、えっとありがとうございます!」

「別にお礼されるようなことしてませんよ私はただ片栗粉が要らなくなっただけですし」

「じゃあ......えっとせめて名前だけでも教えてください!」

「名前ですか...」


助手さんは少し考え込むような素振りを見せて...うんと首と縦に振る。


「イリス...イリス結城スレイドです。」

「イリスさん...ありがとうございました!」

「もお...ほんとお礼はいいですって...」



〜***〜



「あれから色々あったなぁ」


とあるところに向かっている私はあの日の出来事を回想していた...それに帰ってきたらお通夜テンションの二人がいてびっくりしたなー

私はスーパー買ってきた片栗粉を見ながら結局なんで片栗粉が必要だったんだろうとずっと考える...

あの後片栗粉を見るやいなや高速回収してったからなーお礼を言いながら。


「っと着いたなここが久遠探偵事務所か...」


私はドアの前にたってピンポンを押そうとすると急にドアが開く


「ゴミ出しめんどいな〜」

「あっ」

「えっあっあ〜」

「「あ〜」」


目の前から出てきたイリスさんと私は目を合わせて驚きあういや私は会いに来たのだから


「まあまあササッと入ってきてください」

「アッハイ失礼します」


流れるままに事務所の中に入り手前のソファーに座る...すると


「やあ、依頼人さん今回はどんなに依頼で?」


少しとんがった変な耳に肩出しのへんてこTシャツを着た黒髪の女の子が爽やかな笑顔でこちらに語り掛けてきた。


「いえ......特に」

「彼女は私のお客様です。なので対応は私が、あなたはさっさと事務仕事を終わらせてください」

「えぇ...?私もお話したいんだけど」

「あんたまだパンツ事件の報告書書いてないでしょ」

「いやでも......ほら休憩がてらっていうか」

「予定の日まであと1日なんですよ?」

「すいませんでした。」


言い負かされてる...多分彼女がイリスさんの言っていた探偵なんだろう。


「すいません見苦しいところをお見せして」

「全然大丈夫です」

「なら良かった」

「面白い人ですね...探偵さん」

「まあ...もう少し真面目になってほしいとは思いますけど、一緒にいて退屈はしませんね」

「素敵な2人ですね」

「そう言って貰えるとちょっと嬉しいです」

「あ!そうだそうだこれを渡しに来たんだ」


私は隣置いていた片栗粉と菓子折りをイリスさんへ手渡す


「すいませんあの時は譲ってもらって...それで菓子折りとこの片栗粉を先程ちょうど売っていたので...」

「わあああありがとうございます!」


イリスさんは目をキラキラさせながらお礼を言ってくる。不覚にも可愛いと思ってしまった。ダメ!私はお姉ちゃんだけで十分なのに!


「片栗粉最近テレビで話題になってて全然買えなかったんですよ!」

「話題?」

「いい感じにスライムに混ぜると本物の胸のような感覚になるって今世間で話題になってるんですよ」

「それで買いに...」

「まあ...」


あ〜さとこが着けてた豊胸パッドはそういうことだったのか...


「うちの探偵も欲しい欲しいって聞かなくて買いに行きましたね。」

「そちらも大変そうで...」

「まぁやる時は真面目なんですけどね」


イリスさんは呆れ混じりの笑顔を浮かべる。

ほんとに仲のいいふたりなんだなと妙な納得感が産まれてくる...


「なんかあの探偵さんのことを聞いてるともっと色々な話を聞きたくなって来ますね」

「だったらお話しましょうか?とりあえず最近あった事件を3つほど...もちろん守秘義務があるので話せないところも出てきますし、くだらない内容なんですけど」

「是非聞きたいです!」


私がそういうと、イリスさんはにっこりと笑いコーヒーを淹れはじめ...やがてそれを私とイリスさん自信の方そして探偵さんの方にひとつずつ置き私の前に座る。


「それじゃあお話しましょうか...世界一くだらない探偵談でも...」


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