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ぱいすらトらいん  作者: ろちるきり
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神崎君と私の日常

「私のパイスラが理想で魅力的って言ってたけど、それなら永瀬さんとか胸大きいから、もっと凄いパイスラになるんじゃない?」

「胸は大きければいいって訳じゃないよ、それに大きい胸のパイスラは正直パイスラの魅力を半減させてるからね」

「ん?どうして?」


 教室には私と神崎君の2人しかいなくて、私達の会話以外は静かにパチン、パチンとホッチキスで紙を止める音がが響く。

 私が先生に頼まれたプリントをまとめる作業を神崎君が手伝ってくれている。流石気が利くって意味でモテル男は彼女の用事も率先して手伝ってくれるから助かる。


 私と神崎君の関係は、神崎君が速攻で話して周りに広まり、私としては女子からの虐めを何度かもらったけれど、そのつどそのつど神崎君に告げ口をしていたら、いつの間にか止まってしまった。

 神崎君がどうにかしてくれたみたい、と思う事にした。

 少女漫画とかラノベみたいに、女子からの虐めに彼に黙ってとか健気に耐えるパターンは私には無理だった。潔くお前のせいでこんな目にあってるんだーってしただけなんだけどね、後は荷物とか元々全部持って帰ってるから悪戯する物が、上履きと鍵つきロッカーの中に限られてるから悪戯する物がないというのもあったのかもしれない。

 上履き悪戯は靴箱が蓋で隠れるとかではなくて、フルオープンだからか下手な悪戯をしたら、周りから虐められてる丸判りで先生の介入があるかもしれないからか誰も悪戯をしなかった。お陰で買い換えるとかそんな目にも合わなかった。

 漫画とかラノベみたいなのをちょっと期待してたとか言わない。


「肩紐が胸の谷間を押さえる事で胸のラインが強調されるから良いのであって、胸が大きすぎると強調されてもその威力は発揮されないから」

「なんとなく判ったような判らないような……」


 そうか巨乳のパイスラには興味はないのか、なら巨乳の女子を敵視する必要ないと……


「それに舟越さん身長でアンダー65のトップが……」


 活きよいよく立ち上がるとガタンっと椅子の倒れる音が響き、私は向かいに座っていた神崎君の口に慌てて両手を当てて言葉の続きを封じた。


「あ、なんで神崎君が私のサイズ知ってるの!!」


 流石に見られてるのは判っていても其処までとは思わなかったので、とんだ事態に顔が赤くなっていく。でも神崎君の返事は私の手によって塞がれてるので、むなしくふごふごという音になる。いやでもここで知っている理由を聞いても、それはそれで恥ずかしいんだけど!


 そしたら手にぬるっとした生暖かい感触がして、思わず舐められた!と驚いて手を離してしまう。でも神崎君は何もしてませんよという風に、何時も通りに微笑みながら


「まあ、服の上からでも大体見たら判るからね」


 とさらっと告げて、またパチンパチンとホッチキスで止める作業に戻った。


 イケメンの目はバストサイズまでわかる機能が搭載されてるのかよ!!!!







「ふひひやばい、何度見ても心のちんこが反応する」


 放課後職員室に行ってた私を待っていた神崎君が、教室の窓辺に腰を下ろして外を見ていた姿を見て思わず言葉が漏れてしまう。

 神崎君しか居ないから本音が駄々漏れでも問題ない!

 あの窓辺に座っている時の、背筋と腰のラインはなんともけしからんイヤらしい!窓側でたそがれる男子が魅力的に見える理由はきっと、腰のラインに違いない!今私がそう決めた。


 神崎君はあきれながらも私の鞄も持ってきてくれて、はいっと手渡してくれた。


「女の子がちんこ言うのはどうかと思うけど」


 そう言いながら自分の鞄を肩に掛ける。私は斜めかけ鞄を禁止にしながら、神崎君は斜めに掛けるのかと思いながらも、その斜め掛け鞄の背中側のベルトと腰の間の空いた隙間がまた凄くいい。


「むう、でもなんというか、そう言うのが的確な表現だったの」


 言い訳をしながらも、私も確かにちんこは今思えばどうかと思うなと、内心突っ込みを入れてしまう。


「うーん、じゃあ『僕も舟越さんのパイスラ見てると反応するのを堪えるのが大変なんだ』って言っていいのかな?」

「え?!」


 なんだそれ、凄く恥ずかしいんですが!

 今の私の言葉はそういう意味になっちゃうの?!


