表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

今日から学校と仕事、始まります。①莞

コンビニ18X

作者: 孤独

「いらっしゃいませ」


ピッ……ピッ……


「4点で1570円です、温めますか?」

「温めで」

「畏まりました。少々お待ちください」


ガチャッ   ブーーーーーッ


「1600円で30円のおつりとなっております。レシートのご利用は?」

「いらないです」

「畏まりました」


ピーッ ピーッ


「お待たせしました。容器がお熱いのでご注意ください。ありがとうございました」

「どーも」


これはある一日の、夜の出来事である。


◇       ◇



「松代さん、僕は新しい萌えに気づいたんです」

「なんだと?」


話はその日の夜中のことである。

瀬戸博はコンビニから会社へと帰ってきていた。先輩である松代にコーヒーの差出と、たまたま目にしたエロ本をコンビニで買い、読みながらのこと。


「蔑まれる視線。サイテーとか、変態とか、そーいう語呂じゃなくて。純粋に、気持ち悪い!って思われる目、実際に目の当たりにして、快感を覚えました」

「そうか。瀬戸は会社内じゃ、変態呼ばわりだもんな」

「知り合いから変態と思われるのは慣れるんですよ!でも、身も知らない人が純粋に気持ち悪いって、思う表情にとってもトキメキました!本能から溢れ出た表情があっての気持ち悪いって、可愛いかったです。ドン引きさせる表情の奥に見せる、赤みな頬……」

「そりゃ迷惑な話だ」


一般常識的な話で、ここまで済んでいた。双方共に馬鹿である。


「そこのコンビニの店員、高校生ぐらいの女性で、僕にひきつった顔を見せたのが凄く印象的でしたよ」

「それを先に言え。俺はおばちゃんとか思っていたぞ!俺も行ってくる」


仕事を放り出し、そのコンビニに向かおうかと着替えを始める松代。コーヒーも一気飲みして、目を光らせる。一方で、瀬戸は昔を思い返していた。


「子供の頃は女子に嫌われると泣きたくて、悔しくて、惨めしか湧かなかったですけど。今となれば、それは女性が僕のことを男だと見ている状況なんですよね。気付けなかったあの頃の、幸せ……」


ストーカーみたいなポジティブ精神。精神崩壊している構造だ。

一方で松代はもう着替え終えて、そのコンビニに向かって行った。



◇       ◇




「いらっしゃいませー」


ここが瀬戸の言っていたコンビニか。


松代は入店と同時に店員を確認した。今、様々なコンビニが各地に展開しているわけだが、それぞれのユニフォームはとても可愛らしい。女性限定のコンビニが誕生したら嬉しいものだ。


松代の好みはローソンのユニフォームである。ハッキリ言うと、サンクスとセブンイレブンは色使いが似ていて、印象が薄い。全然違うんだが、重要な部分である。ユニフォームとか全然違うんだけど、入店して、あっ、サンクスだった。あっ、セブンイレブンだったという気持ち。分からないだろうか?店のロゴの色が悪いよな。

ファミリーマートは、個性を出して欲しい。独特なカラーがあればって思う。黒はいかんだろう。

その中でなぜローソンを挙げるか。青色のユニフォームって、コンビニにとっては珍しく感じる。白い色の光に包まれた店内で、青ってのは青空を見ている感じで気分が良いのだ。緑は次点、緑豊かな自然なところを歩いている感じだ。シンプルな色が重要で、次に色を活かしたデザインだろう。


「ローソンのユニフォームは縦じまの白が入っているのが良いんだよ、あそこに白のラインにシミができてると、パンツを連想できるからだ(可愛くて若い女性店員限定)。分かってくれるかな?」

「入店して早々、何言ってるんだろ。このお客様……」


松代、ついうっかり。自分の妄想をぼやいてしまう。

しかしそんなこと、瀬戸の言う女性店員を見れば、忘れるし記憶しない。


「ほぅ」


確かに瀬戸の言うように、女子高生といったところか。顔つきが非常に若い。ユニフォームのせいでちょっと胸とお尻が控え目に見えるが、こーいう客商売では顔と服がポイントだ。

シワもなく、綺麗なユニフォームだ。ギャルっぽい、着崩した女だとしたら残念だと思ったが、やはり純情派乙女店員にエロ本のタグを読み込ませるのが、通なやり口だろう。


『男って不潔なのね///』


そう心の中で思って頂いて、頑張って顔を隠しながら、仕事する子。やべっ、想像すると萌えるわ!


松代。その表情を妄想するだけでかなりグッと来る。エロ本を1冊、2冊、3冊、4冊、5冊。それぞれ種類の違うエロ本をカゴに入れまくる。

しかし、この時。松代はミスを犯していた。


「店長、レジを代わってくれませんか?あのお客様、怖い」

「そうか。分かったよ」


エロ本を入れまくる松代に、警戒して、まさかの店長とレジ交代。そうとも知らず、レジの方へと向かった松代。愕然!


「!!」


バ、バ、バカな!?男、おっさん店長!?

ふざけんなっ!エロ本買っても、『お客さん、今夜は元気なんですね』みたいなムフフな表情を、俺に見せても腹立つだけだ!男がエロ本持ってもトキメカねぇよ!なにニコニコのスマイルでこっち見てんだコラッ!?客のこと考えたら、お前は引っ込め!!

クソ、どこだ!?女性店員は


この時、女性店員が店の奥に引っ込むところを目撃!!


そんな!空気読めよ!エロ本だけでもレジしてくれよ!

12冊もカゴに入れてるんだ!君が12回も、俺を蔑む気持ちになれるんだ!それが俺の求めたコンビニの在り方なんだ。


「うがああぁぁっ」


カゴに入れたエロ本を見ながら、松代。葛藤!


「!いらしゃいませ」


しかし、その後、思わぬ形が……


◇       ◇



「あ、遅かったですね」

「おう、瀬戸」


松代は1時間ほどコンビニに行っていたようだ。なにしてんだが、


「コンビニの子、可愛かったな」

「そうでしょ。お客様に退いてくれて」


ふっ、レジはおっさん店長だったけどな。すげぇ怒った顔していた。


「だが、俺はまた新たな事を思えたよ」

「は?」


カゴ一杯に入ったエロ本を見る、飲み会帰りのOL達の視線がとっても気持ちよかったぜ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