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ソセイソル 〜Uninvited sin〜  作者: おやさしい海月
13/18

大量汚染兵器




大阪で沈黙させた8000体の浮遊物体は人型機動兵器の警備の下、クレーン車により回収活動が行われ水分に触れないよう乾燥させた密閉空間で処理方法が解るまで保存されることになった。だが未だ全ての回収には至らず、復活しては沈黙させるを繰り返すため、民間にも協力させ辛く完了までは5年かかるとされた。


第2次迎撃作戦の激戦を制し生存した87機には勲章が授けられた。授与された兵士たちは英雄と評されながらも今も防衛戦をし続けその数は減っていった。


大阪に上陸されてから2週間後逃がした浮遊物体は増殖を繰り返し、奈良の半分と三重の1/3を平にしていた。四国は高知が飲み込まれるが山脈に守られ愛媛と徳島で日米共同師団が防衛に当たっている。

攻防が続く中、腐食弾の生産数は足りなくなっている状況で無駄遣いができない性によって第2次迎撃作戦のように機関銃が使えず戦線は敗れつつある。



――――



上空7000m

50機の人型機動兵器が奈良に向かって飛行していた。

この隊は浮遊物体の後方を突いて挟撃するために行動している。


「なぁ、S-88の供給がストップしたのを知ってるか?」


「いや、知らない。でもそれが無くなったら自国の機体だけでは手に負えないぞ。」


「米国のアラスカが抜かれたんだよ。あちらはもう終わったようなもんだね。」


「第2次の時は160機が参加して半数近くが破壊されたんだぞ?人型機動兵器を1機作るのに3週間はかかるらしいし、国内で作ってる企業って言や手のひらで数えれる位だろ。」


「こっちも終わりかもしれんなぁ。」



「オープン回線だぞ。黙ってろ。」


「き、桐ヶ谷中尉!?申し訳ありません!」



桐ヶ谷は第2次迎撃作戦で昇進していた。今や部隊を率いている。

空は白み始め、遠くの浮遊物体がよく見えるようになった。今日の天気は快晴のようで冬で乾燥した空気のせいか朝日がいつもより眩しい。

浮遊物体が来てから人々は天気を以前より気にするようになった。大雨が予想される日は休みになる位だ。


「今日は俺たちの命日かもしれないな。」


「物騒なことを言うなよ。」


「浮遊物体戦を早期に終わらせるために新兵器の投入の決議が今日なされるらしい。汐川から聞いた。」


「おい、進坊。お前いつから汐川と連絡取れるようになったんだよ。」


「3日前かな。急に連絡が来た。」


「はぁ、あいつどっかの特務に入ったんだったよな。俺も特別になりてーよ。」


「隊長たちは既に英雄ですよ。何を言うのやら。」


桐ヶ谷と進の部下がくすくすと笑う。

そう、愉快に話していると朝日と一緒にきらりと光る物体が空に上がっていたのを進が気づく。


「全軍停止。俺たちの任務は変更だ。いつもの警備になる。」


部隊全員が息を飲んだ。朝日に隠れていた物体が高速で降下し浮遊物体の群れを叩く。


「おいおい。世間が黙っちゃいないぜこれは…。」


直撃後の浮遊物体はドロドロに沈黙していた。


この日を境に軍部の過激派の行動が激化していく。浮遊物体が進行していた地域全土に腐食弾頭のミサイルが撒かれ、日本を襲った9割の浮遊物体が沈黙。

残りは小規模な災害として残ってしまったが以前のような破壊力は持っておらず小規模な部隊を送れば何とかなってしまった。

それからというもの早期撃破ということで腐食弾頭は世界中で使われるようになってしまった。生態系への被害は甚大だったが生存圏の維持という面では貢献したと言える。




だが、人が立ち入れなくなったのは確かである。

この判断が後に響くことになるのを今の人々は知る由もなかったのだ。浮遊物体は本命ではない。地球の1部を更地にすることで広大な着陸地点を一瞬で作ることに奴らは成功したのだ。



それがわかったのは12月の半ばの頃、浮遊物体の被害が少なくなってきてこれから復興と言う時、アメリカの広大な更地へ新たな飛翔体が落下。

それは今までの隕石ではなく、紛れもない宇宙船であった。そこから大量に湧き出るのは大型重機を模した兵器の数々、地球人類はまたしても戦闘を余儀なくされた。


それは大阪にも飛来する。


――――



「また、カウントダウンは始まったか…。」


「少佐。この日のために我々は開発を続けて来ました。しかも今度は実弾が通ると聞く。奴ら我々を舐めているようですよ。」


「もう、核も腐食弾頭も使えないだろう。」


人型機動兵器を5機格納できるAL-400から部隊は降下する。

実験部隊ルーデンス。

彼らはもう秘匿部隊ではない。


エンジェルナンバーを冠する新たな新生部隊

第444機動部隊「ルーデンス」。









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