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ソセイソル 〜Uninvited sin〜  作者: おやさしい海月
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再編成




桐ヶ谷と進は瓦礫の平野のコックピットハッチの上でキャンプしていた。

非常用のファイヤスターターをつけ軍用食を鍋で温めている。

2人の上空を1機の戦闘機が飛ぶ。


「来たか。」


桐ヶ谷は火を持ち上げて生存していることを伝えようとする。

戦闘機は上空で旋回し、ライトを点灯させる。


「なんて言ってる?」


進は目を凝らしてライトの点灯を読む。


「静浜基地からの偵察機だそうだ。輸送機を手配すると言っている。」


「ふぅ。やっとだな。人型機動兵器のパイロットは貴重だからすっ飛んで来るだろうなぁ。」


桐ヶ谷が予想したように輸送機の到着は早かった。

人型機動兵器用のAL-300という平べったいティルトローター機だ。2枚の主翼についたプロペラを垂直にし短距離離着陸することが出来る。

S-88とS-90は輸送機のロープに吊り下げられ最寄りの空軍基地まで運ばれる。

桐ヶ谷は機体に乗ったままだが進は輸送機に乗せられた。


輸送機の乗員席には何名かの兵士も乗っていた。


「よく生き残ったな!」


出迎えの第一声はそれだった。

俺はそれに対し頷くしか出来なかった。俺は生き残ったと言うより救われた方なのだから。

兵士も察したように背中を軽くたたいて、座席へ案内してくれた。


「なぁ、京都で第2次迎撃作戦のために部隊が編成されてるって知ってるか?」


「知らないな。」


「前線にいたら知らないだろ。俺たちは君たちを三重まで輸送する。ま、今の前線は大阪、奈良、三重、高知の4県。奈良と三重にも君らと同じような部隊が戦ってる。それで1番浮遊物体が多く攻めているのが大阪。そこの流れを食い止めなければいけない。」


「それで次は大規模攻勢をかけると。」


「そうだな。」


数名の兵士たちが作戦概要を教えてくれた。

輸送機は笠取山分屯基地に着陸しS-88とS-90を下ろす。

2機は第6格納庫へ運ばれる。

俺たちは笠取山分屯基地の峰中佐に呼ばれ出頭した。


「楽にしていいぞ。兵庫航空能力開発訓練校の飯伏大佐から話は既に聞いてある。君たちは卒業資格をもっているようだな。飯伏大佐は君たちをこれから訓練生ではなく空軍兵士として扱うとしている。卒業おめでとう。」


「ありがとうございます。」


桐ヶ谷と俺はそう言って頭を下げる。


「君らはこれから少尉だ。そして単刀直入に申す、第2次迎撃作戦に参加せよとの命令を私は受けた。よって早速だが京都へ飛んでもらうぞ。」


「発言致します。我々の機体は損傷激しくすぐには出れないと考えられますが。」


「進少尉、桐ヶ谷少尉。君たち2名にはここに配備された余剰機体を与える。暇を与えれるほど我国の人型機動兵器パイロットの数は多くないのだ。無理とは言うまいな?」


「了解しました。」


2人は渋々と了解し、部屋を後にする。

早速、格納庫へ向かった2人は輸送機に積まれた自分たちの機体を見て驚いた。


「S-86f:ヘルウォーカ、全世代機じゃないか!?」


S-86f:ヘルウォーカ

・S-86のf型はS-86の後期モデルであり既に退役していた機体である。S-88はS-86の姿勢制御システムを一新した他、形状と材質をより細く軽くしてある。よってS-86の特徴は少し丸く太い機体に仕上がっている。耐久性は若干S-88が勝る。

機体カラーは黒く関節部や内部フレームが赤く塗装されている。メインカメラの風防カラーはバイオレット。


「機体があるだけマシだよ。」


「S-88より動作が重いんだぜ?」


俺たちは愚痴りながらもS-86fに搭乗する。


「桐ヶ谷、嬉しい知らせがある。」


「なんだよ。」


「こいつの兵装。軽機関銃だ。」


「なんだと!?」


桐ヶ谷は兵装確認の表示を呼び出して確認する。

腐食弾には決まりが設けてあり、単発式のライフルでないとダメだと決められている。理由は環境汚染を起こすため流れ弾を極力減らすためである。

しかし装備しているのは米国から輸入した軽機関銃。

それに腐食弾を装填したもの。


「AL-300。これより離陸する。」


兵装やシステムのチェックを行っているうちに輸送機は飛び出す。

空に上がってから気がついたが右手側の操縦混に猫のキーホルダーがつけられていた。

多分、笠取山分屯基地の整備士が気を利かせてくれたのだろう。

2人を運んだ輸送機が京都福知山集結地点に着いた頃は第2次迎撃作戦が始まる30分前であった。








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