「ごめんなさい、次からは言いません」


 私の言葉に神崎君はよく出来ましたと笑いながら私の手を握って下駄箱へと向かって歩き出す。

 それでもムクムクと湧き出る好奇心に負けてしまいつい言葉が出てしまう。


「…………で?本当に反応するの?」

「なんなら試してみる?」


 私から聞いておきながらも神崎君の言葉に恥ずかしくて逃げようとしたけれど、手を繋がれてるので後ろに逃げようとしたのが神崎君に引っ張られて失敗してしまい、勢いのせいで躓いたように私は前にこけそうになったのを、そのまま神崎君に受け止められた。


 こけそうになったヒヤっとした焦りと、ほっと神崎君のつく息の音で少しだけ頭が落ち着き


「神崎君ありがとう」


 とお礼を言いながら神崎君の腕から逃げるように離れる。


「どういたしまして」


 何でもないように神崎君は笑いながら言い、それでも手は離してもらえずに繋がれたまま廊下を2人歩きながら、神崎君のまとう雰囲気に何故か心のちんこが反応した。

 でも流石に自重して言わなかった。







「そうそう、神崎君そのままそこで止まって」


 神崎君が私の背中を向けて振り返るようにこちらをみながら動きを止めてくれる。私はその神崎君をスマホでパシャパシャとカメラに収めていく。


「うん、いいー凄くいいー!ありがとう!」


 これでまた神崎君の腰のライン画像が増えた。こんな私のアホなリクエストに応えてくれる神崎君はまさに理想の彼氏だ!

 他にも体育すわりをしてる所とか、胡坐をかいて背筋を軽く反らしてる所とか、まあ腰のラインいいよね!魅力的だよね!って思えるポーズが収まっている。

 うはうはしながらもふと、気になったので神崎君に尋ねてみる


「神崎君は私のパイスラの画像とかはいいの?」

「船越さんのは魅力的だけど、まあ誰のパイスラにしろそういった画像が僕のスマホにあるとなると、誰かに見られた時に話題にされたら困るからね」


 そういえば前に、もてはやされてるから迂闊にエロとか性的な事なんか口にしたりしたら、男子だと格好の話題のネタにされるし、女子だとそういうのが好みだと勘違いしたりしそうだから、そういう事は私の前でしか言った事ないとか言ってたなー。

 イケメンは色々な所で気を使って大変だな。うんうん。と頷きながらスマホを鞄に仕舞う。


「それに画像に収めなくても十分に堪能はさせてもらってるからね」


 嬉しそうに笑う神崎君を見ながら、なんでだろう私の方がいい思いをしてる気がするのはってちょっと思ってしまった。







「神崎君お願いがあります、その腰に抱きつかせてください!」


 私の言葉に神崎君は一瞬動きを止めて、少し考えるように視線を動かす。


「それは前から?後ろから?」

「もちろん後ろからであります!」


 そしたら困ったように頭を抑えながら何か考え込む。


 やっぱり一度は後ろから腰にグワーって抱きつきたい、あの腰に抱きつきたい!って思ったのでそのまま頼んでみたのだけれど、何か問題でもあるのだろうか?


「ちょっとそれは流石に遠慮してもらえないかな?」


 なんという、大体の頼みごとは断らない男神崎君に初めて断られた!

 漫画なら背後にガーンという効果音がつけれるくらい、衝撃を受けてしまう。なんたるダメージだ絶望した!

 腰に抱きつけないという事による精神的ダメージはかなり酷かったみたいで、視界が少しぼやけて泣きそうになっている事で私はどれだけショックを受けたかに気がついた。


 でもよくよく考えたら、神崎君があまり断らないからと私も色々と頼みごとしすぎてる気もするし(主に腰のライン写メとか)頼みごとを聞いてもらえなかったからと、ここまでショックを受けるのも、神崎君に甘えすぎだろと思って平気なふりをする。


「こっちこそ無理な事を言ってごめんね」


 笑いながら謝ったら、神崎君はさらに困ったような顔をして私を見る。ん?となって少し首を傾げると神崎君は私の頭をポンポンと撫でながら


「別に舟越さんに抱きつかれたくないから、駄目って意味じゃないよ、むしろ逆かな?抱きつかれるとその流石に……」


 告白以来の恥ずかしそうにいいよどむみながら続く言葉に、なんとなく、お、おぉと理由を察して


「いや、私の方が思い至らずに本当に申し訳ありませんでした?」


 と何故か謝罪の言葉を口にしながら、ふと気がついた。

 あれ?じゃあ何時になったら私は腰に抱きつけるの?え?まさかずっとお預け?!







