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第五話
今日も朝が来た。
幾度も、幾度も、乗り越えてきたはずの、絵理奈のいない朝だ。
少しこの生活に慣れてしまった俺自身が怖い。
絵理奈には俺が必要だ。
俺にも絵理奈が必要なんだ。
絵理奈…絵理奈……。
涙なんてとっくに枯れ果てた。
泣いてる時間すら、惜しいんだ。
俺には時間がない、絵理奈が目覚める前にもっとお金を貯めて、もっと大人にならなければならない。
俺はな、絵理奈。
お前が大事なんだよ。
お前の為なら、なんだって出来る。
俺の世界はお前中心で動く。
俺はあの日を後悔して、あの日に縛られている。
絵理奈が目覚めずにあの日に閉じ込められているのなら、俺もあの日に縛られてやる。
一生一緒って約束したもんな。
一生一緒って……約束したじゃないか…。
早く…目覚めてくれってば…。
いつからか俺はあの日に縛られた、空っぽの器と化していた。