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第八話
気づくと白かった。
目の前は真っ白。
鼻をつくような薬品の匂いから、ここは病院なのだと気付いた。
意識がはっきりしてきて、今の時間を考える。
「七時…?し、仕事…っ!……ッ…いてぇ……」
「ダメですよ、安静にしていないと。」
「俺はッ!働かなければならないんですッ!絵理奈の為に…働かなけれ…ば…ッ…」
頭が痛くてクラクラする。
「栄養失調と疲労です。
全く、あれ程体が持たなくなると言ったじゃないですか。
無理しないで下さい。」
看護師に淡々と言われた。
そっか…俺は、こんなにダメになってきてたんだ……。
絵理奈が眠ってから、初めてまともに休んだ。
俺自身、親と折り合いが悪かったから、お金が足らなかった。
誰にも頼れない。
俺には絵理奈だけだから。
だから働かなければならない。
俺がいないと…俺が…俺が…!……。
そんな生活にも、段々無理が生じてきていたのだろう。