無題(棹中 三馬〔光宇治〕)
ポツ、ポツ、ポツ
今日はずっと雨が降り続いている。
もう夏休みも終わると言うのに家でゴロゴロしているだけなんてつまらない。
……あっ、そう言えばまだ宿題全部やってなかったんだ。
はあ。今日の僕の心の天気は曇天だ。
淀んだ心を照らし出す太陽は何時になったら昇るのだろう?
ピンポーン
誰か来た様だ。
親は仕事中だから、宅配便だろうか。
「はいはい、今出ます……えっ、会長?」
濡れた紙袋を右手に下げ、逆の手に傘をさして佇んでいた会長はどこか不機嫌そうだ。
「何よえって。今日来ちゃなんか不味かった?」
「いや別に。今日は家でずっとゲームをしてました」
数秒の謎の沈黙。
「まあ、敏也君が休日をどう使おうが勝手だけど。はいこれお土産」
「これって、水羊羹?」
「お盆に広島へ里帰りに行ったの。とらやの結構人気なんだ」
個人的にはにしき堂のもみじ饅頭が良かったな。
雨に打たれてまで苦労して持って来た会長には、口が裂けても言えないが。
「ありがとうございます。と言うかずぶ濡れですね。風邪引きますよ?」
「確かに。ついでに宿題を見てあげるからここで雨宿りさせてよ?」
二人で勉強会をしていたら、いつしか雨は上がっていた。
心の淀みも同時に消えていた。




