神界を経て。
長らくお待たせして申し訳御座いません!(誰も待ってないよ)
全ては自分の不徳と致すところであります(壊れてたなんて言えない)
死は誰にでも訪れる。
どんな素晴らしい功績を残した人だろうが、大罪を犯した世紀の大泥棒だろうが、はたまた平々凡々とした「只のヒト」であろうが。
平等に。無慈悲に。
……ここは、何処だ?
辺りは暗い。何も、何も見えない…
ああそうかよ、彼は毒づいた。
死んでも「死なせて」はくれないって訳か…
恐らく俺は―狂うまでここに閉じ込められるのだろう…いや、狂うことすら許されないのかもやしれない。
「いやいや、そんなことしないって…」
「!?…誰だ?」
誰も居ないはずの暗闇の中から声がした。
年の頃は14.5歳位だろうか。
「やだなぁ、人に名前を聞く時はまず自分から、って習わなかった?」
「…すまん。俺の名は―」
「あ、知ってるから言わなくてもいいよ!」
「………」
「じょ、冗談だって。だからそんな怖い顔しないでよ」
「で、ここは何処なんだ?そしてお前は誰だ?」
「僕は神で、ここは…神の空間とでも言っておこうか。」
は?こいつ何言ってんだ?
「ふむ…信じてないね。」
途端に、空間が明るくなった。
そして、「神」の全貌が明らかになった。
それは特別に美しいというわけではない、どこにでも居そうな少年だった―が。
それは、正に「神」と称すべき物であった。
絶対に覆らない理屈。この世の真理。
思わず平伏してしまった。
弱きものが強きものにするように。
「あぁいやいや、そんなに畏まらなくていいから…普段通りで頼むよ?」
「…承知した。」
「で、君。自分がしたこと、覚えてるよね?」
「………ああ。」
「でさ。君は―その償いを、したくはないかい?」
「出来るものなら、な。」
「そうかい…して、みる?」
「どういう事だ?」
「君は世界を殺した。だから、世界を救って欲しいんだ。」
「どうやって、だ?」
「簡単な話さ。君には今から、君らでいうところの異世界にいってもらう。そこで、その世界を救うんだ。大丈夫、君が向こうで20になったとき…成すべき事がわかる。」
それにさ、と続ける。
「あんな世界で生きてきた君のことだ。
…暖かい、自分の居場所に憧れはあるだろ?」
「いいのか?…いくらなんでも虫が良すぎるだろう?」
「君が気にする必要はないよ。…ああそれと。
成すべき事をしたあとは、その世界で自由に生きるも良し、輪廻転生の輪に加わるも良し、だ。」
行きたい。生きたい。自分の居場所が―欲しい。
「ふふ…なら決まりだね。」
神がそう微笑むと―凄まじい眠気が襲ってきた。
神の声が聞こえる。その声は徐々に小さくなり…そして消えた。
「彼」が居なくなった空間で。
神は虚空に何かを話しかけていた。
それは、我等には見えない。
声のみが、聞こえる。
「イースを救う?…ハッ。只の人間如きに出来るはずがないだろう?」
「彼ならやってくれるさ。出来なかったら、それはそれでいい。イースが壊れるだけだ。」
「ふん…貴様も戯れが過ぎるとは思うがな。
…………期待せずに待っておく。」
「ふふ、◈◈ったら照れちゃってさ。」
「照れてなどおらん!」
人間を生み出したのが神ならば。
人間は神に似せて作られたのだろう。
しかし、人間が神と違うのは。
所詮は模造品であったという事である。