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月夜の想い出

作者: 若松ユウ

月の綺麗な夜だった

梅雨なのに晴れていて

とてもおかしな空だった


月の綺麗な夜だった

貴方は私を歩道に押し

私を残して長い旅に出た


月の綺麗な夜だった

雲ひとつ無い銀の光へ

一筋の煙が昇っていった


月の綺麗な夜だった

私は小さな桐箱を抱え

貴方の面影を探していた


月の綺麗な夜だった

指輪以外はすべて捨て

貴方を忘れることにした


月の綺麗な夜だった

私は空を見なくなった

貴方が居る気がするから


月の綺麗な夜だった

月の綺麗な、夜だった

月の、綺麗な、夜だった



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