想
久しぶりの小説投稿です。話がグダグダにならないように頑張ります。ので少し更新スピード遅いかも(;_;)
色鮮やかな灯りが地上を彩どり天を煌めかせ始めた
ここは《人間》が東京と名付けた都市の上空だ
もう電化製品が広まって幾百の年月が流れた。ここだけではなく世界は美しく彩られてきた
《人間》はこの世で唯一の《理性》を持ちし動物。故に更なる《環境破壊》を食い止められるのは《人間》のみ
ふっそれは単なる思い過ごしでしかない
私達のような不死者から見れば《人間》は《地球》に蔓延る害虫だ。自らが楽に生活するためだけに《地球》を汚し、幾億の年月を経て成り立っていた《秩序》を乱した
《人間》とは何と愚かな動物なのだろうな…
《理性》を持っただけで神にでもなったつもりなのだろうか?
大体《環境破壊》とは自らが犯した罪だ。その《環境破壊》に気付き《環境》を護ろうとしてるみたいだがそれもまた我々から見れば立派な《環境破壊》だ
まぁいずれ気付くだろう…幾億もの年月を経て造られた歯車を貴様等のような《下等動物》に直せる訳がないことに
『貴女は相も変わらず《人間》を《下等動物》と蔑むのですね…』
面白くなさそうに東京を見下していた死神に対の存在にある天使が呆れた。と言わんばかりのトーンで話し掛けた
『ダルクか…ふっお前こそ何故あの用な《害虫》を好きになれる?あれか?《下等動物》に力を貸すことで《自己満足》に浸りたいのか?』
死神は横目でダルクを睨みながら馬鹿馬鹿しいと付け足した
『確かに《人間》は…数多くの過ちを繰り返して来ました…ですが、彼らは少しずつではありますが過ちを正そうとしています。私はただその役に立とうとしているだけです』
ダルクの話を聞き終えた死神は声を立てて笑い飛ばした
『馬鹿馬鹿しい。あの《下等動物》達は更なる過ちを犯そうとしているだけじゃないか』
まだまだ笑い足りんと言わんばかりに死神は笑い続けた
『貴女にもいつか…きっと解る日が来ます…』
死神はその言葉を聞くと笑う事をやめて
『馬鹿馬鹿しい』
とだけ言い放った
ふっ《下等動物》は所詮《下等動物》でしかない。そら、また反応ありだ。くっくっくっ…次はどんな醜い死に方をするのかな…
そこは煌めく繁華街と呼ばれる通りから外れた路地、俗に裏路地と呼ばれている所だ
その路地座り込んでいたのは寒そうに体を震わせ口から白い吐息を吐くまだ15歳の少女だった
『ふっふっふっ…ダルク、お前の好きな人間がまた死にそうだな』
ダルクは死神を見ると盛大な溜め息を吐いた。この光景もまぁいつもの事である
言う必要はないだろうが死神は人間に心底呆れ心底嫌いな存在なのだ
ダルクは死神の言葉を忘れる為に軽く頭を振ると瞳を綴じ精神統一を始めた
死神も嘲笑うかのような笑みを浮かべると瞳を綴じて精神を統一させ、座り込む少女の精神とリンクした
もう…嫌だよ…
私なんて…生きてても仕方ないんだ…
お父さんも…お母さんも…誰も私を護ってくれない…
誰も私を望んではくれない…
それはつまり…生きていても仕方ない…いえ…邪魔になるだけ…
死のう…
静かに瞳を開けたダルクとは裏腹に死神はまたも笑い出した
『はっはっはっ笑いが止まらんなぁ。おい、ダルク!お前はやはり可笑しいよ。これほどまでに哀れで醜く、そして脆い《下等動物》が好きとはなぁ!』
その少女の精神に映し出されたのはイジメられる映像だった
小学生から中学生に上がる事と中学生から高校生に上がる事では大きく異なることがある
小学生から中学生に上がる時は同級生の仲間と共に上がっていく
だが中学生から高校生になるときは皆、義務教育と呼ばれる制度から放たれ一人一人個々の路を進むことになる
まぁ重なる場合や例外もいるらしいがな
『何と愚かな者共だ。他人を蔑み…嘲笑い…傷付けることでしか自らの存在を確認出来んとは…くっくっくっ…醜くを通り越し尊敬に値するよ』
死神は腹を抑えながら笑った
言い忘れていたが死神と天使はつがいで存在している
そしてこれは言うまでもないがそれぞれ違う人間には持ち得ない能力を持っている
まずは死神の仕事、それは未練を遺し死んだ者の未練を果たし天使に引き渡す事、天使の選別により地獄送りになった魂を悪魔に引き渡す事だ
そして天使の仕事は自殺を目論む人間を引き止める事と先程も言ったが天国へと召される魂の選別だ
そして今、ダルクが座り込む少女を引き止める為に少女の精神に強くリンクしようとする
『やめとけ』
死神は対悪霊用の鎌を振り回しながら唐突に口を開いた
『助けてどうなる?人生なんてのは一瞬先に何があるかわかりゃしない。明日にはソイツを取り巻く環境がグルッと変わって良くなるかもしれない。だがそれと同時にどうにもならないかもしれない。その女はそれでも死を選んだんだ。それ程までにソイツにとってイジメってのは恐ろしいもんなんだろ?ソイツの今の状況が良いように変わるまで一体ソイツをどうやって護るつもりだ?前から思ってたんだ。助けるなんて言ってるけど、今引き止めるのはホントに助けになるのか?』
死神はさも不思議そうに聞いた。そこにはいつものような悪意は全く感じられない
ダルクは一呼吸置くと
『確かに、貴女の言うことはわからないでもありません。ですが…きっとあの子は自害したことを後悔します。私は人間には後悔をして欲しくありません…』
『ふん、立派なこった。ようはまたイジメとやらのとこに戻すのかよ』
死神は最後に呆れた。と付け足した
だがダルクはその言葉に静かに横に首を振った
『すぐにわかります…あの子は心を閉ざしてしまっているだけ…体の傷と共に心に傷が付くのを恐れて…ですが、そうしてしまうと周りからの温かい優しさまで遮断してしまうのです。この世に望まれずに生きる人間など皆無です。それを教えて心を解き放てばきっと彼女は幸せになれます』
ダルクは瞳を綴じ再び少女の精神とリンクした
『ふっ馬鹿馬鹿しい。そんなんで状況が変わるかよ…』
家路に急ぐ人間の足取りが少なくなった頃…
座り込む少女を捜していたクラスメートの少年が来た
ダルクの必死の呼び掛けにようやく応えた少女は心を解き放った
すると自分を必要としてくれる人間の思念とリンクした
その少年はどうやらずっと陰ではあるが彼女を護って来たようだ
少女は少年に励まされながら護られながら必要とされながら家路についた
『馬鹿め…力を使いすぎだ』そのまだまだ子供の二人の背中を見守るのは勿論死神とダルクだ
『すいません…少々頑張りすぎたようです。がわかってもらえましたか?人は…脆く傷付きやすい…ですが…人、は』
ダルクはそこで眠りに落ちた
『ふん、今回はお前に免じて少しだけわかった事にしといてやるよ』
人は脆く傷付きやすいが強さも秘めているとな…
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