1/2
妄想が現実になる日
屋根の鉄板を叩く雨音で目が覚める。
音の激しさから目黒川のような都市河川の堤防を越える雨量かもしれないなと、寝ぼけた頭で考える。
道路側の下水道より低い位置にある家なので、屋根から落ちてたまった雨を下水に放水すべく下水タンクの2台のモーターが全力で動いている音がする。
こちらも雷とかで停電すると大惨事だなとお腹が空いて眠い頭で考える。
うまく動いている分には何事もない平和な家だが、裏側を知っていると砂上の楼閣のような有様だ。
こんな家でも働く場所から近いからという理由で、皆が争って買うものだから、一生分の働きと等しい値段がついている。
人の世のなんと虚しいことか。
どうせ人生50年、今なら100年、どちらでも星の一生に比べれば瞬きのような時間、面白おかしく生きてなんの問題があろう。
どうせ虚しい命なら火星に家を建てて、命がけで暮らそうか。