「そういえば、舟越さん鞄元に戻したんだね」


 ある日の帰り道にふと思い出したように神崎君が私の背負ってるリュックを見ながら指摘する。


「いやだって、あれ斜め掛け鞄だから、神崎君の前以外で使用禁止なら普段使えないよ?だから元に戻した」


 そう言いながら、あれ本当に一目惚れで気に入ってたのに、女子力アップだとか浮かれてたのに速攻で使えなくなった事を思い出して気分はミルミル萎んで行く。


「え?だってあの鞄……」

「ん?」


 神崎君が言葉の続きをいわずに何かブツブツといや僕の思い違いかもしれないしとかなんとか呟きながら、隣に居る私に視線を動かして私と目があったからか決意したように


「明日その鞄持ってきてよ、ちょっと確認したいから」


 と言われてしまい、何故か私は次の日学校にその鞄を持ってくる羽目になった。

 リュックも背負ってるのに、鞄を袋に入れて持ってるので、傍からみたら凄い量の荷物を持っているみたいで、朝の通学途中の待ち合わせ場所に居た神崎君がみかねて鞄が入っている袋を持ってくれた。

 いやそれ神崎君が持ってこいって言ったから増えた荷物なので持ってくれて当たり前だよね?!とか内心突っ込みを入れながらも、こうやって荷物を持ってくれるとか受け渡しとか、なんだかカップルみたいだいやカップルだよねとも思いながら一緒に学校に向かった。


 教室について、互いに鞄を机に置いてから神崎君が袋を持って私の机にまで移動する。


「この鞄さもしかしてと思って……」


 神崎君はそういいながら袋から鞄を取り出して、肩紐をちょいちょいと弄りながら長さを調節したりしながら、肩紐の通す位置を変えたりして斜め掛け鞄から、見事に背負い鞄へと変化させた。


「ほら、これで使えるよ」


 そういって私にはいっと鞄を渡す神崎君。


「え?……えええ?鞄変形した!」


 余りの出来事に驚いて言葉にしたら神崎君はブフッっと吹くように笑いお腹を押さえる。


「と、いうか、今主流でしょ、……そうやって幾つかの、形で使える鞄……ふふ……ふ……」


 チラホラと教室に来ていたクラスメイト達は笑いのツボにはまってる神崎君の姿が珍しくてざわついていたけれど、私にはそれは見慣れた姿なのでなんでざわついてるのか気がつかずに、ただ純粋にお気に入りだった鞄がまた使えることに感動するのに必死だった。


「どうしよう神崎君、この鞄また使えるの嬉しい、ありがとう大好き!」

「いや、僕のせいで使えなくなってたから悪いかなって、また使えるようになって良かったね」


 私の言葉に少し照れながらお礼を言う神崎君を見ながら、やばい神崎君腰だけじゃなくて鞄まで使えるようにしてくれるとか素敵過ぎると感動していた。







「神崎君は私の下の名前知ってるよね?」

「うん?知ってるよ。舟越さんも僕の名前知ってるよね?」

「うん、知ってる」


 お付き合い初めてそろそろ4ヶ月に突入する頃、夏の衣替えが始まったあの時からもう制服は冬の衣替えの季節に入った。

 なのにお互い苗字で呼び合っている、幾ら体目当てのお付き合いしてる関係とはいえ他人行儀っぽいと思ってしまい、もしかして下の名前で呼ばないのは知らないからか?!って思いにたどり着き聞いてみた。


 良かった知らないってオチじゃなかった、とほっと一息をつきながらも、じゃあ何で名前で呼ばないのだろうと考えながら、あ、私から呼べばいいじゃないかと気がつく。今更だろってツッコミは不可だ。


「えーと、ゆ……ゆ……」


 結人君といえばいいだけなのに、何故か下の名前を呼ぶが恥ずかしくなり、言葉に詰まってしまう。あれ?もしかして私、男子の下の名前を呼ぶのって幼稚園以来じゃない?って事に気がつき、普通に女の子友達を呼ぶみたいにサラッと口にしたらいいんだよ!と思っても、どんどんと顔が赤くなっていく。


「別に無理して呼ばなくてもいいよ?」


 みかねたように神崎君に言われるけれど、ここで逃げたら女が廃る!と変な意地も入ってしまい、そんな私の反応に気がついて神崎君がとんでもない事を提案する。


「じゃあ名前呼べたらご褒美に腰に抱きついて良いよ、なーんて…………」

「結人君!!!!」


 その言葉を聞いた瞬間ためらいもなく名前を叫び、私は神崎君の腰にこれでもかーって勢いで抱きついた。

 そしてむにゅっと潰れる自分のおっぱいの感触に、あって気がついた。

 そうだ抱きつくって事はおっぱいは当たるって事で、何処に当たるって言えば抱きついた相手にって事で、神崎君はこれを危惧して前に嫌がっていたのかと……。

 そして今回の言葉は、神崎君にしたら冗談で口にした事であって、まさか名前を叫びながら抱きついてくるのは予想外で、…………あーでもたまらんこの腕に伝わる適度に鍛えられた腰の感触。


「由梨ちゃん、覚悟は決まった?」


 背後にドドドドとかゴゴゴゴゴとかの効果音が似合いそうな気配をさせながら、神崎君が私の背中に手を回してくる。

 うわ名前呼ばれた!凄く恥ずかしいけれど、この腰からいま離れるとか逃げるとか無理だどうしよう、これはあれだ、言葉にするなら無理ゲーってやつだ!って思いながら全てはこの魅力的な腰が悪いと心の中で叫んだ。

パイスラ途中からどっかに旅立った。

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