第2話
いつもの部屋でいつものベットで寝ている私がいる。いつもと違うのは、私自身を見下ろす視点になっている事だ。夢を見ているのだろうか。さっきの醜い怪物や痛みなども夢だったのだろうか。夢にしては痛みがはっきりしていた。
「風夏、起きなさい」部屋のノックとともにお母さんの声が聞こえる。
「もう起きてるよ。いちいち声かけなくていいよ、もう自分で起きれるから」今朝の光景だ、走馬灯だろうか。やはり死んでしまったのだろうか。
「起こしてあげたんだから。ありがとうでしょ」やはり一言一句違わない。ここから、口喧嘩をして用意してもらった朝ご飯も食べずに出ていった。それまでビデオが再生しているように今朝の光景と同じだったのが、一変世界が温もりを持った光に包まれ意識が途切れる。
目が覚めると、先程とは違い天井が見える。周囲を確認すると、黄緑色のカーテンで仕切られている布団もシーツも真っ白だ。服も体操服に変わっていて綺麗だ。上半身を上げ手で頭を確認する。不思議なことに血もつかないし痛みも感じない。やはり今までのは、夢だったのだろうか。
「佐藤さん大丈夫?」起き上がったのに気づいたのか、優しい声色で話しかけてきた。声だけの判断だと保健室の加藤 恵先生だ。
「大丈夫ですよ!」心配をかけないように、なるべく元気な声で答えた。すると、恵先生がカーテンを開き涙目で抱きついてきた。
話を聞くと、教頭先生が血まみれの私を運んできたらしい。普通の治療だと死んでしまっていたほど傷が酷かったが、恵先生は職業を選ぶ時回復術士を選んだため。なんとか怪我を治すことが出来たらしい。これからのことも聞いてみたが、体育館に全校生徒集合らしい。恵先生は私を1人にしないために待っていたらしい。
恵先生と一緒に体育館に行くと既に大勢の生徒が集まっていた。全校集会のように、並んでいるため私もいつもの4年1組の列に並ぶ。
ステージに校長先生が立ちマイクを握る。周りがざわつき始める、しばらく時間がたちざわつきが徐々におさまっていくと、校長先生が話し始める。
かれこれ30分ほど話をしていたが要約すると、先生と生徒を合わせ20人ほど行方不明になっていること、安全を確保出来るまで一人で行動しないこと、これから学校で寝泊まりすることになるが担任の先生に指示を仰ぐこと、職業についてアンケートをとることが要点だった。
低学年のクラスから教室に移動していく。
4年1組が呼ばれ教室に戻っていく。