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父親の心

今回お話は、父親セイドリア目線のお話です。


少し前に、遡ると、セイドリアは、城に向かって馬車の中だった。


城に着いて向かったのは、幼馴染みの同僚のところだ。


扉を殴るようにノックして返事を待たず扉を開いた。


スペンザ!これはどういうことだ!と友に声を荒げて告げた。


等のスペンザは、いったいどうしたのだと友に語りかける。


セイドリアは「何故、奴が学園に編入していると聞いているんだ!」


スペンザは、「ああ、その事か、アーサーがどうしても編入したいと行ってきたから、王に伝えたら、許可が降りただけだ!」


セイドリアは、そんなことを聞いているんじゃない!と更に怒り出した。


元をただせば、セイドリアが悪いんだぞ!とスペンザが言ってくる。


「どういうことだ!」


「お前、アーサーがリズメリアに会うのを拒んでるだろ!」


「それには理由があると言っているだろ!」

「」

「じゃあその理由を、アーサーに言えばよかったじゃないか!」


「言える内容だったら、とっくに言ってる!家の問題だと何度も言ったじゃないか!」


「アーサーも理由があって、リズメリアに会おうとしているのを、邪魔するからこんなことになったんだ。」


「せめてリズメリアが成人するまでは、家族で過ごすと、待ってほしいと何度も伝えたはずだ!」


「それはな、アーサーの方も悠長に待てるような状況じゃなくなったからだ。」


お前は知ってるだろうが、俺は竜神国の人間なの知ってるだろう?その関係で、アーサーは、俺にとって甥に当たるとも説明したよな?で、アーサーがまさかの王太子になってしまった。それで、婚約者が未だに決まっていないのが、国で問題になってしまったんだが、アーサーは、もう「番」に出会ってしまった。


セイドリアもその話は聞いていた、でも、リズメリアが幼い日に魔力の暴走を起こしてしまってから、家族以外に会わせることを極力避けたのは、これから先にリズメリアが権力者に、言いように扱われないよう、守るためだった!妖精の愛し子であることがわかり、神の加護まで授かってしまったからだ、だが、この事を友である、スペンザにも告げていなかった。


セイドリアは、チッと舌打ちをした。これは俺も悪いと思ったからだ。さすがにリズメリアのことを教える訳にはいかなかったからだ。


「だからと言って、こんな手でこられてしまったら、リズメリアを守ることができなくなってしまう。」


「おい、それはどういうことだ!リズメリアは、誰かに狙われるような存在なんて聞いてないぞ!」


「だから家族の問題だと伝えていただろうが!」


「そんなことで、伝わるかよ。で、話してくれるんだろうな!」


「でも、もしこの事が公になってしまったら、俺は国を出る!

勿論家族全員で、だ!」


「そんな大袈裟なことなのか?」


「ああ!」


取り敢えず誰も部屋に来ないよう伝えて、防音の魔法を施して、友である、スペンザに、すべてを話すことにした。



「っ!」スペンザは、内容を聞いて、声にならないぐらいびっくりしていた。


「これは、お前が姑息な手を使ってきたから、喋らなくてはならなくなったんだ、秘密は守ってもらう!」


「セイドリア!すまなかった!」まさかここまでのことがあるとは思っていなかったからだ!


「今、リズメリアは、初めて外の世界の勉強を始めたところだったのだ。それをこんな形で、壊しては妖精や神からどんなことがもたらされるか、考えたらわかるだろ!」


「あ、ああ、俺としても、只の過保護だと思ってしまっていた。お前の性格を解っているつもりになってしまった、こちらの落ち度だ!」


「だが、俺は今この事を聞けて良かったとも思った。」


「何を言っている?」


「家族では、守りきれないと言うことがこれから先に絶対あると思う。俺はそれをアーサーに託してもいいんじゃないか、と」


「アーサーにそこまでの、力があると言うのか!」


「ああ、あいつは真王の血を濃く引いている!アーサーならリズメリアのことをこれから先も守って行けるとは思う。」


「だが、今の所、リズメリアには、何も伝えていない!幼い日に出会ったことも覚えているかも、わからん!」


スペンザは、友との約束を破る気は無い、だが、甥のアーサーも番に出会ってしまい、血を吐くような努力をしてきたのも見ている。どうしたものかと、竜神族は、番に出会ったら全力で守り溺愛し又、愛するがゆえに、束縛が止められず監禁などと云うことも、してしまう種族なのだ。しかも、ツガイ以外は愛せないのだ。


だが、番が人族で、あるがため、束縛や監禁などしたら、心をやんでしまうのを、既にアーサーは、知っていたのだ。だから、自分から、距離をとり、人族の流儀に添った求婚をずっとしていたのだ。


勿論、成人するまでは手など出しはしない!


そんな努力をしてきたなら、友も認めてくれるのではと、少し強引だったけど、こんな手を使ったのだった。


すべてが裏目に出てしまい、どうしていいのか感慨あぐねていると、


セイドリアが、「もう入学が決まってしまっているのなら、取り敢えず、それはしょうがないことだと、思う!だが、婚約などまだ、認めることなど到底できない!」


リズメリアは、番の概念や竜神族の習性も何も知らないのだから、それを押し付けるなど、もっての他なのだ!リズメリアがこれから、先をずっと生きていくことを考えたら、伴侶は必要だと思うが、まだまだ子供なのだ!初めての友達ができ、これから出会いが沢山あの子には、待っているのだから。


それをアーサーが理解出来るとは到底思えない。


と言うのがセイドリアの見解だった。


スペンザは、「取り敢えずは、学友ぐらいは認めてほしい!」


とセイドリアに願い出た。


セイドリアは、「リズメリア、強要をしない、番とは、告げない、無理やり近付こうとしない!これを守れるなら!」


スペンザは、「わかった。俺からアーサーに伝える。そして秘密は伝えない。だが、もしお互いが引かれてリズメリアが自分から、打ち明けることになったら、認めてやってほしい!」


セイドリアは、「わかった、お前だから信じるんだ!2度目は無いと思ってくれ。」


スペンザは、「感謝する!」


と2人のやり取りが終わった。セイドリアは、すぐ帰宅して、妻にこの事を告げた。妻も不安に思うことはあるようだが、納得してくれた。


せめて学園での生活を普通に過ごしてほしかった両親にしてみれば、厄介事にしか思えないが、娘の幸せを願ってやまないので口をなるべく出したくないし、自由な恋愛をしてほしいと願っているのだ。


そして今、セイドリアは、リズの晴れ姿が見られなかったこと、心から悔やんでいたのだった。




次回から、ちゃんと恋愛に!とはいけないかもしれませんが、頑張ります。


ここまでお読み頂き誠にありがとうございます。

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